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がんばれ、チャグム皇子――『天と地の守り人』第一部・第二部 (2007.2,4)
図書館で予約していた上橋菜穂子の『天と地の守り人』第一部、ようやく順番が回ってきました。表紙には「次の方がお待ちです お早めにお願いします」というシールが貼ってありました。予約殺到なのかしら。アニメ化の影響もあるでしょうが、それ以前からの根強いファンがたくさんいるということでしょうね。
物語の中身の方は、予想通りというか、新ヨゴ国を始め北の国々へ、海を越えて、いよいよ南の大国タルシュ帝国が侵略を始めようという緊迫した世界情勢。・・・余談ですが、拙作『海鳴りの石』で、舞台となる小国が海を越えた南方の大国に侵略されそうになる展開と、ちょっと似ているんです。野に下っている主人公の世継ぎが祖国を救おうとするところも似ていて、うーん、こうなるともう他人事とは思えません。ガンバレ、チャグム皇子。
第一部では、チャグムと女用心棒バルサがやっと再会し、祖国を救うため苦難の旅を始める・・・ところで終わっています。
すでに第二部、第三部(完結編)も出ているので、早く続きを読みたいですね。ところが第二部は図書館検索をするとただいま予約14人待ち! やっぱりこれは買うしかないかしら・・・?
それにしても、ヒロインのバルサは三十代もなかばの年齢となっていますが、まだまだがんばっています。大の男たちを素手でやっつけたり、身のこなしも相変わらず鮮やか。世に女戦士は数あれど、「女性であること」をただの一度も利用せず、つねに真っ向から敵に立ち向かうバルサは、他の追随をゆるさぬすごさを持っていると思います。
戦いの前に後に、体力的にムリが来てちょっと痛々しい場面もありますが、それでも弱音をはかない彼女には、脱帽です。
人間やっぱり、若いときにきたえた基礎体力が勝負ですね・・・などと、近頃ひしひしと体力の衰えを感じる私は思うのでした。
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『天と地の守り人』第二部を読み終えて今日、図書館に返してきました。
第一部は、行方不明のチャグム皇子を、ヒロインのバルサが見つけ出すまで。第二部は、二人がカンバル国へ旅して、王に、南から来る侵略軍から故国や隣国を守るための同盟を説きます。
ニッポンの天皇と同様、神の末裔ともいうべき、新ヨゴ国の皇太子でありながら、チャグムの人生は子どもの時から何と波瀾万丈なのでしょう。
今回も、刺客に襲われたり、祖国の将来を憂えたり、活性化する異世界にひきずられたり、ほんとうに盛りだくさんな苦難の道を歩んでいきます。彼が真の王になるためには、こんなにも試練が必要なのです・・・そして、それにまっすぐに向かってゆく彼は、傷を負い、よれよれになり、しまいにはカンバル王に膝を屈する(ポーズですけど)のですが、それでもなお純粋無垢なヒーローでありつづけるところが、いいですね。
バルサは今回、彼を守り導く役に徹しているせいか、さすがにちょっと老けました。中年女性と養い子、という異色のコンビは、今後さらにいい味を出していってほしいです。
物語はまだ終わらなくて、チャグムは侵略軍と戦いに、バルサは新ヨゴ国へ天変地異を告げに行く、というところで第三部に続きます。まだまだ前途多難な感じですが、とにかくガンバレ!と声援を送りたくなるような、精いっぱいの二人でした。
・・・第三部、図書館に予約を入れたら8冊に対して30人待ちでした・・・。
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