鳥作家バードマン

　いやー、まいりました。

　今朝は大変でした。

　雪ちゃんがくっついて離れないので、肩に乗せたまま家のことをしていたのですが、風呂場の窓から逃げてしまったのです。
　窓は左右に開くやつじゃなくて、手前に倒して斜めにして開けるやつで、網戸がありません。
　うっかリ風呂場に近づいたら、その窓の隙間から外に出てしまったのです。

　顔面蒼白。

　一ヶ月にして、お別れか!!!

　慌てて外に出ると、雪ちゃんは水色の大空を、白い豆粒のように舞ってました。
　そして、向いの3階建てのアパートを飛び越え、どこかへ行ってしまったのです。

　慌てて相方に言って、家を飛びだし辺りを見回してみるが、その姿はなし。

　もう、鳥グッズなんて作れない。
　こんな悲しいお別れをしなきゃなんないなんて!!!

　家に帰って、わんわん泣きました。

　泣いているうちに冷静になってきて、泣いてる暇あったら捜さなあかんやろ、と思いもう一度家を出ました。


　神様、雪ちゃんの場所を教えてください。

　そう願い、なんとなくふらふらと歩いて行くと、スズメの騒がしい声が。
　地域の集会所の前の大きな木で、スズメが騒いでいます。

　見ると、緑の葉っぱの中に白い姿が……。


　雪ちゃん!!!!

　
　しかし雪は、高い木の枝に止まって、こちらをちらっと見てるだけ。枝をかじったりしています。
　いくら呼んでもこない。（しつけがなってない）

　スズメが騒いでるのに、全然興味がない様子。結構飛んだので、疲れていたのでしょう。
　私はその場を動かないことを願って、相方を呼んできました。

　脚立を持ってきたんですが、届かず。
　何度も呼びかけ、木を揺らし、しかし来ない。
　毛繕いとかしてるし!!!

　なんとか脚立の上に乗り、虫取り網があれば届くかなーというところまできたんですが、網もなく、集会所にあった角材で雪ちゃんをツンツンつついてました。
　もうダメなんかなーと、私もボーとしてきて、相方は出勤時間も過ぎて家に帰り、なぜだかゴミ収集車のおじさん二人が見守る中……雪ちゃんは私の持ってた角材に、乗っかったのです。

　やったーと思った私は、ゆっくりゆっくり角材を引き寄せ、雪を驚かさないようそっと手でつかみました。


　出勤前の、1時間半。

　雪ちゃんを無事保護しました。


　本当によかった。
　私の不注意で、こんなことになるなんて。
　でも、本当によかった。


　私はスッピンで眉毛も半分しかなかったので、見守ってくれてたゴミのおじさんにもお礼が言えず、それが本当に心残りです。


　ものすごく、反省しました。

　小鳥は飛べるから、事故に遭う確率が高い。
　家の中で、そして外に逃げたりと、危険がいっぱい。
　守ってあげれるのは自分しかいないんだから、しっかり見ておかなきゃって思いました。

　
　それにしても、雪ちゃんの場所を教えてくれた神様は誰だったのでしょう。
　守護霊さんかな、なんて思って仏壇に手を合わせお礼を言って、亡くなったあらゆる人の顔を思い浮かべ、お礼を言いまくりました。


　ほんと、大変な一日でした。