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天の王朝

驚異のガラパゴス(2)

ボラボラ ボラボラ
上の写真はボラボラです。ガラパゴスの写真もいずれ公開します。

特別企画「ガラパゴスの魅力を紹介」(中)
◎困難に満ちた入植の歴史
  海の世界は魚種が豊富
  
 20世紀初め、希望に満ちてガラパゴスに来た入植者を待ち受けていたのは、砂漠のような乾燥地帯と、容赦なく照りつける太陽、それに喉の乾きだった。当然、入植は困難を極めた。ガラパゴスは地上の楽園ではなかった。そのような過酷な環境の中で動物や植物は、進化することなしには、種族を保存していけなかったのだ。その一方で、冷たい海流の影響で、海の中は豊かさで満ちている。ガラパゴスの光と影を紹介する。

「2日目:エスパニョーラ(後半)」
 我々一行は、エスパニョーラ島南西部の海鳥の楽園を後にして、午後は島の北東にある海岸、ガードナー・ベイに上陸した。ここは、エメラルド色の海に真っ白な砂浜がずっと先まで続く、おそらくガラパゴスでも1,2を争う美しい海岸だ。やはり、シーライオンのコロニーになっており、砂浜には何十匹ものシーライオンが寝そべっている。そのそばをモッキングバードがちょこまかと動き回る。白い砂浜が日の光を照り返すので、非常にまぶしい。日陰になるような大きな木も、当然のことながらパラソルもないので、日焼け止めは必需品だ。

▽ヨウジウオが魚取り
 砂浜で少し休んだ後、ゴムボートに乗って、すぐ沖にある小さな岩場に向かった。ボートから海に飛び込むと、予想通り水が冷たい。水深はせいぜい3,4メートル程度で、底は基本的には砂地だ。岩の回りには、ブルー・パロット・フィッシュ(ベラの一種)や長く背ビレを伸ばしたハタタテダイが泳いでいる。さらに岩場を回り込むと、腹部の白い縦の線が特徴で、肩と尻尾の部分がオレンジがかった黄色になっているキング・エンジェルフィッシュも泳いでいた。

 岩場から少し離れた場所で、細長い、楽器のコルネットにも似た、名前もコルネット・フィッシュ(ヨウジウオの一種)が、水深1メートルのところを漂っていた。この魚は普段は漂っていて、滅多に泳がない。注意してみると、漂いながら、獲物の小魚を求めて目をキョロキョロと動かしている。やがて獲物を見つけると、それまで水平だった体を徐々に傾けて、獲物に向けて垂直の体勢を取る。そして弾丸のように獲物に向かって突進する。狙われた獲物にとっては、たまったものではない。気付いたときには、コルネット・フィッシュの尖った口の中に吸い込まれているのだ。
 この岩場もシーライオンの領海の中にあるので、シーライオンとも海中で接近遭遇することがある。一つ気を付けなくてはならないのは、雄のシーライオンを見つけたときは、なるべく近寄らないことだ。向こうはあくまでも自分の領海を偵察しているのであって、人間を領海侵犯者と見なさないとも限らない。雌のシーライオンが近付いてきた場合は、心配ない。雌は、どちらかというと好奇心から人間に近付いて来るようだ。

▽荷物を占拠したタカ
 砂浜に再び戻り、今度は海岸線を歩いてみることにした。シーライオンは至るところで、相変わらずのんきに、しかも気持ちよさそうに昼寝している。その顔を見ていると、この動物には悩みなどないのではないか、と思えてくる。やることといったら、時々寝返りをうつぐらいだ。すぐ脇をジョッギングしようが、のぞき込もうが、一向に気にする様子もなく、眠り続けている。
 さらに砂浜を歩き続けると、観光客数人が自分たちの置いた荷物のそばを遠巻きにしている光景に出くわした。近付いてみると、何と、ガラパゴス・ホークが、荷物置き場を占拠して動かないでいるのだ。特にオレンジ色のタオルが気に入ったらしく、その上に陣取っている。人間がそばにいても、警戒したり、怖がったりする様子は全くない。まるで自分がすべてを支配しているかのような風采だ(メモ1参照)。
 5分ほど観察したが、タカは何かするわけでもなく、一向に動こうとしない。ちょっと退屈してきたので、浜辺の散策を続けることにした。30分程経っただろうか。シーライオンの観察をして、再び戻ってきたときには、タカの姿は消えていた。
 コリンシアンはこの日は、エスパニョーラ沖に停泊した。相変わらず、はるか上空には、グンカンドリが長い翼を広げ悠々と飛行する姿が見える。その数は20羽以上だ。やがて夕日は島の向こう側に沈んでいった。

「3日目午前:フロレアーナ」
 朝7時に目を覚ますと、船は既にエスパニョーラを出港、次の目的地であるフロレアーナに向かっていた。フロレアーナは、ガラパゴス諸島で人が住む5つの島のうちの一つで、エスパニョーラの西約60キロに浮かぶ。土壌の栄養分が豊かで、わき水があることから、19世紀や20世紀初めには入植も盛んだった。しかし、必ずしもすべてが成功したわけでなく、今では数十人がこの島で暮らしているだけだ。何人もの人が死んだり、行方不明になったりした、入植にまつわるミステリーも語り継がれている神秘的な島だ(メモ2参照)。

▽緑の砂浜に上陸
 ゴムボートで島に近付くと、険しい崖のそばで、ペリカンやブービーが休んでいたり、水に浮いたりしている。崖が途切れたところにようやく砂浜が見えてきた。これが島の北端にある上陸地のプンタ・コーモランだ。
 船着き場などないため、岸に近付いたら、海の中に降りなければならない。といってもせいぜい膝までの深さで、気を付けることといったら、カメラを濡らさないようにするぐらい。水は、朝早いということもあり、かなり冷たい。
 ここの砂浜は緑色だ。火山活動で生じた、薄緑色(オリーブ色)のカンラン石の結晶で、マグネシウムと鉄分に富んでいる。その緑の砂浜には、シーライオンの死骸も転がっている。この死骸は実は約2年前に、エルニーニョの影響で海温が上昇したときに、食べ物が枯渇して死んだものだという(メモ3参照)。海岸には、ビーチ・モーニング・グローリーやマングローブが生い茂っている。

▽遠くにフラミンゴを見る
 我々一行は、浜辺を離れ、なだらかな丘をゆっくりと登った。丘の斜面には、スカレシア・ヴィローサという、葉に毛の生えているヒョロヒョロとしたかん木や、カットリーフ・デージーが生えている。やがて丘を下ると、そこには大きなラグーン(潟)が見えてきた。フラミンゴ・ラグーンだ。
 さぞやたくさんのフラミンゴが観察できるのだろう、と期待して、ラグーンのほとりまで行ったところ、遙か遠く、岸からおそらく150メートルぐらい離れたラグーンの真ん中に、ピンクのフラミンゴがポツンと一羽いるだけだった。ここでは多くても数羽程度で、群で見られることはほとんどない、という。それでもその1羽は、ゆっくりと歩きながら、しきりにエサを取っているのが分かった。時々、足で泥をかき回しては、くちばしを泥に突っ込んで、何か食べている(メモ4参照)。実に静かで優雅な光景だ。フラミンゴは、音などに敏感で、騒々しかったりすると、すぐ飛んで逃げてしまうというから、驚かさないよう注意しなければならない。
 ラグーンの岸辺は、やや干上がっている。乾いた粘土のような状態で、あちこちにひびが入っていた。雨期、乾期によって干満が激しく変わり、雨期にはひび割れたラグーンの底はあまり見ることができない。
 フラミンゴを10分程観察した後、ラグーンを右手に見ながら、北側の山の斜面を抜け、島の反対側にあるホワイト・サンド・ビーチを目指した。斜面には至る所に、干ばつに強いパロ・サントの木が生えている。スペイン語で、神聖なステッキの意。これはクリスマス・シーズンになると花を咲かすことから来ている。幹や枝は白色か灰色で、乾期には落葉する。傷つくと、テレビン油のような香りのする樹脂質の樹液を出し、その香りで虫を遠のける。そのパロ・サントの梢から梢へと、ミディアム・ツリー・フィンチやイェロー・ワーブラーが飛び回っている。さらにその上を、長くて白いヒラヒラした尻尾を持つトロピックバードが飛び去って行くのが見えた。

▽交尾するミドリウミガメ
 ホワイト・サンド・ビーチは、名前の通りきめの細かい白い砂でできている砂浜だ。手で砂をすくうと、さらさらとして軽い。すぐに指の隙間から落ちていく。渚には、モッキングバードがちょこちょこと歩いた、小さな足跡がくっきりと残っている。砂の所々に穴があいているが、これは、ゴースト・クラブ(幽霊ガニ)の隠れ家だ。警戒心が非常に強く、人が近付くとすぐに穴の中に隠れてしまう。
 この浜は、ミドリウミガメの産卵でも知られる。確かに産卵に適した、起伏の多い砂丘が続いている。産卵は、12月から6月までが最も盛んだ。既に卵は、この浜のどこかの砂の奥深くに産み落とされ、ふ化するのを待っているだけかもしれない(メモ5参照)。 ウミガメが茂みなどに隠れていないか探したが、見つからない。そこで目を海の方に転じると、ウミガメらしき影が波間に漂っているのが見えた。波打ち際から5メートルも離れていない場所だ。目を凝らすと、影は三つあることが分かった。すると、そのうち二つの影が重なった。さらに近付くと、何が起こっているかがはっきりと分かった。何と雄のミドリウミガメが雌に乗りかかって、交尾を始めたのだ。
 ミドリウミガメは雌の方が雄よりも大きい。そのため交尾しているときは、親ガメの背中に子ガメが乗っているような格好になる。実際、雄は前ヒレを使って雌にしがみついており、交尾中に泳がなくてはならないのは雌の方だ。雌は時々、前ヒレで水面をたたいたりして、しきりにバランスを取ろうとしているようだが、苦しそうにみえる。
 雌にとってさらに大変なのは、この交尾が終わったら、先ほどから少し離れた沖で待っている三番目の影、つまり別の雄が、同じ雌に対して交尾を仕掛けることだ。ミドリウミガメは、一対一の夫婦関係というのがなく、どの雄や雌とも、見境なく交尾する。だから、一匹の雌に対して雄が多いときは3匹も4匹も交尾の順番を近くで待つことがあるのだという。
 我々は20分近く、この交尾を見ていたが、なかなか終わらない。順番を待っている雄は相変わらず、沖で待機していたが、我々はこのビーチを去ることにした。

▽いきなりサメに遭遇
再びプンタ・コーモランの浜辺に戻った後、10人ぐらいのスノーケリング有志がゴムボートに乗り込んだ。フロレアーナの約250メートル沖合に浮かぶ岩の小島・デビルズ・クラウン(悪魔の王冠)に向かうのだ。名前の由来は、そばに悪魔のような顔をした魚(オコゼのこと?)が多いからだとか、あるいは、島自体が岩でゴツゴツして、醜い形をしているからだとか、諸説がある。島は死火山の一部で、以前は一つの岩島だったが、その後崩れ、大まかに言って、2つの島に分かれた。島と島の間は、浅瀬になっている。
 その小島のそばに近づくとボートは停止。皆そこから次々に海に飛び込んだ。水温は冷たく20度以下ではないかと思われる。潮の流れも非常に強い。水中をのぞくと、海に飛び込んだ地点はちょうど水深7,8メートルだったが、島から沖に向かって急激に深くなっている。そして驚いたことに、自分から約10メートルぐらい離れた海底近くにサメが泳いでいたのだ。サメはおそらく2メートル近いリーフシャークで、一度くるっと向きを変えると、そのまま、さらに深い方へ泳ぎ去っていった。サメの他には、スティングレー(アカエイ)、前日泳いだガードナー・ベイでも見かけた肩と尻尾の部分のオレンジ色が目立つキング・エンジェルフィッシュ、黄色に黒の斑点のブラック・スポッティド・パファー(フグの一種)、尻尾の黄色いサージョン・フィッシュなどがあちこちで泳いでいた。
 ここは、強い潮の流れに乗っていろいろな種類の魚が集まって来るためか、エスパニョーラのガードナーズ・ベイに比べると魚種も豊富だ。シャーク・ウオッチングの有名なポイントでもある。サメの多くは、常に泳いでいないと呼吸が苦しくなるという特徴がある。強い流れに逆らって泳げば、海水から酸素を楽に吸入できるため、好んで流れの強いところに現れるというのが通説だ。

▽猛スピードで泳ぐアシカ
 サメを見た後、潮の流れに逆らう形で時計の針と反対回りに、島の反対側に泳ぎ進むと、少し海底の地形がなだらかになったところに出た。相変わらずアカエイなどが泳いでいる中、突如現れたのが、シーライオンだ。いつも浜辺でゴロゴロしているシーライオンに見慣れてくると、海の中を泳ぐシーライオンは、敏捷で、新鮮だ。陸上に比べて、海の中では何と速いことか。特に魚を追っているときのシーライオンの速さは、目で追うのも大変なくらいだ。岩と岩の間をクネクネと猛スピードで泳いでいく。そのシーライオンを追っていくと、島と島の間の浅瀬に出た。浅瀬から島に上陸することも可能だ。
 島には小さな砂浜もあり、シーライオンたちがくつろいでいる。上の岩場の方を見ると、サボテンが育っており、所々の岩の上にグンカンドリやペリカンが羽を休めている。また、上から浅瀬を見ると、キラキラ光っている魚の群が見えたので、行ってみると、針のように尖った管状の頭部を持つ無数のニードル・フィッシュ(ダツの一種、ハリウオ)が銀白色の腹面を輝かせて泳いでいた。
 最終回となる次回は、乱獲で絶滅の危機に瀕した動物や、ダーウィンが進化論を思いつくきっかけの一つとなった有名なゾウガメの話などを紹介する。

(メモ1=恐れを知らぬガラパゴス・ホーク)
 チャールズ・ダーウィンは、このタカについて「銃で撃たなくとも、銃口で殴れば枝から打ち落とすことができる」と書いている。それほどタカは恐れずに人間に近付いてくる。それもそのはず、この鳥にとって、ガラパゴスでは自然界の敵は存在しない。つまり食物連鎖のトップに君臨しているのだ。敵がいるとしたら、それは別のタカしかいない。
 タカのエサになるのは、ヘビ、幼いイグアナ、モッキングバード、トカゲなど。もちろん、シーライオンや山羊の死肉も食べる。また、視力が抜群に良い。100メートル離れた上空から、わずか10数センチのラーバ・リザードを見つけ急降下、捕食してしまうというから驚きだ。

(メモ2=フロレアーナのミステリー)
ガラパゴスで最も有名なミステリーといったら、アガサ・クリスティーの小説ではなく、おそらくこのフロレアーナの物語だろう。1930年代に実際に起きた、入植者の奇妙な死と行方不明事件のことで、一人が不審な病死、もう一人が漂流死、二人が行方不明となった。今では、たった一人だけが生き残り、1980年代後半に「フロレアーナ」という本を出したが、真相は霧の中だ。

▽変人の医者が入植
 物語は、1929年、一風変わったドイツの医者、フリードリッヒ・リター博士が、愛人のドーラを連れてベルリンからフロレアーナに移住したところから始まる。リターは、大変な自然愛好者であるがために、人間が狩りで動物を殺すことを極端に嫌い、自分自身も菜食主義者で通していた。彼はまた、心が肉体を支配しているので、病気は気持ちで治せるとの哲学を持っていた。ドーラはそんな博士の哲学に魅了され、自分が患っている多発性硬化症もガラパゴスの自然の中で治せると信じ、博士についてきたのだ。二人は泉が出る死火山のほとりに家を建て、菜園をつくった。
 そんなリター博士の生活を聞きつけ、1932年9月には、同じドイツから、ウィットマー一家がフロレアーナに越してきた。一家は、あるじのハインツ、妊娠中の妻、マーガレット、それにハインツの連れ子で12歳のハリーの3人。ところがリター博士らは、ウィットマー一家を暖かく歓迎することはなかった。このためこの2世帯の間には、いつも何かわだかまりがあった。

▽怪しげな男爵夫人登場
 その年の11月には、別の入植者がやってきた。男爵夫人(女男爵)を自称するオーストリア人と、二人のドイツ人の愛人、それにエクアドル人の召使いだ。彼らは、島の北西のポスト・オフィス・ベイにかつての入植者が建てた家を占拠し暮らし始めた。高級ホテルの建設のために来たというこのグループの登場は、島に混乱をもたらした。というのも、彼らが来てからというもの、物はなくなるし、手紙はかってに開封されるなど、いざこざが跡を絶たなかったからだ。
 1934年3月になると、入植者グループの中にも亀裂が入り始めた。リター博士はドーラを冷たく扱うようになり、男爵夫人の愛人の一人、ロレンツは、寵愛を失い奴隷のような仕打ちを受けるようになった。加えて、干ばつが追い打ちをかけ、島の緊張は高まった。
 そんなある日、男爵夫人がウィットマー家を訪れ、ボートに乗ってタヒチに行くと告げたまま、愛人一人とともに行方不明になる。湾には、そんなボートがあったような形跡も、荷物を持って出た様子もなかった。ほどなく奴隷ような扱いを受けていたロレンツが、たまたま立ち寄った小船に乗って島を出る。ところが、エクアドル本土を目指したその船は潮に流され漂流。数ヶ月後に、北のマルチェナ島でその船の船長と一緒に、ミイラのようにひからびた遺体となって発見された。

▽そして一人だけが残った
 その年の12月には、リター博士が菜食主義者にもかかわらず、腐った鶏肉を食べ、病死した。ドーレはドイツに戻り、博士の死はマーガレット・ウィットマーのせいだと非難。マーガレットは、ドーレを非難した。政府当局はこれらの一連の出来事を調査したが、真相は全く分からなかった。
 ガイドによると、99年1月現在でも、マーガレット・ウィットマーは、当時の出来事を知る唯一の人物として、フロレアーナのブラック・ビーチで小さな喫茶店を経営して暮らしている、という。男爵夫人が住んでいたポスト・オフィス・ベイには、名前通り、郵便受け用の樽状の木箱が置いてある。この郵便ポストの歴史は古く、18世紀後半ごろから、捕鯨船の乗組員らが行きや帰りに利用していた。システムは簡単で、間もなく本国に帰る船がそこに立ち寄り、その樽の中に入っている手紙のあて先を見て、自分の住んでいる国のものがあったら、それを本国に持って帰り、切手を貼って差し出すのだ。今でもこのシステムは有効で、観光客らが自分で手紙を出したり、あるいは、配達人になったりしている。

(メモ3=エルニーニョの現象)
 普段は冷たい海域の水面温度が上がり、降雨量が異常に増える現象。水が豊富になるため陸上の植物や動物は繁殖するが、冷たい水域の小魚に依存している海鳥やシーライオンはエサが取れずに飢え死にするため、激減する。
 この現象は、南米大陸から太平洋に向かって吹く東からの貿易風が止んだときに起きる。貿易風は通常、南極からの冷たいフンボルト海流を太平洋の西の方向に押し出す役目を果たしている。ところがこの風が止むと、逆に太平洋の暖かい海水(エルニーニョ)が赤道に沿って南米大陸の沿岸に入り込み、海水の温度を著しく上昇させてしまうのだ。こうした水温の急上昇は、南米の気象のパターンを劇的に変えるだけでなく、世界全体で異常気象を引き起こす原因になっている、とみられている。
 1983年のエルニーニョ現象は、東太平洋の海水の温度を実に10度も上げた。その年のガラパゴスでは、ブルーフッテドなどの海鳥のコロニーは壊滅状態になり、シーライオンやファー・シールの餓死が相次いだ。一方、陸上では植物が大繁茂、フィンチは異常繁殖した。

(メモ4=フラミンゴのエサの取り方)
 このフラミンゴは、正式にはグレーター・フラミンゴ(大フラミンゴ)といい、ガラパゴス諸島の塩水のラグーンに、約500羽生息している。首は足と同じくらい長い。エサを食べるときは、先の曲がったくちばしをラグーンの泥の中に突っ込み、泥ごと口に入れる。口の中には目の細かいふるいのような構造があり、そこでエサとなるエビや小さなカニをふるいにかけ、必要のない泥や水はくちばしの横から外に出し、エサだけを飲み込むのだ。クジラのエサの取り方に似ている。

(メモ5=ウミガメの産卵)
 ウミガメの雌は2,3年に1度、産卵する。自分が生まれた海岸に戻ってくるというのが通説で、満潮を利用して上陸、さらに陸の奥の方へはい上がる。雌はまず、自分の体が入る大きさの穴を砂場に掘る。さらに卵用の小さな穴を後ろのヒレで堀り、そこに一度に70-80個の卵を産み付ける。再び後ろのヒレで卵に砂をかける。
 長いふ化期間中、卵は、甲虫、ゴースト・クラブ、家畜が野生化したブタなどの格好のエサになる。ふ化に成功した子ガメは通常、夜間に海を目指す。曇天などで夜と間違って外に出た場合は、タカ、へロン(サギ)、モッキングバード、グンカンドリなどが目ざとく見つけ、餌食になる。たとえ、運良く海にたどり着いたとしても、海は海で、サメや大きな魚、それにブービーやペリカンが待ち構えており、生存競争は厳しい。それでも生き残ったカメは、何年か経ち十分に成熟すれば、再び同じ海岸に戻ってきて産卵する。

「参考文献」
Boyce, Barry. A Traveler's Guide to the Galapagos Island, Galapagos Travel, 1990
Jackson, Michael H. Galapagos: A Natural History, University of Calgary Press, 1993
Rachowiecki, Rob. Ecuador & the Galapagos Islands, Lonely Planet Publications, 1997
Stephenson, Marylee. The Galapagos Island, the Mountaineers, 1989


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