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シンプルでビューティフル。『6つの色』 (2006.5)
とつぜんですが、思い出話。
下の子が4か月のとき、気管支炎で夜中に緊急入院しました。母乳オンリーだったので私も24時間つきそうことに。
数日たって、上の子(当時4歳)がおばあちゃんに連れられて病院へ来ましたが、小児病棟には子どもは入れないので、病院の図書室で私と会うことにしました。
赤ちゃんの容態やら初めての入院やらで、私も上の子も精神的にかなりふつうじゃない状態だったみたいで、数日ぶりに顔を見てもお互いぼーっとしていました。で、とにかく図書室にいるので、
「何かご本を読んであげようね」
と言いますと、絵本の棚を少しさがして、『6つの色』を持ってきました。
ページをめくると、最初の方は、へびとキレイな色の丸しか描いてありません。文の方も、
あおと あかと きいろです。
あおと きいろを たべました。
おなかのなかで/あおときいろが ぐるぐるあわさって
ポトン/みどりいろが、でてきました。 ――とだこうしろう『6つの色』
こんな感じです。とってもシンプル。そして、疲れた目にしみるような、鮮やかな色。
読み進んでいくと、主人公のへびくん、「くろ」を食べて病気になり、「しにそうです」と書いてあります。なんとなく、気管支炎でゼイゼイいっている我が子のことを思いました。
すると、次のページで、
6つのいろは、かわいそうな/へびをみて かなしみの/あめをふらせました。――『6つの色』
そして、各色の雨は、それぞれ湖や果物や花になって、いままで余白の多かったページをゆたかにいろどり、その真ん中でへびは回復します。「かなしみ」から、実りが生ずるのです。
ストーリーもとってもシンプル。それなのに、私の心に何やらすごい感動が、ずしんと来ました。何だか涙が出そうでした。へびと色と雨とが、まるで神話のようでした。
数日後また上の子が病院の図書室に来たとき、すぐにまた『6つの色』を持ってきました。またくり返して読みました。
下の子は1週間で退院し、何年か過ぎ、ある日、某通販雑誌でこの絵本を見つけました。上の子に見せると、「あっこれ!」と彼もすぐ思い出した様子。で、買いました。
下の子が3歳ぐらいになると、自分でこの本をめくって、へびが「ポトン」と緑色のうんちをしているページを見て、おもしろがってゲラゲラ笑いました。うちの子もへびも、元気になってほんとによかったなあ、と私は思いました。
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