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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

泉ユキヲの読書メモ 32

平成31年1月1日からの実況です。項目ごとに、日付を遡る形で記載しています。
ひとつ前の 平成30年7月1日~12月31日 の実況はこちら。


読 書:
<図書館などから借りて読了>

令元1002 新版私説東京繁昌記     (筑摩書房、平成4年刊)   小林信彦 著、荒木経惟 撮
(本篇は昭58~59に『海』誌連載後、昭59に刊行。その8年後のさらなる「町殺し」を慨嘆する付録つきが新版。いまの欧米一流都市なみに見える東京ができる前の、いま思えば一地方都市なみの、安易に言うなら猥雑な東京を記録する。小林信彦さんの文章を読むのは初めてかもしれない。このジャンルは今では無料ブログに移行してしまい、カネにならないのではないか。それとも有料メルマガで生きる、のかな。)

令元0925 東西味くらべ   (角川春樹事務所 ランティエ叢書、平成10年刊)   谷崎潤一郎 著
(アンソロジー。握り寿司への薀蓄が極まるが、発酵食品にはさほどの興を覚えぬお人のよう。潤一郎33歳の1919年、『大阪朝日』掲載の「美食倶楽部」が口腔を淫猥に描きまわす。)

令元0908 The Art of Understanding Art: a New Perspective   (Profile Books, London 平成27年刊)   Hugh Moss 著、Peter Stuart 挿画
(アートは consciousness を別次元にまで transcend させてくれるものなのであり、西洋では intelect が暴君然として介在してきたが、中国の書画は西洋のはるか以前にアートのあるべき高みに達していたと。論の筋立てに中国という座標軸を入れたところが新鮮。じっさいにアート作品を買い始める前に、自ら空想上のコレクションを綿密に組み立てて練習するのがよいと説くが、まさか著者本人はそれを実践してはいないだろう。)

令元0901 英語通ならこれだけは知っておきたい72の表現   (朝日出版社、平成28年刊)   浅田浩志 著
(現代英語のピリッとした言い回しを、表現ごとにいくつもの用例を添えながら解説し各2ページの読み物に仕立てた好著。著者は言語学習の本質をよく心得ている。)  

令元0817 世界史の新常識    (文春新書、平成31年刊)   季刊『文藝春秋SPECIAL』から編集部が編集
(渡辺惣樹(そうき)「共和党対民主党 日本人が知らないアメリカ史」は必読。民主党はもともと南部を地盤とする人種差別を党是とする政党だったが、南部の白人の経済レベルが上がって黒人搾取構造の必要が低下し支持が下がると、がぜん大転換してリベラル派取り込みに打って出た。どこまで行ってもゆがんだ政党だ。|加藤隆「<キリスト教>はイエスの死後につくられた」も納得だ。古代ユダヤ教では「人が何をしても神を都合よく動かすことはできず、神が一方的に動くしかない」とされ、イエスもその考えだったが、ペトロが集団組織原理を導入すべく「人間の側の活動が神を動かしうる」ことにしてしまった。以来、この宗教もご都合主義だらけだ。)

令元0724 英語の処方箋 「日本人英語」を変える100のコツ    (ちくま新書、令和元年刊)   James M. Vardaman 著、安藤文人 訳
(多様なポイントをコンパクトに網羅。「類義語」には「単語の繰り返しは避ける」と題して2ページ充てている。board the train, get on the train あるいは repetitiously と repeatedly のようなペア。| TOEIC に出てくる server が waiter/waitress の PC 代替語であること、はじめて知ってなるほど。)

令元0715 USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門    (角川書店、平成28年刊)   森岡 毅 著
(名著。どうも著者は三菱商事にも内定していたようで、それを蹴って P&G に行ったことを正しい選択だったと言いつつも、一抹の未練を漂わせる。|カレーと すき焼の落としどころで「カレーすき焼」を作っても消費者最適ではない。しかし現実には役員に上がるのは「カレーかすき焼かを選んでほしい」ではなく「カレーすき焼をやるかやらぬか選んでほしい」になってしまっている。|マーケティングとは「売る仕事」ではなく「売れるようにする仕事」。ネット転売屋との戦いの修羅場がすごい。そして、設備投資をせずにゾンビー役者らの動員でもって日本人にとってのハロウィーンを変えた2011年は、なんと偉大な日本文化史の転換点だろう。|恩返しのかわりに、若い世代へ「恩回し」。|会社は社員の「強み」に対して給料を払っているのに、日本人の多くはあまりにも弱点克服に比重を置きすぎた「ドM気質」。多くの人にとって弱点克服が難しいのは、意識変化と行動変化(能力変化)のタイムラグに耐えられないから。その人の強みは、必ず「好きなこと」の中に埋まっている。)

令元0713 GAFA 四騎士が創り変えた世界    (東洋経済新報社、平成30年刊)   Scott Galloway 著、渡会圭子 訳
(GAFA は限界線を知らぬ生命体のように見えて気味が悪いが、マーケティングの窮極の成功系だ。|それにしても、巻末ちかくに言う「上司を助けても感謝はされないが、部下を助けると感謝される」は至言。「上」とは、しょせんそういうものだな。)

令元0629 共通語の世界史 ヨーロッパ諸言語をめぐる地政学    (白水社、平成30年刊、原著 平成4年刊)   Claude Hage`ge 著、粕谷啓介・佐野直子 訳
(さまざまな言語を携えつつ流浪したユダヤ人の歴史に胸を打たれる。ロシア語の隠然たる偉大さを再認識した。)

令元0616 堕落論・日本文化私観 他二十二篇    (岩波文庫、平成20年刊)   坂口安吾 著
令元0614 坂口安吾全集04    (筑摩書房、平成10年刊)   坂口安吾 著
(「堕落論」「続堕落論」「白痴」「日本文化私観」の4篇を読んだ。逆説から真理にいたる道筋が確かだ。危険だが必読と言うべき。)

令元0610 下町ロケット ヤタガラス    (小学館、平成30年刊)   池井戸 潤 著
(池井戸作品、熱い! とりつかれたような筆致が綿密な構想力に裏打ちされているのが、さすが。ちなみに、テレビドラマ以上に的場俊一がとことんイヤラシいね。)

令元0610 プログラミング教育はいらない GAFAで求められる力とは?    (光文社新書、平成31年刊)   岡嶋裕史(ゆうし)
(プログラミング教育が、青少年の良質な「試行錯誤」の場たりうることは分ったが、実体としてはそもそも教育内容もメソッドも未整備で、まさに生体実験開始!だ。霞ヶ関のデッカチ頭と現場との連携のなさが際立つ。|≪アイデアと言うと、得てして突飛なものが求められるように感じられがちである。しかし、誰も考えもしなかったような突飛なアイデアは、やはり誰にも求められていないことが多い。ビジネスとして成功するのは「みんな欲しいと思っていたけど、実現は不可能だと考えられていた」程度のアイデアであることが多い。≫ ≪プログラミングは決して時間単価の高い仕事ではなく、近年ではプログラミングのアウトソーシングやオフショアリングも進んでいる。社会インフラやプロダクト、サービスの立案者・企画者が必ずしも自らプログラミングする必要はない。しかし、プログラマーと直接対話できる水準の情報技術を有しておくことは、高い品質のインフラやサービスを生み出すための重要な要素である。≫|COBOL開発者のグレース・ホッパー曰く「いい考えは実行すべき。許可をもらうよりも、謝るほうが簡単なのだから」。)

令元0602 チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話    (現代書館、平成27年刊)   黒田龍之助 著
(ポーランド語とチェコ語がわかると、この本もすいすい読めた。黒田さんはイタリア語は得意だがドイツ語はそうでもないらしい。)

令元0530 チェコ語の基本 入門から中級の入り口まで     (三修社、平成24年刊)   金指久美子 著
(全32課中、24課までやったところで、いったん返却だ。チェコ語をやったおかげで、ポーランド語も裏口から攻めた感じがする。)

令元0530 あなたに伝えたい政治の話     (文春新書、平成30年刊)   三浦瑠璃 著
(≪難しい判断を現場に押し付けることは、法治国家では絶対にやってはいけないことです。≫ ≪今回の合意によって、日本社会には、今後韓国(人)は慰安婦問題を持ち出さないという期待が生じているかもしれませんが、その期待はほぼ確実に裏切られる運命にあります。韓国国内に存在する強い反日世論は変わりませんから、反日運動は続きますし、日の丸が焼かれることも続くのです。≫ ≪韓国政府も、慰安婦問題で日本政府を「批判」することはしないかもしれませんが、慰安婦問題を「記憶」し「顕彰」するための活動は当然継続するはずです。≫)

令元0520 チェコ語のしくみ     (白水社、平成19年刊)   金指(かなざし)久美子 著
(この本のみでは分かりにくかろうが、いまのぼくには最適だった。アクセントが第1音節にあることや、se や過去形人称助辞の jsem などが文の2番目を占めようとすることなど、『チェコ語の基礎』に書かれてないことが本書に書いてあり、助かった。やはり言語学習の初期には何冊か読むことだ!)

令元0518 プログラミング教育ってなに? 親が知りたい45のギモン     (ジャムハウス、平成30年刊)   石戸奈々子 著
(役人が書いた答辯書みたいな本。やはりプログラミング教育は、生体実験じゃないかな。学校で学ぶより、みんな自分で学んでるだろ。性教育みたいなものだな。)

令元0517 傍流の記者    (新潮社、平成30年刊)   本城雅人 著
(新聞社の人間群像がリアルに描かれる。記者志望前にこの本との出会いがあったならな。)

令元0507 微分・積分がかんたんにマスターできる本     (明日香出版社、平成20年刊)   間地秀三(まじ・しゅうぞう)
(「微分は接線の傾きを示す→「傾きゼロ地点」が持つ意味合いを利用して問題解決へ」「積分で面積・体積が求められる」。あぁ、なるほどだ。高卒以来、たびたび悪夢に出てきた微積が、こわくなくなった。遅かりしだが、コンプレックスがひとつ消えた。)

令元0505 プログラミング教育が変える子どもの未来     (翔泳社、平成30年刊)   松村太郎ほか 著
(英国で2014年に Computing という科目が5~14歳の必修科目になったのを真似ているわけだが、つまりディープラーニング以前の状況を前提にした教育イニシアティブなわけだ。すでにして教育の原点が古いというべき。本書中のインタビューで岡嶋裕史氏(中央大准教授)がこんなことを言っているが、それならプログラミングではなく本丸の経営学を教えるべきところだ:≪プログラミングは幅の広い言葉ですが、コードを書ける能力といいう意味では、そんなにたくさんの人に必要な能力ではありません。しかし、プログラミングで必要になるチームマネジメントやコミュニケ―ション、リーダーシップ、見通し、PDCAサイクル、論理的思考力は現代を生き抜く強力な力になるでしょう。各々の能力にはそれぞれの育て方がありますが、すべてを総合する PBL (課題解決型学習)的な手法としてプログラミング教育を用い、これらを育んでいくのは、とてもよいやり方だと思います。≫ よく言うよ、まったく。)

310430 韓国語の発音と抑揚トレーニング     (アルク/HANA、平成21年刊)   長渡陽一 著
(朝鮮語が平音と激音を抑揚アクセントで区別するというのは、朝鮮語の発音習得のキモ。ぼくはだいぶ前の NHK の朝鮮語講座に抑揚特集があって初めて知ったが、それとは別にこんな名著があったとは。はっきり言って、抑揚アクセントに触れない学習書は欠陥品だと思う。それくらいだいじ。)

310429 韓国語形容詞強化ハンドブック     (白水社、平成30年刊)   今井久美雄 著
(一周半した。朝鮮語の小説を読みつつ何周もすべき名著。)

310427 中国と日本 二つの祖国を生きて     (集広舎、平成30年刊)   小泉秋江 著
(昭和28年生まれの有能でひたむきな女性のあまりにも壮絶な個人史。大飢餓と毛乱をよくも生き延びられたものだが、その無理が日本に移住してから体に噴き出ているのだろう。|中国から日本への最後の引揚船は昭和31年だったという。|ギンズブルク『明るい夜 暗い昼』、寺島儀蔵『長い旅の記録』、斎藤多喜夫『歴史主義とマルクス主義 ― 歴史と神・人・自然』、福地いま『私は中国の地主だった ― 土地改革の体験』、長谷川暁子『二つの祖国の狭間に生きる ― 長谷川テルの遺児暁子の半生』、韓瑞穂『異境 ― 私が生き抜いた中国』、平林美鶴『北京の嵐に生きる』)

310425 転んだついでに休んでいこう 韓国語おもしろ表現    (白水社、平成25年刊)   村山俊夫 著
(朝鮮語らしい表現のかずかず。数年後に読めば、さらに腑におちるところも多そう。)

310423 60歳の壁 定年制を打ち破れ    (朝日新書、平成30年刊)   植田 統(おさむ)
(自分として挑戦心は十分保っているつもりでいたが、知らぬ間に退いている部分があることに気づかされた。米国紙の時事コラムを読む習慣を取り戻すところをひとつの目標にしなければ。|ひととのつながりがあるかどうか、社会に必要とされていると感じているかどうかが、幸福感を左右する。おカネは、あくまでその結果。|前頭葉の老化は、日々少しでも想定外のできごとが起こるようにすることで防止できる。イベントに参加したり、ひとと会って話すことで、前頭葉に刺激を与え続ける。|60歳後に自分の得意分野で独立してターゲットにできるのは、個人や零細企業のマーケット。|煮詰まらないようにするには、仕事の進め方をマルチタスク化すること。つまり、いくつかの仕事を細切れにやること。)

310422 日航123便墜落 遺物は真相を語る    (河出書房新社、平成30年刊)   青山透子 著
310419 日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る    (河出書房新社、平成29年刊)   青山透子 著
310415 日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ    (河出書房新社、平成30年刊)   青山透子 著
(遅ればせながら今ごろになって読み、慟哭した。日航123便の誤撃墜とその隠蔽という非人間な国家犯罪が今も継続していると見るのが真っ当な判断である。これが無罪なら、およそ権力者は自白さえしなければ罰せられない暗黒世界だ。「大勲位がご存命のうちは」などという忖度の極みがまかり通ってはいないか。この事件をわかりやすくまとめた英語サイトを作ることに、一肌脱ごうと決心した。著者に手紙を書いた。)

310418 短歌タイムカプセル     (書肆侃侃房、平成30年刊)   東直子・佐藤弓生・千葉 聡 編著
(現代短歌の豊穣な多様性におどろいた。ここを出発点にして遠出を重ねたい、手ごろなアンソロジー。)

310412 日本史のツボ    (文春新書、平成30年刊)   本郷和人 著
(律令にもとづく「公地公民制」は広く実施されたわけではないが、国衙が土地没収できる根拠をつくり、これが皇族・貴族への口利き依頼(=寄進)を生み「職(しき)の体系」をかたちづくった。勝者がいないと言われる応仁の乱だが、細川家が管領の座を独占し続けられたわけで、軍事目的を達成したのは東軍なりと。梅毒が日本に入ってきたのは戦国時代だって。)

310408 承久の乱 日本史のターニングポイント    (文春新書、平成31年刊)   本郷和人 著
(武士のありかたについて高橋昌明著『武士の日本史』へのアンチテーゼが随所に出てくる。本郷さんのほうが正しそうだ。雑兵を「馬で踏み殺す」戦い方があったとは。北条時政、そして義時が、競合者を次々に陥れて実権を確立するさまに驚く。視点の設定を工夫すれば大河ドラマの傑作ができそうなものだが。院政の成立が、荘園寄進を集中させることによる経済力の確立にあったことも、なるほどだ。|それにしても、後鳥羽上皇の敗北が皇室のありかたの大きなターニングポイントだった。)

310406 利己主義という気概 エゴイズムを積極的に肯定する    (ビジネス社、平成20年刊)   Ayn Rand 著、藤森かよこ 訳
(理性と道徳に裏打ちされた「利己」とは、人間がもっとも真剣に善の実現を目指す行為。「利他」とは、人間からその真剣さを奪い、権力者の思惑に従わしめようという概念だと看破する。)

310402 日本美術応援団 今度は日本美術全集だ    (小学館、平成28年刊)   山下裕二・井浦 新 著
(「山下裕二選 日本美術・極私的50」で赤瀬川原平さんを ≪戦後の前衛美術シーンにおけるもっとも重要な作家≫ と評価する。知識に邪魔されることなく、知識ゼロでものと直接対峙する姿勢。ふつうは見過ごすようなものに面白さを見いだす姿。そういう赤瀬川さんを見て山下さん自身も、評価されているものの後追いではなく、誰も知らない作家を見いだすことこそ大切だと思いはじめたという。だから赤瀬川さんほどの恩人はいないのだと。|副島種臣の「積翠堂」の書や、牧島如鳩(にょきゅう)「魚藍観音像」|「源氏物語絵巻」に関連し山口晃さんが、引目鉤鼻は ≪お面と一緒で顔に表情をつけないと見ているほうはどうにでも表情を読み取れるという利点がある≫ とは、なるほど。)

310327 日本美術応援団 オトナの社会科見学    (中央公論新社、平成15年刊)   赤瀬川原平・山下裕二 著
(まさにオトナの世界。聖徳記念絵画館の巻、ほほぉと。)

310326 武士の日本史    (岩波新書、平成30年刊)   高橋昌明 著
(武士の起源や、戦国時代の合戦状況などが、江戸後期から明治にかけての著作で書き換えられてきたさまに驚く。人間はどう動くだろうかという極々の常識に照らして、なかなか納得の書。)

310324 見た目が若いと長生きする カラダ管理の新常識! 15のルール   (筑摩書房、平成22年刊)   川田浩志 著
(酒、地中海風食生活、適度の運動。)

310324 水源    (ビジネス社、平成16年刊)   Ayn Rand 著、藤森かよこ 訳
(gym の受講者からの紹介でこの最良の名著を読みだした。原作版も取り寄せ中。真の自己本位こそが世界を堕落から免れさせる支えとなる。|≪悪魔はひとつの大きな存在ではない。下卑た、ちっぽけな存在がいっぱい集まったものだ。≫≪自分がほんとうにしたいことをするためには、最大の勇気が必要となる。≫≪幸福というのは、自給自足、自己完結的。≫≪自我の反対語は陳腐さ。≫≪文明とは、個人の人間を、他の人間から解放する過程なのです。≫)

310319 江戸東京の明治維新    (岩波新書、平成30年刊)   横山百合子 著
(第四章 遊廓の明治維新、第五章 屠場をめぐる人びと が読ませる。遊女の位置づけの変遷、弾左衛門から木村荘平に至ることども。慶応3年に江戸市中で悪質なテロを引き起こした薩摩藩士らは西郷隆盛の密命によったと。きれいに繕われた隆盛神話は前から嫌いだが、隆盛への嫌悪が増した。)

310312 逆欠如の日本生活文化 日本にあるものは世界にあるか   (思文閣出版、平成17年刊)   園田英弘 編著
(井上章一さんの漁色論がおもしろい。女郎にあらざる藝者が、ほんらい同衾する人でないがゆえに、これを落とすことが漁色の愉しみとなり、やがてそれがダンスホールのダンサー、カフエの女給、ナイトクラブのホステスへと対象を変遷させ、その過程で藝者はほんらいの、売春とは無縁の存在に戻ったというわけ。|社会学部の卒論の模範集としても読める本。)

310308 アメリカ  (河出新書、平成30年刊)   橋爪大三郎・大澤真幸(まさち) 対談
(キリスト教諸派比較の視点から米国の「小さな政府」志向の理由を論じた第1部は面白い。カルヴァン派がピュアな形で成長し、米国なりの新興宗派を形成し、それが各国からの移民をまとめる拠り所にもなったと。しかしプラグマティズム論の第2部は空中戦で意味不明だし、日本の戦後史に敷衍した第3部に至っては読むに堪えない。比較宗教論は得意なのだろうが、専門を離れるとただの知ったかぶり文化人。失望とともに書を閉じた。)

310221 下町ロケット ゴースト  (小学館、平成30年刊)   池井戸 潤 著
(テレビ版が描き込みをどう工夫したか、うなづきつつ読了。)

310217 目からウロコ 人騒がせな名画たち  (マガジンハウス、平成30年刊)   木村泰司 著
(常識を突き抜け、後をひく絵。だから今日まで注目を集め続ける。)

310207 ポルトガル語基礎1500語  (大学書林、昭和38年刊)   浜口乃二雄 編著
(基礎1500語シリーズをはじめて読了した。やればできる。)

310207 げんきな日本論   (講談社現代新書、平成28年刊)   橋爪大三郎・大澤真幸(まさち) 対談
(社会学の切り口で見る日本史。こんな本を待っていた。談論のなかで仮説を出し論じ合うので、学術的ステートメントとして引用するには向かない、という意味で、高踏酒席に隣席する感。機能集団としての「イエ」論や、徳川期の佛教・儒学・国学の位置づけ、支配者としての「武士」は儒学が想定していないものであること、などなど秀逸。日米和親条約について、とにかく「日本が独立国である」ことを大国が国際的に宣言し、露・英・仏・独などによる植民地化はダメよと意思表示したものだと積極評価。そっか! ただ、159頁に≪ひらがなが表音文字であるがため、この文字体系ができると音韻変化がストップした≫という仮説は、いただけないね。門外人が言語を論じると、こういうヘマもする。)

310204 世界の言語シリーズ11 ポルトガル語   (大阪大学出版会、平成28年刊)   平田惠津子・鳥居玲奈・Roge‘rio Akiti Dezem 共著
(全部は読み切れてないが、言語のようすは分った。スペイン語より動詞の不規則活用は少ない。時制のシステムは古来の姿に近いようだ。)

310204 ひらがな日本美術史3    (新潮社、平成11年刊)   橋本 治 著
(織物の模様は、人間がときどき違ったことをして模様でも織り出さないと、織ることに飽きるから…って。南蛮屏風の原画は小さなモノクロ銅版画で、それを岩絵具で大画面のカラー版に起こしたのが日本の職人だと。風雅の典型とおもった「誰が袖屏風」が遊女との逢瀬の思い出をデザイン屏風の伝統(月次絵(つきなみえ)→扇面貼交屏風→)に託したものだったとは。)

310129 ひらがな日本美術史4    (新潮社、平成14年刊)   橋本 治 著
(宗達の雷神を「イーヒッヒッと笑いながらスカイサーフィンをしている」と喝破し、光琳によるオマージュをただのプリミティヴ・アートと言ってのける。|≪連歌とか俳諧という文学は次々と付け加えられていく“流れ”を楽しむもの。日本の美意識には「静止しない」が前提としてある。桂離宮も同じなのである。≫|木喰(もくじき)の像は、彼自身の願望が過剰な形で入り込んでいるからなんだか不気味。なるほど。|菱川師宣が元祖なのは商品として成立する版画の版下絵をはじめて描いたからだが、その肉筆画は近世初期風俗画であって、絵として新しいのは懐月堂安度のほう。なるほど。浮世絵成立の歴史が本書でよくわかった。)

310127 ポルトガル語のしくみ   (白水社、平成27年刊)   市之瀬 敦 著
(ブラジル大使館の勤務の口に応募をキッカケに勉強してみたら、スペイン語の変奏曲みたいなもので、数日で中級レベルのものが読めるようになった。まだ辞書も買ってないのにね。)

310122 ビザンツ帝国 生存戦略の一千年   (白水社、平成30年刊)   Jonathan Harris 著、井上浩一 訳
(これまでの自分の世界史は、古代ギリシア以降のギリシアが存在せず、現在のトルコ領域もオスマントルコ成立まで空白だったが、なんとビザンツ帝国がギリシア+現トルコ+周辺領域を千年にわたりまとめあげていたとは! 必読の名著。結語が味わい深い:≪ビザンツ帝国の最大の遺産は、もっとも厳しい逆境にあっても他者をなじませ統合する能力にこそ社会の強さがあるという教訓である。≫ アラブ人については ≪イスラームを受容したことでアラブ人が好戦的になったわけではない。アラブ人はずっと戦争で生計を立てていたし、イスラームもそれを変えなかっただけである。≫ ブルガリアやロシアの帰依や十字軍の実態も、ビザンツ帝国からの視点で見ることで、よく理解できた。)

310117 50歳を超えても脳が若返る生き方   (講談社+α新書、平成30年刊)   加藤俊徳 著
(「適度な欲求・欲望をもち、その実現のために行動する」「夢を抱いて、それに適応する能力をつくりだす」「100歳まで生きることを前提に目標を持つ」「実年齢より20歳若いと思い込んで生きる」は合格なのだが、「感情的にならない」「自分とちがう価値観も受け入れる」「万遍なく運動する」あたりはぼくの不合格ポイント。感謝はひとの脳の感受性を向上させ、ヒラメキが出やすくする。嫌な人とはできるだけ交流せず、嫌なこともしないという生き方はマルだそうだ。眼球運動も重要ということで、さっそくアート作品をみるとき眼球でなめまわすように見ることにした。)

310115 脳が老いない世界一シンプルな方法   (ダイヤモンド社、平成30年刊)  久賀谷亮(あきら)
(基本は Mindfulness のすすめ。「世界一シンプル」は編集者がひねり出したウソだね。|若者の血を老年者に輸血する、吸血鬼そのままの若返り法もあるらしくて、著者も衝撃をうけたと。parabiosis だって。|加齢にともない既存の価値観から脱却した高みを獲得した状態は gerotranscendence. 限られたひととの深いつながりをより重視しつつ、利己よりも利他の精神。)

310111 フランス語語彙をひろげる7つのテクニック   (白水社、平成24年刊)   田中幸子・Isabelle Folte^te 共著
(語形成の解説書かと思ったら、総合的学習書だった。口語のフランス語では否定文で まま ne を省き pas だけで済ませるようだ。主語の tu を je なみに主動詞とアンシェヌマンさせ tu as を t'as のように言うのもビックリ。)

310107 フランス語の進化と構造   (白水社、昭和51年刊)   Walther von Wartburg 著、田島宏ほか共訳
(≪フランス語の文形成の基礎になっている単位は語ではなくリズム段落 groupe rythmique である。たとえば la premie`re offre のようなひとつづきの語のなかには1つの強さアクセントしかない。≫ そして母音は長音化せず、そのぶん母音の音色が極めて多様で16もある。≪母音体系の異常な多様性≫ とまで言い切る。ドイツ語のようにフレーズを波動的に強調することができない平坦きわまりない言語なので、文のいずれかの部分を強めるには強調構文に頼らざるをえない。… この辺がなるほどフランス語の特徴だ。)

310105 ペンギンの島   (白水 u ブックス、平成30年刊、原著1908年、和訳 昭和45年刊を復刊)   Anatole France 著、近藤矩子(のりこ)
(フランスの歴史書や中世の読み物の風格をパロッたさまを楽しめるネイティブにとっては、痛快にちがいない。ストーリーではなく、個々の描写のさまを愉快がるべき作品。『カンディード』に列なるものだ。)

310102 ポーランド語基礎1500語   (大学書林、昭和57年刊)   小原雅俊 編
(各見出し語の変化形の出し方が絶品。名詞なら単数生格・前置格+複数主格・生格; 動詞なら一人称単数現在・二人称単数現在+命令形、かつ訳語欄に完了体動詞も同様に示す。末尾の文法便覧も簡潔で使いやすい。必要にして十分とはこの本のこと。あまりにいいので、今後の自分用に1冊購入した。)

310101 訣別の森   (講談社、平成20年刊)   末浦広海 著
(2つのストーリーラインが最後にぶつかりあう王道の手法だが、裏ストーリーが貧弱すぎるため前半が分かりづらい。最後の北海道犬と狼の子らの姿がひたむきに神々しいまでに美しい。)


<積ん読(つんどく)ほか、買って読了>

令元0925 Seven Days in the Art World    (Granta Publications, London 平成21年刊)   Sarah Thornton 著
(てっきり小説と思ったまま積ん読だったが、執筆当時の美術界最先端のルポだった。言及されている現代アートの士たちを丹念にネットで追ってみたいが。)

令元0810 Skin in the Game Hidden Asymmetries in Daily Life    (Penguin Random House, New York 平成31年刊)   Nassim Nicholas Taleb 著
(当事者意識の欠如した評論家知識人がいかに世を誤り導くか。鮮烈な諷説と遊び心は、英語原文でないと味わえまい。もう1ラウンド読むつもり。)

令元0805 明解ポーランド語文法     (白水社、平成28年刊)   石井哲士朗 著
(買ったときには随分敷居が高かった。読了までよく漕ぎつけた。そのうちもう1ラウンドするつもり。)

310627 The Culture Map: Decoding how people think, lead, and get things done across cultures    (PublicAffairs 平成26年刊)   Erin Meyer 著
(いまにして思えば、タイ人に対して誤りをあれこれせっかちに指摘したぼくのやり方は間違いだったなぁと、本書を読んで反省することしきり。同じ白人でも文化はこうまで違うのかと、驚かされた。こんな流儀で日中韓台泰を比べる本があると面白いね。)

310617 Fluent in 3 Months: Tips and techniques to help you learn any language   (HarperCollins Publishers  平成26年刊)   Benny Lewis 著
(どの言語であれ、自分が発言することになりそうな話題10題をネイティブチェック済の文章ですらすら言えるように準備しておく、というのは fluent を示すためのいいコツだ。フランス語やポーランド語でぜひ実践したいと思いつつ、次の1歩が難しいけれど。|いろいろ有用なリンクの紹介もあるので、今後も利用するつもり。)

310429 学校教育がガラッと変わるから、親が知るべき今から始める子どもの学び     (風鳴舎、平成30年刊)  山口たく 著
(「正解主義」の呪縛からのがれることが要。本の後半が急に内容が薄くなる。この部分は1冊分にするためにライターが書き膨らませたのではないかな。|こういう教育啓蒙書を中上層部の高校生向けに書いてみたくなった。)

310401 日本文明試論 来るべき世界基準のアートを生む思想    (幻冬舎ルネッサンス、平成26年刊)   大島雄太 著
(竹中工務店勤務の、単なる勉強家のサラリーマンが書いた「美術+建築」の様式論。建築家 磯崎新 氏のポストモダンのシニシズムを撃つべく、日本の文化力の根底を論考。)

310328 残念な英語 間違うのは日本人だけじゃない    (光文社新書、平成30年刊)   David Thayne 著
(類書は多いが、日本人以外の非ネイティブ(ハンガリー人や中国人など)の珍英語を扱った第5章では何度も噴き出した。street walking が、街の女の歩きを意味するとは。たしかに streetwalker は prostitute のことだね。)

310320 表現のための実践ロイヤル英文法 ピーターセンの英文ライティング特別講義40    (旺文社、平成30年刊)   Mark Petersen 著
(英作文添削に実際に役立つ。Because の従属節だけで文を完結させる受講生には137頁を熟読してもらうのがいちばん。)

310309 ポーランド語基本文1000    (大学書林、昭和55年刊)   直野敦・Krzysztof Strebeyko 著
(1日に見開き2頁ずつ進み、ついに音読を了える。あと2巡して、ポーランド語を肉にしたい。)

310227 Expert Secrets: The Underground Playbook to Find Your Message, Build a Tribe, and Change the World    (Morgan James Publishing, New York 平成29年刊)   Russel Brunson 著
(効果的なウェビナーを作って集客し、高価な研修教材を売りつけて百万ドル単位で稼ぎましょうと。想定収益のケタ数が3つ、いや4つ多いんだよね。米国って、どんな国なの?)

310121 アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方[アメリカ編]    (太田出版、平成28年刊)   河内タカ 著
(ぼくと同世代のひとで、高卒後、平成23年まで米国に本拠を移したひと。自然体。表紙にエドワード・ホッパーを使っていることからして、ぼくにもピタッ。米国の写真家列伝は、新鮮なテーマだった。)



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