大急ぎで終わりましたね『妖精国の騎士』
54巻でついに完結。連載20年の大長編ファンタジー『妖精国(アルフヘイム)の騎士』の最終巻が、昨日届きました。 いや~、クライマックス・ラストスパートが何年も続き、かなり息切れしつつ、でも何とか終わりましたね。 ただ、これだけ長い物語の「終わり方」というのはホントに、読者が長年、期待したり予想したりしていますから、なかなかむずかしい。中山星香の物語は、いつも、それまでの盛り上がりに比べると実にあっさりと終わるのですが、今回もそう。最後の大どんでんがえし的なものは、あるにはありますが、驚くほどじゃなくて、いろんな懸案事項がパタパタパタっと片づいて、予想通りの終わり方がハイハイハイッと描かれて。 まあ、くどくどだらだら終わるのも疲れますから、それはそれでいいんですが、いつも思ってしまうのが、最後に来てこんなに大急ぎで終わるのは、もしかして紙幅が足りなかったんじゃない? ってことです。(単行本で少しは加筆しているようですが、それでも圧倒的に足りてないんじゃない?) グラーン王の最期とか、ローゼリイとオディアルの最期の決闘、アーサーとローゼリイの再会、ローラントの戴冠など、そういう山場は、ホントはひとつひとつ、ぶち抜き見開きの画面で見せたかったんじゃないでしょうか? なのに、連載の最終回の枚数に、すべてをつめこめなくて、絵が小さくなってしまったような気がします。 それに、積み残した課題(?)もかなりたくさんあります。 いちばん意外だったのは、ローゼリイVSオディアルが決着をつけずに、水を差された形で終わってしまったこと。宿命の対決ですから、徹底的にやってほしかったですね。 それから、多くの読者が感じたでしょうが、ローラントは誰と結婚するのか?という問題。あっっさり続編へ持ち越されてしまいました。 来年からは後日談が連載されるそうなので、まあ書ききれなかったあれこれのうち、いくらかは消化されるのでしょうが。 次へとつながる終わり方の方が、商業的?には読者をますますひっぱってゆけるのかもしれませんね。 さて、前に53巻を読んで心配した「アーサーは父王を殺せるのか?」の大疑問は、うまく解決されていて、よかった!さすが! という感じです(アーサーは父を殺さずにすみました。グラーン王は土壇場でちがう原因で命を失います)。 そして、人界における悪の親分グラーン王は、権力に倦んだ孤独で気の毒な人として、あの世へ旅立ち、亡くした二人の王妃に迎えられ、ちょっとほろりといたします。でも、星香ワールドの設定によると、死者の魂は地獄の猟犬に追われながら冥府を駆け抜けるんですけど、そしてロリマー王みたいな小心な悪人は猟犬に引き裂かれたりしたんですけど、はたしてグラーン王は猟犬のあぎとを逃れて光の国(ルシリス)に到達したんでしょうか。二人の王妃が導いてくれたのかなあ。気になるところです。