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カテゴリ:気になる絵本
純愛モノということで前回、CRALAさんご推薦の『100万回生きたねこ』を読み返してみました。これは実は、『絵本と童話のユング心理学』(山中康裕)という本で紹介されていたのを読んで、私は買ったのです。
その本の中で、とらねこの奥さんになる白いねこは、とらねこの心の中の永遠の女性像(アニマ)だと解説してありました。 100万回死んで生き返るという繰り返しの果てに、とらねこが出会った一匹の白いめすねここそ、運命の相手だったわけですが、とらねこは白いねこと愛し合って、子供を育てて、相手を見送って100万回泣いて、自分も死んでゆきます。 別の見方をすると、運命の相手と結ばれて充実した人生を送るまでには、100万回の生き死にをしなければならないのでしょうか。自分で選んだ積極的な人生でないとはいえ、ある時は王さまのねこ、ある時はどろぼうのねこ、ある時はおばあさんのねこ…などと、色々さまざまな体験を積み重ねた末に、やっとやっと白いねこに会えるのです。 運命の相手に出会うというのは、それほどたいへんなことなのかもしれませんね。 でも、相手の白いねこにとっては、まだ1回めの生にして、いきなり運命の相手である100万回生きたとらねこに出会っています。 とらねこが100万回生きた体験を語っても、彼女は「そう」としか言いません。他のねこのように、とらねこをちやほやしません。 最初、私はこのつんとした「そう」というセリフは、自分で選んだ生き方でなければ何回生きようが自慢にはならない、という意味をこめて、白ねこが“そんな過去のあなたなんかどうでもいいのよ”と考えてているのかと思いました。 でも、そうではないような気もします。白ねこは、100万回分のとらねこの今までの人生をそのまましっかり自分の胸に受けとめて、「そう」と言ったのではないでしょうか。 だとすると、「1回も生きおわっていない」白いねこといえども、運命の相手に出会って一緒に生きていこうとするとき、100万回分の人生をともに背負って?いくことになるのではないでしょうか。 「そう」の一言で、100万回の人生をかかえたとらねこを受けとめた白いねこ、すばらしい女性ですよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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