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天の王朝

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白山菊理姫

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2015.06.02
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カテゴリ:歴史箱
ギリシャ神話のアドニスと同一神とみられているシュメル神話の神が、タンムズことドゥムジという牧畜の神です。

これは多くの研究家が認めており、定説になっています。というのも、どちらの神も植物の周期さながら冥界と地上を行き来する、死と再生の神と考えられているからです。そして、どちらの神も、地方によって呼び名こそ違いますが、夏至の月などある特定の季節に死と再生にかかわる祭り(タンムズの祭儀やアドニア祭)の祭神として崇められているんですね。それほど古代の中近東やエーゲ海沿岸地方では、生活に密着した重要な神だったわけです。一神教のはずのユダヤの暦でもタンムズは月の名前の一つ(太陽暦の6~7月ごろ)になっているぐらいです。

アドニスがドゥムジなのですから、当然のことながら「ドゥムジ」は「大国主」となって日本神話にも登場しています。
大国主がヤガミヒメを八十神たちと争うエピソードは、まさに牧畜神ドゥムジが農耕神エンキムドゥとイナンナ(愛と豊穣の女神)を争う物語そのものです。その結果、どちらも女神のハートを射止めました。そしてどちらも、どちらかというと争いごとの嫌いな優男として描かれています。

そういえば大国主の本名である「オオナムヂ」は「ドゥムジ」と音が似ていますね。「ナムジ(ヂ)」と「ドゥムジ」---これも偶然ではない可能性があります。調べてみたところ、シュメル語で「ドゥム」は子供とか息子という意味で、「ヂ」は生命力とか活力、あるいは真実という意味があるそうです。これに対して、「オオナムヂ」は偉大なる(オオ)大地(ナ)の男神(ムヂ)ではないかとの説が一般的です。どちらも生命力とか若さ、活力に関係する神であることが何となくわかりますね。

で、そのドゥムジなのですが、せっかく女神イナンナの夫になれたのにもかかわらず、イナンナに愛想を尽かされてしまいます。というのも、イナンナが冥界に行ったまま帰って来なかったのですが、イナンナがようやく地上の自宅(神殿)に戻ると、そこにはきらびやかに装って玉座に座り、のほほんとしている夫ドゥムジの姿があったからです。つまりドゥムジは妻がいなくなっても心配しないようなダメ夫だったわけです。この時のイナンナの心情は、大国主をスセリビメに取られたヤガミヒメの心情と重なりますね。自分を捨てて出雲国の玉座を手に入れたオオナムヂに対してヤガミヒメはブチ切れて、生まれた子を木の股の上に置き去りにしますが、イナンナも玉座に座るドゥムジにブチ切れて、ドゥムジを自分の身代わりとして冥界に送ってしまうことを決めてしまいます。

これによってドゥムジは冥界のガルラ霊たちに命を狙われて、逃げ回ることになるのですが、この時の描写が八十神たちに命を狙われて逃げ回るオオナムヂの様子と非常によく似ています。オオナムヂは御母神やオオヤビコによって何度も命を助けられましたが、ドゥムジもまた、姉のゲシュティンアンナやイナンナの兄(ドゥムジにとっての義理の兄)である太陽神ウトゥに何度も命を救われます。オオヤビコと言えば、スセリビメの兄ですから、義理の兄ということになります。大国主の神話では、ドゥムジの姉は「御母神」となり、「義理の兄ウトゥ」は「義理の兄オオヤビコ」となったわけですね。まったく同じプロットです。
(続く)






最終更新日  2015.06.02 14:25:50
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