短編 だんごむしの おみせやさん
久しぶりに創作短編童話です;だんごむしの おみせやさん あきの おわりの、しずかな あさ。 こうえんの すみに、ちいさな おみせが でました。 おちば いろいろ はっぱを ならべているのは、だんごむしさん。 おや、さっそく おきゃくさん。「いらっしゃいませ。」「かぞく みんなで あったまる、おおきな おふとん ありますか。」「はい。なにいろに いたしましょう。」「ぼくたち てんとうむしの だいすきな、おひさまの いろが いいな。」 てんとうむしさんは、おおきな あかい はっぱを えらびました。おかねの かわりは、きのこです。 おさんぽちゅうの ちょうちょさんも、「あら、これ、わたしの はねみたい。きれいで、かるくて、じょうひんで。おへやの カーテンに ぴったり。」 ちょうちょさんは はなの みつを くれて、きいろい はっぱを もっていきました。 だんごむしさんが ちゃいろい はっぱの ひるごはんを たべていると、「ぼくにも ください。」 つつーっと おりて きたのは、みのむしさん。「じくの ところが ほしいんだ。おうちの やねに するんだよ。」「じくは サービス、ただです。」「わあ、おちばが いっぱい!」 こどもたちが おみせを みつけました。「まるいの、ながいの、とがったの。おてての かたちの はっぱも あるぞ。」「あなあき はっぱも、おもしろーい。」 おやつの ぶどうの かわを もらって、おちばの おみせは だいはんじょう。 みんなが かえって、ゆうがたです。 つめたい かぜが ぴゅうー。「だんごむしさーん。」 おや、まだ だれか おきゃくさんかな。 いいえ、それは ゆき。 ふわふわ、ちらちら まいおりながら、「こんやは さむくなるよ。はやく おうちへ はいってね。」「ふゆが くるんだな。」 だんごむしさん、そろそろ みせじまい。 おわり じつはこの作品、所属している児童文芸家協会の保育絵本用作品に応募したのですが、まるっきり落選してしまったものでした! 保育絵本には、季節感や行事が盛りこまれるのが良いという注意点があったので、留意して作ってみたのですが、あとから選考結果の総評を読むと、年少組さんから年長組さんまで、それぞれいちばん大事なテーマは、友人といる楽しさ、相手の気持ちを知ること、知恵や工夫、だそうです。 なるほど! 知ってしまえば当たり前の大事なことばかりですが、私にはそういう視点はまったくなかったです。 自分が幼稚園のころ毎月もらった保育絵本のなかでは、自然科学っぽいお話が大好きだったので、そんなふうに作ってしまいました。 また機会があったら、今回学んだテーマで再チャレンジしてみたいものです。