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カテゴリ:近ごろのファンタジー
土日に、雨空のもと、朝ドラ「ばけばけ」の余韻の残る松江城や小泉八雲記念館を観光し、玉造温泉に一泊して翌朝、玉湯川の奥の玉作湯神社を訪ねました。左写真は、玉湯川にかかる宮橋で、この左の木の茂るあたりに神社の入り口があります。玉造という地名は大阪市や、他にもいくつかありますが、どれも古代の勾玉づくりにゆかりの土地。中でも松江の玉造は、三種の神器の一つ八尺瓊(やさかに)の勾玉(一つとも八つとも。一つの場合、緑色だという)を作った所と言われているそうです。 奥のせばまった谷あいにまた一つ村があり、どうやらここが玉作村だった。 …[中略]… 村は…工人の村だけあって…大きな館があるので長のものかと聞くと、そうではなく工房だといわれたりする。 …[中略]… 庭はこんもり茂る森につづいている。そして森にわけいる小道の先に、小さな鳥居とほこらが建つのが見えた。 ――荻原規子『白鳥異伝』 行ってみると、ほの暗い木陰に隠れるように一の鳥居が、すぐその内側に苔むした二の鳥居があり、その奥は狭い石段が急角度に上へ続いていました(左写真)。二の鳥居の左には神社名を記した古い石碑、右には細道が木下闇へ続いています。石段横手で勾玉形のお守りを売っていました。私はもちろん緑のを買いました。売り子さん(巫女さんかしら)の話では、大和(奈良)の勾玉と形が少し違って、まるっこい素朴な形なのが出雲の勾玉だそうです。ほかに、拝殿脇の「願い石」で願掛けをするのに使う小さなパワーストーンも売っています。出雲石という青めのうの一種(ちょっと混ざりけのあるやわらかな青緑色)があるそうですが、売っていたのはわりとキレイな緑色でした。 さて石段を登っていくと、どんどん森が深く空気も濃密になる感じ。 途中に荒削りの石を積んだだけみたいな灯籠(右写真。「文久」という年号が見える)が、やはり数種類の苔に覆われてしっとりと立っていたり、付近の工房の遺跡から出土した玉や工具などを収めた古い収蔵庫が隠れ家のようにあったりします。登り切ると、もっと精巧な灯籠や、狛犬もありましたが、そのすぐそばまで巨木の太い幹やつやつやした枝葉がせまっています。本殿のある敷地は白く平らですが、ひしひしと森の精気に取り囲まれているみたい、森林浴なんて上品なものではなく、ちょっと怖いような幽暗の世界。 重そうな屋根の拝殿は、杉の木を左右に従えていました。まつられているのは、玉造の祖神、櫛明玉(くしあかるたま)の命。おお、『白鳥異伝』に出てきた櫛明彦(くしあかひこ)ですね。征服されたとき、秘宝の嬰の勾玉の代わりに次々と偽の勾玉を献上してついに玉造師の祖先となった玉作り名人です。 右手には、吸い込まれるようにまっくろな池があり、そばには他にも色々な神様をまつる小さな社がたくさん並んでいました。古代というか自然崇拝のパワーが満ち満ちている感じです。 さらに右奥の水の湧き出すところにあるのが、「願い石」。同行の友人は教えてもらった作法にのっとって願掛けをしましたが、私はその右隣の石が気になりました。青緑色につやめいていて、勾玉の原材料である石のようです(左写真)。あとで調べたら、「御守石 碧玉・青めのう」という札が立っている写真が観光案内サイトにありました。玉造温泉の東に広がる花仙山から採れたという、碧玉混じりの青めのう「花仙石」なのでしょう。『白鳥異伝』では、本物の嬰の勾玉は、櫛明彦の末裔に代々受け継がれてきた小さな牙のような形のお守り石でした。もしかしたら、この「御守石」のような色だったのかもしれません。 玉作湯神社の近くには、温泉の他にも、玉造り関連の遺跡や資料館、公園など見所がまだまだあるようです。機会があれば、また訪ねてみたいと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 24, 2026 10:32:47 PM
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