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カテゴリ:絵本の読み聞かせ
![]() 主人公ルイは引っ越してきたばかりで孤独。そこで、からの靴箱を工作し、慣れ親しんだ以前の町と友達を飛行機で訪ねることを夢想します。原題 The Trip はこの空想の旅のことでしょう。 空想といっても、その過程はとても具体的。靴箱の一方の面全部とフタの一部を切り取って色セロハンを貼り、中には紙を切った町をつくり、紙飛行機をフタからつるし、セロハンの反対側にはのぞき穴を作るのです。 ルイがいっしんに工作するページをめくると、いきなりそこはのぞき穴から見た町の景色。色セロハンごしに光をとりいれているせいか、何とも深い色合いの、不思議で幻想的なビル街の絵です。つるされた飛行機には立体的な影があります。その飛行機に乗りこんで、ルイは影の町を再訪。 落書きのある塀にうつるゆがんだ影。奇妙な仮装をした以前の友人たち。路肩の暗がり。 ほんの少し前までルイの日常だった町や人が、引っ越したという事実によって、なつかしいのにどこか無気味な、影の濃いものに変わっています。ルイは心の中で、以前の町や友は、もう別れを告げた過去なのだと分かっているのですね。再び訪れても、以前とは違っているのです。 しかし逆に、違って見えても本質的に変わらずなつかしく迎えてくれる部分もあります。あやしげな仮装の下からなつかしい友達が次々に出てきてルイもまた一緒に遊ぶ、そのように。 友人たちはハロウィンの仮装をして、暗い町へ繰り出していたのです。ルイは彼らと遊び、一緒に飛行機に乗って町を飛び回ります。窓からのぞいているなじみの人々・・・ そしてルイは現実へ帰ってきます。外からもハロウィンに繰り出した子供たちの声がして、彼は新しい友達となるべき彼らといっしょに今から出かけるでしょう、というところでお話は終わりです。 ひとむかし前の、ちょっと無気味で幻想的なハロウィンの雰囲気が味わえる絵本です。 “行きて帰りし”(トールキン『ホビットの冒険』の副題)ファンタジーの構造をきっちり備えていて、最後はほっとできます。 もうじきハロウィンということで先日、4年生に読み聞かせしましたが、箱の工作のところで男の子たちが興味を引かれていたみたいです。 「キャンディくれなきゃいたずらするぞ」は定番の言葉ですが、その他にハロウィンの祭のはやし声が「わっしょい、わっしょい」と日本の夏祭みたいに訳されているところが、ちょっと古さを感じます。原文がどうなっているのか知らないんですが、「新しい訳で再版されてほしいよね」と、読み聞かせ仲間から声があがっていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 29, 2010 12:14:02 AM
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