2010/12/10(金)22:02
またまた笑える!『リスとはじめての雪』
先日の『リスとお月さま』の続編です。
今度も期待して表紙をめくると、「お月さま」が最初にころがり落ちていった崖と同じ風景、ただし木ははだかになり枯葉が風に飛ばされています。
リス氏はあの時と同じ木の枝にいます。いつも冬眠するので雪を見たことがない彼は、ヤギに、
ふゆっていうのはね、…(中略)…とってもきれいなんだ。雪がふってきて、なにもかも まっ白になるんだ!
――ゼバスティアン・メッシェンモーザー『リスとはじめての雪』松永美穂訳
と教えられ、雪を見るまで起きていようとがんばります。
冬枯れの美しい森で、眠気と戦いながら待ち続けるリス氏。そのぼさぼさの顔の、何とも味のある眠そうな表情。前作で月、いえチーズを背中に刺していたハリネズミと、新顔のクマがリスの仲間に加わります。このあたりまでは、楽しいけれどごく普通の展開です。
3匹は、雪を見たことがないので、「白くて、しめっぽくて、つめたくて、やわらかい」というヤギの言葉を頼りに雪を捜し始めます。やがて3匹とも、とんでもないものを雪と勘違いして、・・・出ました。とつぜん挿入される、空想のページ。
リスやハリネズミが雪と勘違いした変なモノが、空からいちめんに降ってくるところ(2匹の想像図)が超リアルに描かれています。かなりシュールですが、それなりに美しい絵なのが笑えます。
クマが雪だと思ったモノは、ちょっと臭い。空からおちてくるモノはみんな臭いな、というハリネズミのせりふには、前作の月=チーズのことをふまえています。
さて、最後にほんとの初雪が降ってくるのですが、その荘厳な美しさは、変なモノが降ってくる絵のあとだけに、いっそう感動的です。もうせりふはありません。3匹はだまって雪に見入り、それから、雪と、勘違いした変なモノとで、すてきなものを作ります。
満足して眠る3匹の、なんと幸せそうな顔。さらにラスト・ページにも小さなオチがあります。
変なモノとは何なのか、今回はばらさないでおきます。実際にページをめくった時の新鮮な驚きと笑いが大切に思えるからです。