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テーマ:お勧めの本(7171)
カテゴリ:かるいノリで古典を
「第2編」つづき。
メルローズの修道院では、ステンドグラスに射す月光が、大魔術師マイケル・スコットの墓の位置を示します。ここで案内役の老修道士が昔を語ります。老修道士は若い頃、十字軍に従軍し、異国でマイケル・スコットと知り合ったのでした; 「彼は人々に恐れられた名高き魔術師で、 スペインのサラマンカの洞窟に居ても、 魔法の杖を一振りするだけで パリのノートルダムの鐘を鳴らすこともできるほどだった! そのマイケルが死の床に横たわった時、 良心がめざめ、 みずからの罪深い魔法のおこないを悔いて 私を呼んだのだ。 私は誓った、マイケルと一緒に彼の強力な魔術書を埋葬すると。 死すべき人の子らが決してこの書物を見ることなきように。 そして、この書物の隠し場所を口外しないと誓ったのだ、 ただし、彼の一族であるブランクサム城の長が必要とする場合を除いては。 私は彼を聖ミカエル祭の晩に埋葬した、 月の明るい晩、鐘が一時を打ち、 内陣の床に赤い十字の染みがついている刻限に。 彼の守護聖者であるミカエルの十字架が目印となり また悪鬼どもを墓から追いはらってくれるだろうと思うてな。 マイケルを墓に横たえたあの夜は、 哀しくも恐ろしき夜だった! 内陣には奇妙な音が鳴り響き 風もないのに旗がはためいたのだ」 ――修道士がそう話しやまぬうちに、鐘が一時を打った! そう、 難局に役立つデロレインのウィリアムは かつて敵へと軍馬を駆りたてた者の中でも最も勇敢な男だったが その彼でも、この時ばかりは恐怖に少し寒気がして 髪の毛が頭の上で逆立った。 ――サー・ウォルター・スコット「最後の吟遊詩人の歌」第2編より第139~142、150~153、160~163、166~181行(訳はHanna) いよいよ、墓あばきです。老修道士が血のように赤い十字架の映った敷石をすべらし、隠してあった鉄の棒を露出させると、ウィリアムが怪力でその棒をつかんで敷石を持ち上げ動かします。すると、摩訶不思議、地下の墓からこの世のものならぬ光がさんぜんと流れだし、修道士の青白い顔とウィリアムの鎖かたびらや羽根飾りを照らし出します(これは、古代墳墓の中を照らすという伝説の、永遠に燃え続ける魔法の灯りだそうです)。 そして、死んだ魔術師は、まるでさっき死んだばかりのような堂々たる姿で墓に横たわり、左手に魔術書を、右手に銀の十字架をつかんでいました。あやかしが群がり寄ってくる!とせかされて、ウィリアムは恐怖に打ち勝ってその魔術書を死者の手から取り上げます。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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