ペルシャじゅうたんのような絵『シンドバッドの冒険』
先日、我が子より一つ上の6年生向け「読み聞かせスペシャル」を見に行きました。 6年生ともなると、ボランティアのお母さんたちもベテランで、色々なジャンルの絵本が登場し、見応えも十分。そしてプログラムの最後は、『シンドバッドの冒険』のスライド上映でした。 シンドバッドは、ご存じアラビアンナイトの有名なお話。さまざまな本や絵本がある中で、今回使われていたのはルドミラ・ゼーマンという人の作です。 ますいいなと思ったのは、アラビアンナイト全体の枠組みである、王妃シェヘラザードが王に物語を千一夜のあいだ語り続けたという話がきちんと紹介されていること。アラビアンナイトの最大の魅力の一つは、不思議な物語たちが語られた舞台――男と女・生と死・愛と憎しみがからみあう、そのロマンティックな緊迫感――にあると私は思うからです。 それから、絵が凝っています。エキゾチックで細かな絵は、1ページ1ページ、もっと細かい複雑な動植物の模様のふちどりで囲まれ、まるで絢爛豪華なペルシャじゅうたんのよう。 作者の説明によると、 王さまは・・・シェヘラザードが語ってくれた物語を・・・色あざやかな絹のじゅうたんに織りこませました。職人たちが金の糸でこまやかに織りなした模様のかずかずは、これまでも、そしてこれからも、世界じゅうの人たちにほめたたえられつづけるでしょう・・・ ――ルドミラ・ゼーマン『シンドバッドの冒険』脇明子訳 それでこの作者も、じゅうたんやイスラムの細密画を参考にこの絵本を描いたのだそうです。こういうマニアックな本って、ずっしりと作者の思い入れがつまっている感じがして、それをとことん味わうために何度も見返したくなります。 今回のスライド上映はこの絵本だけでしたが、続きに『シンドバッドと怪物の島』『シンドバッドのさいごの航海』があり、6年生のボランティアさんは「『さいごの航海』がロマンスたっぷりで、特にいいよ!」とすすめてくれました。 ぜひまた読んでみなくては。