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HANNAのファンタジー気分

September 30, 2010
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カテゴリ:映画と原作
 本日、最終日だったので観てきました。ポニョの大騒ぎに比べると、世間の評判も映画の内容もぐっと地味で、でもトトロあたりの作品に回帰したような緻密さと真面目さが感じられました。

 むかし「ウォーターシップダウンのうさぎたち」のアニメ(イギリス)を観て、野原の草の茎一本、葉っぱ一枚までなんと細かく正確に、美しく描き出してあるのだろう、これは日本のアニメではやらないことだなあ、と思いました。でも「借りくらしのアリエッティ」の景色のこまやかさは、それを超えた感じがします。
 小人の話ですから、景色も虫眼鏡で観たような細かさが大切。床下にさしこむ日光から壁紙の織り目まで、マニアックなほど緻密ですばらしかったです。宮崎監督、今日びのCGや3Dに対抗しているんでしょうね。

 珍しくほとんど空も飛ばず(野性的な小人スピラーがむささびみたいに一瞬飛んでましたが)、舞台も古屋敷の敷地内に限定されています。でも時々、アリエッティが広くて大きい人間の部屋を初めて見るところとか、敷地のはずれから町並みを見晴らすところとか、ぱあっと広角になる景色があって、そのパノラマが印象的でした。

 物語は「ハウルの動く城」や「魔女の宅急便」などと比べて、ずっと原作沿いになっています。アリエッティと友達になる男の子は、日本人になっているけど、病弱という点では同じだし、ちょっと騒ぎ屋さんのホミリー(お母さん)は外見も中身も原作とあまり変わっていません。
 男の子がアリエッティのことを「小人の最後の一人になっちゃうかも」と言って彼女を怒らせるところなど、せりふにも原作を意識したところがたくさんありました。
 きっと宮崎駿さんというのは、『床下の小人たち』を読んだあと、物語を自分の身近な舞台(現代の日本)に移し替えて味わい直したのでしょうね。ファンタジーというのはそういう読み方もできるんだなあと、改めて思いました。
 私は洋ものや異世界ファンタジーを読むと、そちらの世界のほうへどっとはまってしまうたちで、宮崎駿さんのように、ファンタジーを自分色の世界へ引き寄せるということは、したことがありません。ファンタジーの「宮崎流語り直し」が、原作世界を壊さず、尊重した上で、また違った味わいを持たせることは、何作品観ても驚きですね。

 そしてまた、宮崎流の「アリエッティ」は、小人族を「ほろびゆく美しい種族」と定義することによって、今はやりの「生物多様性の大切さ」をしっかり訴えています。また、父・母・娘が助け合うアリエッティ一家と、孤独な男の子(でも大きな屋敷を相続するのかもしれない)翔を対比させて、現代の家族の形をも問うています。

 そんな高尚なテーマに思いをはせつつ、映画ではお手伝いのハルばあさんの俗っぽさに思わず笑いを誘われました。声の樹木希林そのまんまの顔のこの人、アリエッティから見ると「悪役」なんですが、ホミリーを捕らえた時にも珍しい虫をつかまえた子供のような無邪気さがあって、憎めません。
 それにしても、今回も声優陣にはきら星のごとく大物俳優さんがそろっていますが、これって宮崎駿さんの趣味、なんですかねえ。






Last updated  September 30, 2010 11:27:40 PM
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