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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 4

平成22年7月9日から9月13日までの美術日誌。美との出会いを日付の新しい順に記録してあります。(画廊展は3~4件に1件の割合で、これはというもののみ記録しました。)
各項冒頭の6桁の数字は日付です
(例: 220108 = 平成22年1月8日)。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。
このひとつ前の 平成22年5月16日~7月8日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 3 にあります。


220913 サカモトキョーコ展 @ Gallery銀座一丁目
(40点あまりの彩色あざやかな飄々とした粘土フィギュア。1点8千円ほど。妖精っぽいフィギュアに少し迷う。カードを2枚購入。細かい作業のなかに遊び心を詰め込んだペン画を、いい紙に刷らせたもの。裏に作家のサインをお願いしたら、イラストつきにしてくれた。)

220913 201号展 Vol. 1 @ Gallery Platform Studio (銀座一丁目)
(201 とは、中野区にある共同アトリエの番号だそうで。3人展の作家のひとり、マチヲさんは日大写真学科卒の魅惑の猫ちゃん。彼女のペン画最新作は水性ペンの細かい点々だけで植物的パターンを編んでゆく。)

220913 福本雪乃個展 @ Gallery銀座フォレスト (銀座一丁目)
(透明水彩画。高いデッサン力の作品に思い切った絵具の散らしが入っているので、「勇気が要るでしょ」 と聞いたら、最初に絵具を散らしてうまく散ったものに絵を描いてゆくのだと説明されて納得。昭和63年横浜生まれ、多摩美油画卒。)

220910  アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂 アントワープ王立美術館コレクション展 @ 東京オペラシティアートギャラリー (西新宿三丁目)
(ベルギー幻想派の絵を見たくて行ったのだが、ルネ・マグリットはわずか3点。わたしの心酔するポール・デルヴォーに至っては写実的デッサン 「ウェステンデの海」 と幻想作品 「薔薇色の蝶結び」 のみで、ややがっかりしたけれど、新たな出会いもあった。Frits van den Berghe(フリッツ・ファン・デン・ベルヘ)の素朴な筆致でありながら毒のある闇。Gustave van de Woestyne(グスターヴ・ファン・デ・ウースティネ)の 「リキュールを飲む人たち」 のおしゃれな世界。ショップで買った絵葉書は、デルヴォーの「薔薇色の蝶結び」と Jan Stobbaerts(ヤン・ストバーツ)の朦朧とした野外ヌードの「薔薇のシャワー」 (あ、薔薇づくしだ!)
今回、大失敗をしてしまった。ひとつ上のフロアにある収蔵品展を見るのに15分しか残さなかったところ、これがじつに充実していて、40分は欲しい内容だった。有元利夫のように端正な河原朝生(かわはら・あさお)さん。幻想風景のこちらに曇って露をおびたガラスをもハイパーリアリズムで描きこむ川村悦子さん。雄大なシュールレアリスム作品を描き込む川口起美雄(きみお)さん。そして、野又 穫(のまた・みのる)さんの世界にとりわけ魅せられた。保田井智之(ほたい・ともゆき)さんの木とブロンズのオブジェは、千年の時を封じ込めたような深みがある。)


220909 菊池伶司(れいじ)展 @ ギャルリー東京ユマニテ (京橋二丁目)
(昭和21年北朝鮮興南市で生まれ、4ヶ月後に引揚船で日本へ。昭和43年に尿毒症で死去した伝説の銅版画家の遺作。)

220909 森嘉一展 ―静かな音色― @ 金井画廊 (京橋二丁目)
(DM葉書をもらったのは、前にギャラリーごとう で森さんの絵を見たからだった。昭和38年横浜生まれ。)

220908 剱持耕平 陶ミニアチュール展 @ Exhibition Space Ecru + HM (銀座一丁目 奥野ビル4階)
(丁寧で、一点一点に愛がこもったいい仕事。あれもこれも欲しくなった。「箱の中の街」 を9,450円で購入。いつでもどこでも幻想の街を10センチ四方のスペースにつくれちゃう魔法のセットだ。本に囲まれた少女の置物もかわいかったが、今回は断念。昭和55年埼玉県生まれ、武蔵野美工藝工業デザイン卒。)

220908 あるが あく展 @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目)
(またまたフォレスト美女。東北藝工大出身の愛らしいミス・フォレストです。錆びた金属のマチエールを再現したいと版画で努力しているのですが、使う紙がつるんとしすぎているのでは? と一言。)

220907 ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い ~交錯する夢と前衛~ @ 東京藝術大学大学美術館
(大満足の展覧会だった。最後の展示室の 「家族の顕現」(昭10/22)には屋根の上のバイオリン弾きもいて、笹本玲奈さんに見せたく思った。「赤い馬」 「彼女を巡って」 の踊る悲哀と静かなよろこび。「日曜日」(昭27~29年)は快活な色彩のなか、ロシアのユダヤ人村のイメージがかすかに浮遊するパリだ。初期作品の 「灰色の恋人たち」 「墓地」 「立体派の風景」 などもいい。それらを生んだ同時代の Natalia S. Gontcharova や Mikhail F. Larionov の作品も多数あり、シャガールのスタイルのどこまでがトレンドでどこからがオリジナルか、イメージを結ぶことができた。
ニューヨーク歌劇場での 「魔笛」 公演(昭41~42)のためにシャガールが制作した衣装デザインや舞台背景幕の下絵も興味深い。)


220907 ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで @ 国立西洋美術館
(とりわけ気に入ったのはバロック絵画のうち、フランチェスコ・グアリーノの 「聖アガタ」 の静かな気迫と、ベルナルド・カヴァッリーノの 「歌手」 の紅潮した躍動感。ポスターに使われたパルミジャーノの 「貴婦人の肖像(アンテア)」 は美しく、何度も戻り来て鑑賞したが、むしろ表情ゆたかなティツィアーノ・ヴェチェッリオの 「マグダラのマリア」 が好きだ。美しいといえばグイド・レーニの大作 「アタランテとヒッポメネス」 も模範的作品で、アタランテの健康美はどうだ。)

220906 西村 亨 人形展 「極東ドールズ」 @ 柴田悦子画廊 (銀座一丁目)
(柴田悦子画廊でフィギュア展示とは、びっくり。多摩美卒の作家だった。ナイスバディのミニ・マネキンたち。みな同じ人物のようなのでモデルを聞くと、イタリアの歌手 Gigliola Cinquetti なのだと。帰宅後 YouTube で見たら、人形たちよりあどけない顔だちのスターだけど、歳がいくと西村人形のような顔だちになったのかも。帝国劇場2階ロビーの装飾展示をお任せしたくなる。)

220906 波磨悠子展 @ OギャラリーUP・S (銀座一丁目)
(Cloud Collector という銅版画のシートを4,500円で購入。前回平成20年の個展でDM葉書に使ったものだと、後から聞いた。波磨さんの絵に登場するスリムで黒いキャラは、キリコの絵に出てきそうだ。Cloud Collector と看板を掲げた小さな扉のこちら側で雲をもてあそぶキャラたちは、想像をかきたてる。買わなかったが、キャラが壁抜けをする Yellow Light という新作も、かなり迷った。昭和53年東京生まれ、多摩美油画卒、多摩美院版画修了。)

220906 稲垣昌子展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(色鉛筆画のような肌合い。短い線を連ねて背景を埋め、かたちを浮かび上がらせる。昭和19年岡山県生まれで、東京藝大バイオリン専攻。40代で創形美術学校に。)

220905 田中一村(いっそん) 新たなる全貌 @ 千葉市美術館
(アンリ・ルソーを思わせる奄美大島の自然を描いた絵が有名な画家。展覧会のクライマックスは、奄美の作品の数々を展示したふたつの部屋だが、そこに至る作品群がまたみごと。10代のころから南画を得意とし、その後さらに作風を変えて日本画の写実の世界を極める。千葉まで片道2時間かえた甲斐あり。行かずにいたら絶対に後悔したろう。配信誌に推薦案内を書いた。)

220905 浅井忠(ちゅう)の日本画と図案/浅井忠の洋画とフォンタネージ、バルビゾン派 @ 千葉県立美術館
(面積の広い平屋の美術館だが、交通が不便なのが残念。常設展を超ざっと見たなかでは、畠中(はたけなか)陽一さんのアルミ製サイボーグの絵に精彩あり。地元美術団体の展覧会が3つ、駆け足で覗いたなかでは、千葉中美展・竹内セイ子さんの 「きんぎょハウスの休日」 が面白かった。)

220903 95回記念 二科展 @ 国立新美術館
(1時間45分で1~2階を超スピードで鑑賞。コメントはブログ本篇に。リンクをクリックしてください。)

220902 杵渕順子展 @ OギャラリーUP・S (銀座一丁目)
(濃厚な色で展開する銅版画。吊り鉄橋に鴎が舞う一品が欲しくなったが、最近買いすぎなので止めにした。昭和18年生まれ、武蔵野美卒。)

220902 大石玲巳(たまみ)展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(古い公民館の木戸を貰い受けて、花のエネルギーを岩絵具で存分に散らし飾った作品がすてき。昭和52年東京生まれ、女子美日本画卒。すがしい目の、端正な美人である。)

220902 鶴岡ひとみ個展 @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目)
(個展では、「おとぼけ姫」 とでもいうべきキャラがさまざまに佇むファンタジーを厚塗りアクリル画で展開。ファイルを見ると、鉛筆デッサンもうまいし、商業デザインもこなし、才能のあるひとだ。ご活躍を!)

220901 月とキャベツ イラスト展 @ ギャラリー+古本+カフェ=6次元 (杉並区上荻一丁目)
(昭和54年生まれ、高崎市在住の茂木沙苗(もてき・さなえ)さんの初個展。DM葉書を銀座のとある画廊で手に入れて、8月上旬は玄関に飾っていた。作家が、平成8年公開の映画 「月とキャベツ」 に触発されてのイラスト展。DM葉書の原画を分けていただけないか作家にメールしたところ、思い入れのある作品とのことで躊躇しておられたので、会場でファイルを見て気にいった大正モダンの 「流しの響子」 を2万5千円で分けていただくことにした。)

220901 佐々木綾子展 @ Galerie SOL (銀座六丁目)
(スーパーマーケットの飲料のテトラパック群、学校の職員室のファイル群…。膨大なる 「いま」 のモノたちが、飄々とした兵士の群れのように写実的に、しかし微妙にゆがんで、描かれる。昭和57年仙台生まれ、東北藝工大院日本画卒。)

220901 鏡堂みやび秘画展 無阿弥陀仏遊戯 @ ヴァニラ画廊 (銀座六丁目)
(むせかえるようなハイパーリアリズムの責め絵。展覧では一部を隠さざるを得ず、すべてを見たければ絵を買うしかない。桐箱入り100セット限定の20枚の小型プリントを 5万2,500円で購入した。鏡堂さんは昭和32年札幌生まれ。)

220901 吉敷麻里亜(きしき・まりあ)展 ~日本画とフィギュアの展示~ @ ギャラリーなつか (銀座五丁目)
(白い女性の頭部の陶製フィギュア。微妙な角度の違いだけで表情が変わる。1つ1,600円だったので2つ購入した。
若い女性を描いた日本画が、きれいで、甘すぎず、これはと思って、笹本玲奈さんを描いてもらうことにした。予算は3万円だ。さぁ、どんな絵ができるでしょう。)


220901 伊藤公子(きみこ)コラージュ小品展 @ ギャラリーなつか (銀座五丁目)
(葉書大の児童画に切手を配した作品群。なんと、作家自身の子供のころの絵を縮小し、それに図柄の似た切手を探し出して配合したのだと。昭和61年に初個展を開いた青山学院大卒のかた。)

220901 日本美術のヴィーナス ― 浮世絵と近代美人画 @ 出光美術館 (丸の内三丁目)
(ともに隅田川の舟遊びを描いたふたつの六曲一双の屏風の対比がおもしろい。歌川国久の「隅田川舟遊・雪見酒宴図屏風」と鏑木清方の「墨田河舟遊」。 北野恒富の 「戯れ」 は、写真機を操る女性を包む鮮烈な緑陰が印象深い。菱川師宣の 「江戸風俗図巻」 上巻のごく一部が披露されている。この種の江戸期の生活文化を示す絵が大好きだ。いつかぜひ上下巻を通しで見たいものだ。)

220831 羅針盤セレクション2010 秘蔵の作家6人展 @ アートスペース羅針盤 (京橋三丁目)
(昭和50年東京生まれ、多摩美院日本画卒の松本慎吾さんのメカニカルな魚介画がみごと。手法は墨絵、背景にセピア色を加える。とくに、Spider Crab という大作は、猛烈に欲しくなった。40万円だし家では飾れない大きさだが、小学校に飾ってもらったら毎年数百人の児童に豊かな驚きとファンタジーを呉れるだろう。脚高蟹を描いたが、胴体はスターウォーズばりの戦闘基地、脚はクレーンの腕の鉄構物。この無言の迫力はどうだ! 作家がおられ、画廊オーナーの岡崎こゆ さんを交え、ひととき話が盛り上がった。
久保俊太郎さんの異形の小動物の絵にも惹かれた。昭和61年埼玉県生まれ、武蔵美院日本画卒。)


220831 堀 一浩(かずひろ)展 @ GALLERY b.TOKYO (京橋三丁目)
(セーラー服の女の子もの。巨大なデコレーションケーキの表面を雪原として、ひとりは坐り、ひとりは身をくるめて寝ている。兎たちと、その糞のような睡眠薬カプセル…。よくありそうと言えばありそうな絵だが、こういうのは好き。昭和44年富山県新湊 生まれ、金沢美術工芸大院卒の作家は、手首切りの血のイメージで、女の子に頭上からイチゴジャムをどくどく垂らしたのだが、やりすぎてしまったかも。優れた写実力を生かし、カワイイ異空間をつくってほしいです。)

220830 久里洋二(くり・ようじ)漫画展 太陽はどこに行くの? @ art space kimura ASK? (京橋三丁目)
(昭和2年生まれの久里さんの、軽妙洒脱でときどきエッチなイラストが楽しい。「…トンネルを出る汽車」 を2万円で購入。トンネルを出る蒸気機関車。子供が見ればそれだけだが、オトナが見ると山々が横たわる女性の股びらきになっている、エスプリに満ちた隠し絵だ。画廊の係の女性が
「うちのオーナーもいちばんいい絵だと言っていました。さすがお目が高い」
と言ってくださった。葉巻をくゆらして坐る作家に、DM葉書にサインをいただいた。
画廊では、久里さんが制作した5分もののアニメ The Sun Is Down! の上映もあった。8月31日にもういちど見に行った。)


220827 榎 江里子 展 ― 月夜の物語 @ 銀座幸伸(こうしん)ギャラリー (銀座七丁目)
(ふくろうの表情の物語りが深い。緑の光と緑の闇が支配する夜。)

220827 永井 等 展 @ ギャラリー日比谷 (有楽町一丁目) 
(まるで、アール・デコのガラス工藝が、工藝づくりの丹精さでアクリル画に落とし込まれたような。昭和43年茨城県生まれ、東海大藝術卒。丁寧な仕事だ。ギャラリー1階は、オーナーの福石茂雄さん好みのブルーの世界。2階の新作は茶色の渋さ。)

220824 松澤亜州沙(あずさ)展 @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目) 
(キレのあるデッサンの線と見えたのは、絹本(けんぽん)に黒糸で大胆に縫い線を入れたのだった。将来性を感じる。東北藝工大院日本画2年。)

220824 浅井結樹子(ゆきこ) Solo Exhibition @ Gallery 銀座フォレスト・ミニ (銀座一丁目) 
(作家の色白の顔立ちと明るい振舞いが笹本玲奈さんに似ていて、うっとりしてしまった。この個展のいちばんの藝術は、作家そのひと。カラフルな遊び絵の進化に期待します。)

220824 オバタクミ銅版画展 「Signal」 @ Oギャラリー UP・S (銀座一丁目) 
(佐野明子さんの油画に引続き、Oギャラリーでのお買上げ 2点目は、オバタ・クミさんの銅版画の小品 “Once Upon a Time” だ。コップの中あるいは氷山の中のように閉ざされた空間がノアの箱舟のように、太陽と生き物を護っている。小さな蟻に惹かれた。義村京子さんの小品を買ったときと同じ。オバタさんは平成18年以来、ボローニャ国際絵本原画展に毎年出展している。Once Upon a Time... は、ブルガリアのレッセドラ小版画展2010の入選作。額縁なし 1万円で購入しました。)

220821 桑久保徹(くわくぼ・とおる) 海の話し 画家の話し @ トーキョーワンダーサイト渋谷 (神南一丁目) 
(桑久保徹さんの作品は、今年4月23日に国立新美術館の 「アーティスト・ファイル2010」 で見て、その幻想海岸が印象深かった。昭和53年生まれ、多摩美卒の作家の油画26点と幻想油画のベースとなるデッサン10点が展示され、見ごたえのある展覧会。無料で見るのが申し訳なし。)

220821 ロストジェネレーション 僕たちのわすれもの @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目) 
(若手6人展。 戸井裕之さんの 「ドールA」 は売約済みでなかったら買ったと思う。ぼーっとしたハイパーリアルな女性の顔と、陰影を排除したストライプの服のセクシーな揺らぎと、アブストラクトな背景というアンバランスな 3要素のみごとな融合。美大を出ることなく独自に修行した作家だ。
山田啓貴さんのハイパーリアル静物画。羽をむしられ逃げ疲れたように値段シール付きで横たわる食用鳩が鮮烈。星の王子さまをうっとりさせた、3つの丸い孔のあいた羊入り木箱もおもしろい。
佐藤令奈(はるな)さんは乳児の裸を屈託なく描く。池島康輔さんの木彫裸像。興梠優護さんの焔たわむれる油画。吉野絵理さんのグレーの不気味油画。
こういう企画展を定期的にやってほしいものです。
しかし、それにしても、彼らの世代がなぜ 「ロスト」 なのか。貧しさも高度成長も体験外、ということから? 納得いかないな。)


220821 ウィリアム エグルストン: パリ ― 京都 @ 原美術館 (北品川四丁目) 
(米国の写真家 William Eggleston さんの本邦初個展。一作一作が絵画性に富み、いっそ油画ヴァージョンでも見たくなってしまう。うちの娘も連れていき、常設のインスタレーションなども見せてやった。)

220820 日本写真家協会創立60周年記念写真展 おんな 立ち止まらない女性たち 1945-2010 @ 東京都写真美術館B1階展示室
(ビラとチケット券面に使われた木村伊兵衛 「農村の娘」 は、かすりの野良着で小川の清水で足を洗う女性の笑顔で、見飽きず美しい。印象深かったのは、昭和32年発売の 「バナナ・ボート」 シングル盤のジャケットに使われた歌手・浜村美智子さんのセミヌードの写真。柴咲コウ タイプの野性美。このレコードを3年前に400円で買った人が ブログ にレコードジャケットの写真を載せていた。浜村美智子さんは昭和33年の東宝映画 「ジャズ娘に栄光あれ」 に出演している。ご存命の人だが、若いときはどんな人だったのか、映画を見てみたいものだ。)

220820 オノデラユキ 写真の迷宮へ @ 東京都写真美術館2階展示室
(昭和37年東京生まれで、平成5年からパリ在住の作家。ひとつの様式に溺れることを決然として拒否し、まるで 6人展を見たかのようだ。ビラとチケット券面に使われたポップな静物画写真の路線で楽しいアートが展開しているのかと思ったら、そうではない。人型切抜きのフォトモンタージュシリーズや、人物と動物のシルエットの装飾的シルクスクリーン大作など、次がまた楽しみな刻々展開。)

220818 西村宣造展 @ Gallery 枝香庵(えこうあん) (銀座三丁目) 
(DMに使われた油画 「窓」 は、蓬髪に三角帽子のピエロが観音開きの窓から外を眺める図。外光でひたすら白い窓外。ピエロはいかなる思いで坐っているのか、想像をかきたててやまない。セピアがかったモノクロ作品。欲しくなってしまったが、昭和18年生まれの作家の作。36万円したから予算オーバーだ。卑猥のサーカスのような鉛筆画にも惹かれた。)

220818 森 洋史(ひろし)展 @ Gallery 156 (銀座一丁目) 
(「待ちぼうけ」シリーズは、表情のない少女の両靴と、雨粒がつくる波紋がテーマ。わざと複数の視点を設定することで、フラットな画面を作る。書きながら ふと、あの少女の両足が素足だったらどんなにぞくぞくさせられたろうと思ったが、待ちぼうける少女はあくまで静でなければならないか。昭和52年東京生まれ、東海大藝術学科卒。)

220818 The Art Show [nippon] @ 和田画廊 (八重洲二丁目) 
(5人展。井上裕起さんの山椒魚ものは、前に和田画廊で巨大な 「花魁」 を見せてもらったが、今回は小さなウルトラマンもの。昭和47年横須賀生まれ、多摩美大院彫刻卒。 堀口 さんの江戸切子の松ぼっくりの粋な彩色。クリスタルガラスのなかに小さな泡を規則的に並べ込む技がすごい。昭和51年東京生まれで、家業の堀口硝子を継ぎつつ新境地。平成20年に三代目秀石を継承という。 浅香弘能(ひろよし)さんの刀剣造形は、持ち手部分を龍彫刻にし、刃の部分は石づくり。新鮮なアート。昭和52年堺生まれ、京都造形藝大卒。 土屋秋恒(しゅうこう)さんは、かきつばたの束の墨絵に Suck! の英文字を配する。墨絵の可能性を追求しているひと。昭和49年生まれ。)

220813 常設展 @ 石川県立美術館 
(国宝・色絵雉香炉、重文・色絵雌雉香炉の専用展示室でいきなりの至福。古九谷の名品の第2展示室。特別展示の 「徳田八十吉三代展」 は、3代にわたる藝の継承・発展で久谷焼の宇宙的可能性まで存分に見せてくれた。三代八十吉の燦爛とした作品は、ことし2月に和倉温泉のホテルで数点を見たのが初めだが、今回 名品に会えて幸せだった。)

220813 Alternative Humanities ~ 新たなる精神のかたち: ヤン・ファーブル × 舟越 桂 @ 金沢21世紀美術館 
(宗教性とは現実に超現実をみることでもあり、現実から脱することで超現実に至ることでもあるか。さまざまな切り口でゆさぶる ふたりの作家の世界に、いくつか別作家の宗教画・幻想画を配するキュレーターのセンスも絶妙。来てよかった。)

220809 常設展 @ 平野古陶軒 (京橋三丁目) 
(この画廊は2度目。入り口に月替りで掛けてあるハイパーリアリズムの果物の絵があるのだが、今回 奥でサクランボの絵に見入ったら、作家の藤田勇哉さんの22ページの小図録を画廊の若いひとが下さった。藤田さんは昭和49年埼玉県生まれ、東京造形大卒。
さらに、伊予岳の絵を見て 「わたしは愛媛出身なのですが、勉強不足で伊予岳というのを知りません」 と言ったら、作家の有元容子さんの26ページの小図録を下さった。色づかいのはっきりした日本画だが、赤や黒を使わない独特の色相。有元さんは愛媛県生まれ、昭和46年東京藝大日本画卒。
今日は、菅 利光、有元容子と、同郷の藝術家おふたりの作品にふれることができた。)


220809 菅 利光 展 @ K's Gallery (銀座一丁目) 
(昭和45年愛媛県西条市生まれ、東京造形大卒。同郷の作家。四角い黒御影石の表面に風紋と波紋を際立たせるオブジェ群。わが父が生きていたら、作品を買って庭に置きたいと思ったろう。残念ながらぼくには庭がない。【9月13日 記】 石の表面に波紋をなめらかに刻む手法は、中田浩嗣さん(昭29~平20)が開発したとの説もあるらしい。菅 利光さんの独創は、波紋を彫った方形の石を積み重ねたところか。)

220806 ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル 版画の世界 @ Bunkamura ザ・ミュージアム (銀座一丁目) 
(16世紀にして、写実からファンタジーまで、これだけの画像の冒険がなされていたとは! 銅版画は情報量が多くて、1時間では見きれなかった。)

220805 没後25年 有元利夫展 天空の音楽 @ 東京都庭園美術館 (白金台五丁目) 
(有元利夫作品には、平成13年の東京ステーション・ギュラリーの展覧会で魅せられた。庭園美術館の展覧会も、とても楽しみにしていた。初期作品から様式の確立に至る流れに、ぼくの脳を泳がせた。)

220804 佐野明子展 いきものたち @ OギャラリーUP・S (銀座一丁目) 
(作品を1点購入、1点注文。Oギャラリーでは初購入だ。オーナーの大野博子さんにも、これでようやく名刺が渡せます。
無表情なる風の精が人々にまとわりつく、オレンジ色の 「そよ風にふかれて」 に、いいなと思いつつ通り過ぎ、売約済の 「着せかえあそびしましょう」 の前に来たところで、「一流の女優さんの楽屋に設定をかえて、不思議ないきものたちも登場させて、描いてください」 と注文した。女優は笹本玲奈さんを描いてほしいのだが、佐野明子さんは人の顔のスタイルを確立しているので、似顔は求めない。勢いで、「そよ風にふかれて」 も買うことにした。
昭和52年埼玉県生まれ、女子栄養大卒で、働きだしてから絵を描く楽しさに目覚めたというひと。タイの絵画のような様式美が好きだというのも、ぼくの好みに合った。)


220802 佐藤大地個展 @ Gallery銀座フォレスト (銀座一丁目) 
(泰西名画の世界をジオラマアートに展開した。細やかな仕事だ。つぎは清水寺の企画で、源氏物語絵巻をジオラマアートに展開する構想があるという。将来が楽しみなひとです。)

220802 関口喜美(よしみ)展 @ Gallery銀座フォレスト・ミニ (銀座一丁目) 
(武蔵美の油画4年生。ふっくら愛らしいひとだ。ペン画や彩色画がじつに丁寧で好感。19世紀の英国や大正時代の日本の絵本のみごとな模写かと思われるほど様式をよく会得して、憧憬のかなたの子供たちを描く。じっさい、模写かと聞いてしまった。オリジナル作品だという。『夜とあそぶ子どもたち』 という心なごむ 8ページの小冊子を売っていたので、若干カンパも添えて購入した。ご活躍を!)

220802 揚村弘美展 刻耀画 @ 巷房・1 (銀座一丁目) 
(石膏や刻耀石 (石膏と天然ゴムを混ぜて固めた画材) にアクリル絵具で親しみやすい装飾画を描くと、小さなフレスコ画のように。養護学校で教えるのが本職で、障碍をもつ子供たちがいくら引っ掻いても破れない素材としてこの画材に注目し、そのうち自ら制作にはまっていったのだと。気品ある若々しいかただった。昭和35年高崎市生まれ、女子美短大卒。)

220802 咀嚼展 @ アートギャラリー石 (銀座一丁目) 
(多摩美日本画3年生の3人展。色調のあかるい池田朋美さん、人物に取り組む小林和義さん、家屋などを描き画材の質感実験を楽しむ田岡碧(あおい)さん。)

220802 山本萌美(もえみ)展 @ ギャラリーツープラス (銀座一丁目) 
(深い森林。植物性の夢。昭和60年札幌生まれ、東北藝工大院在学。)

220731 物語の伏線 part 2 @ Gallery MoMo Ryogoku (墨田区亀沢一丁目)
(岡野訓之さんの巨大なシーラカンスの絵が圧巻。さまざまな角度の規則的な黒いストライプが偏光板のように強烈な視覚効果を出す。ギャラリー奥のライオンの絵は6メートルも離れてようやくその形が見える。長い直線距離が取れるこのギャラリーならではの展示だ。ほかに大谷 透さん、多田圭佑さん、鷲崎公彦さんの作品。
7月29日にギャラリーの六本木支店に行ったとき杉田夫人に 「31日はギャラリー前で隅田川の花火が見えます」 と言われていたので、ワインなどを携えて行った。コレクターで、若手画家を支援している田中英雄さんとお知り合いになれた。後半は、飛び入りのサンクト・ペテルブルク出身の青年物理学者とロシア語や英語でワイワイと。画廊めぐりは、こういう出会いがあるから面白い。)


220731 グループ展 @ 小山登美夫ギャラリー (清澄一丁目) 
(Varda Caivano、古西紀子、David Ratcliff、Vibeke Tandberg、Dan Asher の5人展。)

220730 マン・レイ展 知られざる創作の秘密 Unconcerned But Not Indifferent @ 国立新美術館 
(エマニュエル・ラドニツキー。ロシアからのユダヤ人移民の子として米国フィラデルフィアで生まれた。ときどき写真作品などを本で見て、どんな人なのか前から興味があった。この回顧展はマン・レイ財団の所蔵品から成っていて、総じて幸運に恵まれたこの人の全体像が見渡せた。2ヶ所で映像展示があり、1時間15分では駆け足で見た感じがした。)

220730 中田真央 ぐるぐるぐる展 @ ガレリア・フラフィカ bis (六本木ヒルズ)
(昭和56年静岡県生まれ、多摩美大院卒。魅惑的な眼の少女。こういう作品を見すぎたせいか、陰性の生物たちとの取合せが却ってありきたりに思える。「才能を感じました。女性と風だけを配した絵が見たい」 と感想メモを残した。)

220730 坂井桂子展 ネコとイスと @ ギャラリー アーチストスペース (銀座六丁目)
(ユーモアある陶器作品。陸にあがった魚に聴き入る猫の 「魚の話はむずかしい」。ブランコやオルガンとネコのとりあわせがかわいい。)

220730 田中韶一展 @ ギャルリー志門 (銀座六丁目)
(この個展のDMがなぜか銀座ライオン前の歩道に落ちていた。これも縁と思って行ってみた。82歳の建築士の初個展。群像画。)

220730 笠間しろう展 官能耽美、責め絵秘帖 @ ヴァニラ画廊 (銀座六丁目)
(SM漫画が様式化されて、いま見るとクラシックだ。作家は昭和12年生まれ。)

220729 Sensing Nature ネイチャー・センス展 日本の自然知覚力を考える3人のインスタレーション @ 森美術館 (六本木ヒルズ)
(昭和39~43年生まれの3人の体験型展示。のっけから、吉岡徳仁(とくじん)さんの羽の嵐 「スノー」。篠田太郎さんの樹脂氷河から流れしたたる血の海。栗林 隆さんが紙で再現した雪原と樹林の体験界。+ インドネシアの20代3人組ユニット 「トロマラマ」 の版木コマ撮りアニメ。など)

220729 所蔵品展 @ Gallery MoMo Roppongi (六本木六丁目)
(行ってみたら六本木駅1a出口のすぐ近くで分かりやすかった。オーナーの、笑顔の杉田夫人がおられた。村田朋泰さんのアニメ作品 「さかだち君」 原画シリーズ。平子雄一さんの、現代の裏口にあるみたいな不思議な原始人世界。人見元基さんの木彫オブジェはエイリアンがリモコン飛行機を壁にぶつけてグシャリ。sal さんのスパゲティ化する人間。)

220728 金守世士夫(かなもり・よしお)版画展 湖水は我が宇宙 @ 養清堂画廊 (銀座五丁目)
(貼り絵のような漆黒の山に、そのときそのときの作家の思いを映すイメージが天空に浮遊する。それが、バリ島の影絵劇のキャラクターだったりする。大正11年生まれ、88歳の作家の新作展。エネルギーの奔出。)

220728 ―日本人に愛され続けてきた― エコール・ド・パリからビュッフェの時代まで @ Gallery Shiraishi (銀座五丁目)
(7月16日に行ったが、藤田嗣治の 「猫を抱く少女」 にもういちど会いたくて、じっくり拝見した。西洋美術館が買い上げて常設展示してもらえないかな。)

220726 macchi's 4th exhibition OVER THE RAINBOW @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目)
(本名を出さない女子美メディアアート卒の 「マッチ」 さん。かわいい人物イラストふうの水彩画。ストーリーもののように見えるが、本人はストーリーを意識しないという。クレイ(粘土)アニメをつくってロシア、カナダ、ポルトガルの映画祭に出品したこともある。)

220726 柏木直人展 @ ギャラリーQ (銀座一丁目)
(すずしい彫塑だ。発泡スチロールで造形して型をとり樹脂を流し込んでつくる。ヘルメットのようにすべすべの頭蓋を、パール系のパウダーを散らした樹脂でつくると、そこに宇宙が転移したかのようだ。武蔵野美大院彫刻卒。)

220723 オルセー美術館展2010「ポスト印象派」 @ 国立新美術館
(6月25日に行ったが、もういちど会いに行った。金曜夜、そこそこ見やすい混み方だった。この時期、この時間ともなるとリピーターが多いのか、人が集まる絵とそうでない絵がはっきりと分かれる。)

220723 村山直儀展 ~ 横顔の美 @ 藤屋画廊 (銀座二丁目)
(横顔の美シリーズの女性は、ずっとそばにいたいほど美しい。こういう絵がほしいけれど、予算オーバーだ。本田美奈子.さんを描いた5枚の絵、なかでも 「屋根の上のバイオリン弾き」 でホーデル役を演じる本田さんの絵がすてきだ。いつかこんなふうに笹本玲奈さんを描いた絵を笹本さんに贈りたいものだ。)

220723 仲のいい姉妹 ~中村キク展~ @ ヴァニラ画廊 (銀座六丁目)
(ヌードでありながら狼の両性。異形の哀しみをたたえた鉛筆画。ぼくは好きになれなかったけど、確実にファンがいるはずだ。昭和54年生まれ、大阪藝大版画卒。)

220720 榊原正修個展 サブカルチャー未満 @ ギャラリー La Mer (銀座一丁目)
(ヘタな絵の個展は記録しないことにしているが、この個展はヘタを通り越していて、かといってヘタウマでもない。どうも、集中力がごく短時間しか持たない人みたいだ。カラータイマーが青いうちは良いデッサンだが、タイマーが赤くなると小学生並みのヘタ。画廊オーナーが、「皆さん笑いながら出て行きます」 という。何百枚という練習画を1枚10円で売っていて、ぼくも3枚買ってしまった。画廊を出るとき、「ね、たしかに、笑ってるでしょ」 とオーナーに言われた。)

220720 かなたこなた 石野明子/長美智子/マチヲ @ Gallery Platform Studio (銀座一丁目)
(日本大学写真学科の同期3人展。石野明子さんの「対岸世界」 シリーズのうち 「白の旅1」 は、ミニミニ軍艦島とでも言うべき、2階建ての廃墟が海に浮かぶ光景の実写。長崎県の或る場所に残る、魚雷攻撃訓練用の海軍施設だという。これに気球を配した。合成でなく、その瞬間を撮りに行ったというから大したもの。伸びてほしい作家である。)

220720 工藤沙由美個展 @ Gallery銀座フォレスト (銀座一丁目)
(ピアズリー風のペン画。作家は武蔵美卒の感じのいい女性である。エロスな題材で、即完売していいような実に丁寧な仕事。ただし、ぼくの好みから言うと、もうちょっと、あぶなさ、毒っぽさが欲しい。整いすぎちゃったかな。)

220719  日本の美・発見 IV 屏風の世界 ― その変遷と展開 @ 出光美術館 (丸の内三丁目)
(八曲一双の 「江戸名所図屏風」 が見飽きない。芝居小屋、風呂屋、商店の雑踏など、時間旅行の楽しみの宝庫。与謝蕪村の六曲一双の 「山水画屏風」 も枯淡と俳味のバランスに心がふわり。室町時代の六曲一隻 「天神縁起尊意参内図屏風」 の躍動感。伝・俵屋宗雪の六曲一隻 「業平東下り図屏風」 の構成美にも感服した。)

220716 ―日本人に愛され続けてきた― エコール・ド・パリからビュッフェの時代まで @ Gallery Shiraishi (銀座五丁目)
(無料で見せていただくのがもったいない。シャガール、ローランサン、ビュッフェらの作品のなか、とりわけ心が吸い寄せられたのが藤田嗣治の 「猫を抱く少女」 だ。藤田作品の典型的少女なのだけど、口元がすなおで、彼女にならぼくのいのちをあげてもいい。ぼくの下の娘にどこか似ているせいだろうか。絵は左右を花で縁取るように飾り、いつまでも眺めたい美しさだ。マンション1戸分の値段のはずだが、本気で欲しいと思った。)

220716 必然と偶然と 毛塚多恵 × 三原奈津子 @ ギャラリー日比谷 (有楽町一丁目)
(平成19年女子美大修士のふたり。毛塚さんの温かみのあるオブジェ。女子生徒のようなインコとか。ストーリー性がこめられれば、ぞくっとする作品になるはず。三原さんの、小気味いいカラフルさ。口パク折り紙を思わせる壁飾りも楽しい。)

220715 レイモン・サヴィニャック展 @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目)
(10万円未満のポスターから、200万円台の原画まで。大衆のフランスを象徴する作家だ。
ところで話が飛ぶが、運搬が比較的容易で誰にも分かりやすいレイモン・サヴィニャック展は、点数をさらに増やして各地の県立美術館への巡回に乗せられないものだろうか。フランス大使館やわが外務省などの後援も得やすいと思う。そういう企画で、日本の地方美術館を元気づけることが必要な時期だ。)


220714 ジョセフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて + 常設展 @ 川村記念美術館 (千葉県佐倉市坂戸)
(会社を午後半休にして、行ってみた。ジョセフ・コーネル展は、作品だけ並べると一画廊で収まってしまうほどの点数。ファンの詩人・高橋睦郎さんとのコラボに仕立て、宇宙のような一室を創造した学藝員さんの企画力がみごと。川村記念美術館は、常設展が圧倒的に充実していた。東京駅からJR+バスで往復3時間半かけて来る価値あり。来年、常設展が展示替えになったら、森の散策+昼食も含めた1日コースで来てみたい。)

220714 合田紀代 「花」 水彩画展 @ 川村記念美術館付属第一ギャラリー (千葉県佐倉市)
(12ヶ月を月ごとに縦長の草花図に仕上げた連作といい、アネモネの花を図案化した作品といい、ファンがいっぱいつきそう。)

220713 大竹夏紀展 @ GALLERY b. TOKYO (京橋三丁目)
(昭和57年生まれ、多摩美院卒。テキスタイルデザイン。ポップな色彩で描かれる太唇の少女たち。蝋纈染(ろうけつぞめ)の大作が壁にピン止めしてあった。多いものは30ものパーツに分かれていて、展示するときは指示書にしたがって壁面上に組み上げる。たいへん手間のかかる作品なのであります。イラストそのものがじつにうまいひとなので、フレーム入りの普通の絵も欲しいですねぇ。さあり。)

220713 北村奈津子 @ GALLERY TSUBAKI (京橋三丁目)
(昭和57年宮城県生まれ、多摩美油画卒。キャラのからだつきを形容するのには、有元利夫作品を引き合いに出すのが早いかも。北村奈津子作品は、祝祭の明るさがある。)

220713 浅井飛人(あさい・ひっと) Whereabouts @ GALLERY TSUBAKI 2 (京橋三丁目)
(昭和57年葛飾区生まれ、多摩美院卒。金工に木材も併用して制作したおチャメなキャラたちは、NHKのスポット広告に登場させたいような国民的健全さあり。)

220713 有元利夫版画展 @ 平野古陶軒 (京橋三丁目)
(いつも前を通りながらも入りづらかった平野古陶軒に初めて入った。有元作品が、手の届く値段で目の前に並ぶしあわせ…。誘惑を前に、買わない理由を脳のなかで探してしまった。)

220713 荒井龍男展 Part III @ ギャラリー川船 (京橋三丁目)
(画家47歳の 「あべまりあ」 と48歳の Buddha が、いい。明治37年大分県生まれ、昭和30年に51歳で志なかばで亡くなった。「50歳のころ抽象画に作風を変えている。あと10年生きていたら新たな作風で、いい仕事を残していたはずですが」 と、画廊オーナーが言う。)

220712 福田武芳 Cambodian Taxi Driver @ 銀座ギャラリー巷房 (銀座一丁目)
(秀逸の写真展。作家なりのストーリーを、現地で出会ったタクシー運転手と女性に演じさせ、撮る。若干の映像加工をした連続写真も画廊でDVD放映している。南洋の空気とモノがぼくの魂をひっかき、くすぐる。こういう写真展が見たかった。大展覧会にしても通用する水準だ。)

220710 マコトフジムラ vs. 若手作家 佐藤美術館所蔵作品・寄託作品による @ 佐藤美術館 (新宿区大京町)
(申し訳なきも藤村マコトさんの作品にとりわけの独創を見出すこと能わず。むしろ見どころは、その他の若手作家にあり。)

220709 誕生! 中国文明 王朝、技、美 ― 河南で誕生。 @ 東京国立博物館 平成館
(てっきり古代の青銅器や陶器ばかりかと思っていたら、北宋までの河南省文物の名品展だった。元や清の襲来以前の漢人の美意識を定点観測する楽しさ。)

220709 少女ファンタジー ―幻想の随(まにまに)― @ スパンアートギャラリー (銀座二丁目)
(8人展。清水真理さんの、アリスの兎を宿した腹をひらくバニーガールの人形がいい。仕上げに、やや難。森口裕二さんの、毒々しいはずの色遣いなのにすっきりした印象を与える美人画は、仕事が丁寧。町野好昭さんの油画は、永遠に未成熟の人形ヌードで、これが発酵するとどうなってゆくか、今後が楽しみ。前にこの画廊でお会いした こやまけんいちさんの作品も。)


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