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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 30

平成26年8月22日から9月30日の美術日誌。日付の新しい順に記録してあります。(画廊展はほぼ3件に1件の割合で、これは! というもののみ記録しました。)
各項冒頭の6桁の数字は日付です
(例: 220108 = 平成22年1月8日)。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。
このひとつ前の 平成26年7月1日~8月21日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 29 にあります。
このひとつ後の 平成26年10月1日~11月12日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 31 にあります


260930 重力3 (9/26~10/18) @ Gallery Suchi (日本橋茅場町二丁目)
(小尾修さんの裸婦画が入口正面で迎えてくれる。写実を極め、現実を超えてパワフル。その右には渡抜亮(りょう)さんの秀作が髑髏のオブジェとともに。濱中史朗さんの陶のカップ2点を購入。うち1点は銅製としか思えぬメタリックな光沢を放つ。もう1点は漆黒のざらざらした面にシャープな突起を連ねた緊張感あるデザイン。)

260930 下町アート動物園 Part I (9/30~10/11) @ Fuma Contemporary Tokyo (入船一丁目)
(稲葉友宏さんの金属の鹿たちがすてき。金属がほどけて太いワイヤとなって空間へ浮遊してゆく姿は感動的。田崎太郎さんの神から鉄道車輛まで取り込んだ現代土偶の群れは、2年前の越後妻有トリエンナーレで見て以来。田中望さんは10月10日からの Art Front Gallery 個展準備で忙しかったか旧作1点のみ。)

260929 清水真理×林美登利×泥方陽菜(ひじかた・はるな): 人形展 Elegeia (9/22~10/4) @ ヴァニラ画廊 B室 (銀座八丁目)
(溶融や縫合、煤塵が人形たちを過酷に襲う。人形たちと視線が合わないのが残念。)

260929 沙村広明×森馨: 展覧会 Der Tilgung (9/22~10/4) @ ヴァニラ画廊 A室 (銀座八丁目)
(窓外には吊るし殺しにされた骸が林立し、前髪を編んで垂らす少女らは三角枕でしばし憩っているが、やがて石詰めの処刑が待っているのではないか。新たな悲劇の物語は片鱗さえも明らかにされていない。Tilgung は「根絶」を意味する女性名詞なので、与格の Der Tilgung は「根絶に寄せて」という意味か? それとも単なる誤?)

260929 Claude Weisbuch 展 (9/25~10/11) @ ギャルリーためなが (銀座七丁目)
(ゴヤの素描を思わせる躍動感でヴァイオリン奏者や舞踏家、馬と騎手などを描く。昭和2年生まれ、平成26年4月に死去。画廊では「クロード・ワイズバッシュ」と紹介しているが、「ヴェスビュッシュ」という発音になるのでは? ドイツ国境付近のフランス領生まれのフランス人なので、Weisbuch(ドイツ語でヴァイスブーフ、白い書籍)という名はあくまでフランス語綴りとして読まれるはず。画廊では、この画家の豪華画集を3千円で売っていた。)

260929 孫 家珮 展 ~静寂の水面 きらめきの中に~ (9/14~10/4) @ シルクランド画廊 (銀座六丁目)
(中国江南の水郷風景に何とも奥行きのあるいい絵があった。)

260929 生誕110年記念 ダリ展 (9/18~10/13) @ 日動画廊 (銀座五丁目)
(版画とブロンズ作品。溶融する時計のブロンズ造形なども多数。一目でダリと分りやすいから、地方の美術館が数点見つくろって買えば、すぐに呼び物にできる。一点ものでないからだろう、価格もお手頃だった。)

260929 福井欧夏(おうか) ドローイング展 (9/25~10/4) @ ギャラリーもりもと (銀座三丁目)
(花柄の黒衣、花冠の少女を黒い用紙に色鉛筆で描いた「月」がすてき。昭和43年生まれ、多摩美卒、武蔵美 院修了。)

260929 バラード追想 II ・相原みゆき・井関周(しゅう)・桑原聖美(さとみ)・中川知洋・ (9/25~9/30) @ Gallery 銀座一丁目
(ぼく好みの幻想画の4作家。期待して行ったのですが、買いたい!というほどではなかった。)

260926 菱田春草展 (~11/3) @ 東京国立近代美術館
(猫や小鳥がいると、そこにばかり気を取られている自分に気づくが、その小さき存在を引き立てる春草の技に思いを致すべし。重要文化財でもある「王昭君」で、左に位置する王昭君はたしかに美しいが、その他大勢の宮女らもじつは同じような顔立ち。美醜は心根の差である。ぼくが注目した作は明治40年作品「曙色」。左下に小さくくっきりと描かれた雉1羽の飛翔がじつにいさぎよい。)

260926 オチ マリエ 柔回帰 (~9/27) @ 彩鳳堂画廊 (京橋三丁目)
(デッサン修行の裏打ちがあるから、指1本1本の動きまで納得の描画。彼女の描くキャラは細い眼の、佛教的ともいえる存在ゆえに、一見やわやわした主題の絵にも力強さがある。)

260926 丸山 宏 展 「人々の影に…」 (~10/5) @ space 2*3 (日本橋本町一丁目)
(Oギャラリーで2度見たことがある作家。写真から人物画を鉛筆で綿密に描き起こし、そこにアクリル絵具をばっさり塗る。鉛筆画の段階で十分に価値ありで、ばさばさと塗るアクリル絵具が付加価値になっているか価値を下げているかは、作品ごと見るひとごとに百家争鳴か。昭和59年生まれ、多摩美油画卒。)

260926 大人のためのコンテンポラリーアート展 (~9/26) @ 東京會舘ギャラリー (丸の内三丁目)
(間島秀徳さんの kinesis シリーズ 2点が「やられた!」と思うくらいよかった。流体としての岩絵具に重力と風力が作用して、筆ではつくれない偶発性の力を平面に定着させている。昭和35年生まれ、東京藝大日本画 院修了。)

260925 木村恒介展 光素(エーテル)の呼吸 (9/4~11/24) @ LIXILギャラリー (京橋三丁目)
(クリエイションの未来展、第1回は清水敏男監。主展示室は、ゆっくりと動く2面の大きな鏡面。見ていると自分がゆがんでゆく。称してエーテルの呼吸とは、むム?)

260925 舟山一男展 (9/20~10/4) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目)
(宗教画の押しつけがましさがないキリスト教モチーフの絵。作家のシャイなところがにじむ。)

260925 写真家 六田知弘展 「水ノ貌 MIZU NO BO」 偶然と必然の間に・地/水/火/風/空 (9/9~9/30) @ 加島美術 (京橋三丁目)
(加島美術さんの2階に初めて上げていただいた。なんと茶室空間もあり、映像を床面に投影する小室もある。)

260924 Wakkun/“家来の一人もいない王様”展 (9/21~9/28) @ ギャラリー枝香庵 (銀座三丁目)
(相田みつをよりは、よほどいいですよ。相田は媚びてるけど、Wakkun は媚びてないね。)

260924 フローランス・ミアイユ来日展 ―カンヌ国際映画祭・仏セザール賞受賞作家― (9/24~9/30) @ 銀座三越8階ギャラリー (銀座四丁目)
(油彩やパステルでぐいぐい描かれる、豊かな乳房の女性たちが生き生きとしていて、色も素敵なので図録を買った。くりくりと動くアニメも味がある。)

260924 公募 日本の絵画2012大賞 山崎鈴子展 ≪やがて…≫ (9/16~9/30) @ 永井画廊 (銀座四丁目)
(蓮の花をはじめ、伝統日本画モチーフを描く技を継承するひと。描きかたにどことなく脆弱さが感じられるのが難か。昭和58年生まれ、京都造形藝大 博士号取得。)

260922 えほん 誰も教えてくれなかった! 小松美羽個展 (~10/11) @ 彩鳳堂画廊 (京橋三丁目)
(5年前に「美しすぎる銅版作家」と話題のひとになった。いまはフツウのひとのように思うが、この個展も作家と画廊の間にプロダクションが入っているのだそうだ。銅版画ではなくアクリルと墨で。)

260922 もう一つの種村季弘展 (~9/27) @ スパンアートギャラリー (銀座二丁目)
(板橋区立美術館展との違いは、作品が買えること。秋山祐徳太子の都知事選ポスター「都市の肥満を撃つ! 都市を藝術する!」の真四角な現物が目を引く。)

260920 20世紀検証シリーズ【4】 種村季弘の眼 迷宮の美術家たち (~10/19) @ 板橋区立美術館 (赤塚五丁目)
(ぼくが学生のころ、時代の尖鋭な文士として生きていたひとだ。恥ずかしながら、これまで関心が及ばなかった。本展は、種村季弘氏が批評の俎上に載せた作家たちの作品を集めたもの。ご子息のスパンアートギャラリーの源流はここだったか。欲を言えば、作品の傍らに折々、種村季弘氏による批評抜粋が掲げてあれば、趣向は一段高まっていたはず。この日は体調絶不調だったが、秋山祐徳太子、美濃瓢吾、種村品麻の3氏の鼎談「怪人タネムラスエヒロを語る」を拝聴。ハチャメチャなところだけ語られた感じだ。)

260919 ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎 (~11/9) @ 上野の森美術館 (上野公園)
(50日余りも展示替えなしの浮世絵展示なので照明は暗く、ボストン美術館名品の売りである「色彩の鮮やかさ」は感じられず。展示しつくされた感のある北斎だが、目新しいものとしては初期作品、天明年間の「新板浮絵」シリーズ(花火の描き方が素朴!)や、文化8年の5枚続き錦絵「吉原遊廓の景」(吉原のまかない処や店主夫婦と神棚の図など)、はたまた花鳥版画のシリーズなど興味深い。)

260919 Felix Vallotton: Le Feu sous la glace ヴァロットン ― 冷たい炎の画家 (~9/23) @ 三菱一号館美術館 (丸の内二丁目)
(7月2日に続き、2度目のヴァロットン展。想像のひだの奥に入り込むヴァロットンの妥協のなさを改めて感じた。)

260918 谷内恒子展 ミクロ・イヴェント (~9/21) @ 銀座メゾンエルメス フォーラム (銀座五丁目)
(いまさらお世辞にも美しくもかわいくもないこの作家と結婚式を挙げるパフォーマンスの写真・ビデオ。毎日午後5時~7時に会場でボクサーやホームレス、忍者などになりきるパフォーマンスが、ちょうど終わったところで会場の残骸を見た。痛い個展だが、嫌なら関心を持たなければいいだけの話だった。ミクロ・イヴェントの第1回は平成7年、パリの画廊にて。この8月、東京で行ったウェディングが第46回のミクロ・イヴェント。)

260918 Helene Fjell×Pain Solution 写真展 [To Bleed or Not to Bleed] (~9/20) @ ヴァニラ画廊 展示室A (銀座八丁目)
(ヘレン・フィエルはオスロ在住の写真家。Pain Solution はオスロ拠点のパフォーマンスグループ。体に長い針を次々に刺し、釘の原に乗り、ガラスの電球をかじる、痛そう。写真集の販売あり。)

260918 Suka Off 写真展 [Inside Flesh/Black Lab] (~9/20) @ ヴァニラ画廊 展示室B (銀座八丁目)
(Suka Off はポーランドのアーティストグループ。形を成さない赤いどろどろ仮面をつけた男女。DVD の販売あり。)

260918 日本の抽象 ― その幾何学的側面 (~10/4) @ 東京画廊+BTAP (銀座八丁目)
(ウラジーミル・タトリン、斎藤義重、堀内正和、高松次郎、菅木志雄の立体、レリーフ作品。日本に抽象美術の幾何学的表現がもたらされたのは、1920年代ロシア作家来日と村山知義ベルリン滞在がきっかけで、その流れが戦後の「もの派」につながっていると。)

260918 アート・スコープ2012-2014 ― 旅の後(あと)もしくは痕(あと) (~10/13) @ 原美術館 (北品川四丁目)
(原美術館の展覧会としては低調だな。それだけ、原美術館には期待してるってこと。今村遼佑さんの「真夜中の8月通りで」が面白い。電球の中にミニチュアの街燈が光る。ドイツの2人の写真家は、おもに日本の街風景を撮っているが、発見と呼べるほどの切り口はない。)

260917 ヴァサンタ・ペレーラ W. Vasantha Perera 個展 Song of Ceylon (~9/24) @ Niche Gallery (銀座三丁目)
(緻密な水彩画でスリランカの街と人々を描く。絵本仕立ての作品集を購入したところ、画廊オーナーの西村冨彌さんが非売品の別の1冊も特別にくださった。感謝です。俳優のような顔立ちのペレーラさんは40代前半。スリランカでは郵便切手の図案も担当している。目下、日本人のお嫁さん探しをしている由。)

260916 高橋克之新作展 (~9/20) @ 東邦画廊 (京橋三丁目)
(キリンにこびととオオトカゲが入り込み増殖する。単純なストーリーを下敷きにした連作。昭和42年生まれ、福島大 院修了。)

260914 坂本善三展 (~9/28) @ TS4312 (四谷三丁目)
(水彩タッチの抽象リトグラフ。文字を抽象して字画エレメントをレイアウトした作品に新鮮さを感じた。筆のタッチが豊かだから作品として成立しているわけだ。日本刀、城山、はたまた小舟とも波とも見える抽象の曲線もよい。明治44年、熊本県生まれ。)

260912 オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由― (~10/20) @ 国立新美術館 企画展示室2E
(目玉のE・マネ「笛を吹く少年」がいきなり第1室にあった。想像よりのっぺりしたタッチだ。J-F・ミレーの「晩鐘」は子供の頃、印刷物が寝室に飾ってあり、焦げ茶色のシルエット画という印象だったが、本物を見ると夕焼けの紅色が遥か遠くの雲のみならず空間全体を暖かく包み込んでいる。H・P・モット「ベリュスの婚約者」はハリウッド映画の一場面のよう。A・カバネル「ヴィーナスの誕生」は、左足の親指をしならせているのが官能美。G・クールベ「裸婦と犬」、不美人のリアル。クールベにこんなレパートリーもあったとは。F・バジール「家族の集い」、プリミティヴなタッチが中南米を連想させる。L・ボナ「パスカ夫人」、衣服の白いごわごわした生地とそれを縁どる黒い毛皮の質感表現がみごと。C・モネの大作「草上の昼食」は当初は縦4米・横6米の巨大画面で、故あって傷んだ部分を切り捨て分割して2作品となった。見終わって、改めてE・マネの偉大さを感じる。本展には11点のマネ作品あり。)

260911 海上雅臣(うながみ・まさおみ)氏別荘「壬子硯堂」 (軽井沢町追分)
(各室・廊下は語るべき由緒ある美術品で飾られ、書斎など文豪のいるたたずまいだ。茶室でおもてなしを受けた。)

260911 海を渡った画家たち「アーティストを育む都市」+「もの派」展 (4/17~11/30) @ 軽井沢現代美術館 (軽井沢町長倉)
(現代美術を見渡せる充実した作品群。草間彌生「天と地の間」は5色のモコモコにおおわれた1.8m×1.8mのパネル4枚が奥の壁面を占領。見飽きた「カボチャ」も、手描きの筆致が見える原画や、かすれ味のエッチングなどは、よいなと思った。落田謙一の小特集もあり。)

260911 特別企画展 巨匠と呼ばれる作家たち @ 心の花美術館 (上田市中央二丁目)
(もと平屋の燃料店だった建物に2階を建て増しして、1階は小品展示、2階は企画展示。前田昌良さんのからくりオブジェ「星を数える少年」が素敵だった。1階で何か購入しようかと思ったが、時間がなかった、ごめんなさい。)

260911 常設展 @ 信濃デッサン館 (上田市東前山)
(窪島誠一郎氏の20数年にわたる素描コレクションを公開すべく私財を投じて建てられた。展示作品には本画もあるが、控えめに「デッサン館」と命名したのは正解。村山槐多の油画「尿する裸僧」のパワフルな筆致と対照的に、2枚の裸婦のデッサンは緻密な写実。槐多の絵の底力を見る思いだ。槐多の怪作として毒刃社発行「雑誌 強盗」の表紙絵が愉快。松本竣介の少女のデッサンにも心ひかれた。)

260911 常設展 @ シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田&春彦記念展示室 (上田市東前山)
(シルヴィアさんは昭和9年イタリア生まれで、昭和32年にパリで留学生・保田(やすだ)春彦と知り合い、昭和35年にローマで春彦と結婚した。おふたりの彫刻、素描、ステンドグラスを展示。)

260911 常設展 @ 信濃デッサン館別館・槐多庵 (上田市東前山)
(山荘ふうの2階建て。真ん中が吹き抜けなので、広々とした感じだ。昭和10年生まれ、中国河北省出身の鉄揚氏の「オンドル」という油画に惹かれた。なぜか女性が裸なの。)

260910 山田純嗣(じゅんじ)展 絵画をめぐって 反復・反転・反映 (~9/27) @ 不忍画廊 (日本橋三丁目)
(あわあわキラキラとした質感は、写真ではとうてい伝わらない。平面に収まった名画を石膏・針金・竹ひご等で立体に戻し、それを撮影してもう一度平面に戻してエッチングの線描を加えたりパール粉でペインティングしたり。画廊オーナーの荒井裕史さん曰く、ジャンルとしては版画作品に属すると思うが、版画界の人たちからは版画と見なされないのだと。実作品に基づいて着色の変奏曲を奏でたモネ睡蓮の連作がおもしろい趣向だ。昭和49年生まれ、愛知県立藝大 院修了。)

260910 藤井勘介展 (~9/16) @ 日本橋高島屋6階美術画廊 (日本橋二丁目)
(ギャラリー広岡美術で個展を拝見したことがある。絵の素朴のままに味のある筆の宛名書きで案内をいただいた。背広にネクタイの高島屋の係の隣に茶色い普段着の作家がはにかみながら立っていた。鶏頭も黒い蓮も猿もみな良し。昭和22年生まれ。勘介の「介」は土へんあり。)

260910 奥田小由女(さゆめ)展 ―明けゆく平和― (~9/16) @ 日本橋高島屋6階美術画廊 (日本橋二丁目)
(日展の工藝コーナーで毎年、明るい彩色の人形がひときわ晴れ晴れと展示されている。奥田小由女さんは昭和11年生まれで、今年 日展理事長に就任した。日本画が本流の日展で、なぜ工藝作家が理事長になれたか不思議だったが、旦那さまの奥田元宋さんが日展理事長にして文化勲章受章者であった。)

260910 作品集刊行記念 松浦浩之展 Super Acrylic Skin (~9/29) @ 日本橋高島屋6階美術画廊X (日本橋二丁目)
(アニメやマンガを日本のアートにどう位置づけていくのかが、日本美術の最大の課題ではないかと最近思っている。アニメ生まれのキャラを人物として見れば、まぎれもなく人物画であり、電気配線つきツルツル衣服の人物彫塑なわけだが、それにしても作為的なほど高い値付けに思えた。安いと「ね、やっぱ、アニメでしょ」と見くびられるから、高価である必要があるのだろう。)

260909 So French: Michel Bouvet Posters (~9/27) @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (銀座七丁目)
(街頭用の大サイズのポスターは、とりわけフランスの伝統藝だ。昭和30年生まれのミシェル・ブーヴェが制作した「リゴレット」や「ハムレット」などオペラ、演劇のポスターは、ごてごてと語ることなく、作品の中心的モチーフをひとつに絞ってシンボルで示す。アルル国際写真フェスの連作ポスターは対照的に手書きのヘタウマ動物に味わい。)

260909 柏本(かしわもと)竜太展 (~9/16) @ 日動画廊 (銀座五丁目)
(日動画廊で初めて「この絵、買いたい!」と思った。嗜好と値段が釣り合ったということですね。音楽演奏の若いひとたちの躍動を伝える技がある。描く女性も、音楽に挑む生き生きとした顔が直球勝負で美しい。昭和48年生まれ、長崎美術学院本科終了。二紀会会員。)

260909 村山之都(むらやま・しつ)個展 (~9/13) @ Niche Gallery (銀座三丁目)
(緻密な作画とざっくりした彩色で、人物が登山姿などで淡々とたたずむ光景を紡ぐ。似た作風の人として中村亮一さんを思い出した。之都の名は性別不明だが、昭和44年生まれの男性で、武蔵美油絵 院修了。)

260909 第2期スカラベ展XII Part 2 遠崎(えんざき)高平・村山之都 (~9/14) @ あかね画廊 (銀座四丁目)
(遠崎さんは昭和53年生まれで、村山さんと同年に武蔵美油絵を卒業。ひとりひとりの人物が見るものの心を不穏に波立たせる、気になる絵だ。女が最前列にひとり坐る「朝の映画館」や、部屋の隅にうずくまる少女の「光と影」など。村山さんは、Niche では油画、あかねでは水彩画を出展。)

260909 Toru Nogawa exhibition: Circular ring of darkness ―闇の円環― (~9/13) @ スパンアートギャラリー (銀座二丁目)
(怪奇館に来てみたら、絵の中でフツウの女性が係員をしていたというような写実幻想画。)

260909 作品集(II)刊行記念 浜田 浄 個展 ―合板による最新作― (~9/10) @ ギャラリー枝香庵 (銀座三丁目)
(合板から彫り出される絶対存在の眼。作家が創造のために過ごした時間を追体験する。ペントハウスの小部屋に、赤鉛筆で縦長の長方形を描いた大作あり、角度や光の具合で微妙に変わる赤の色合いにほれぼれする。画廊を失礼しようというとき、ちょうど作家の浜田浄さんが来られた。画廊オーナーの荒井よし枝さんによれば、浜田さんに神戸でお会いしたとき、高知県黒潮町のおじ様と同郷同級のご縁とわかり、それが本展につながったのだと。)

260909 潤inoue. exhibition (~9/15) @ 東京国際フォーラム アートショップ内ギャラリー (丸の内三丁目)
(路面電車や遊覧舟に樹木や動物、生活用品を乗っけるシリーズは、下手をするとゴテゴテしそうだが、潤inoueさんはポップにすっきりまとめている。このシリーズ、続けてほしいな。マンガの吹き出し型に切った画面に荒廃世界を描くフキダシシリーズは「ナンチャッテ」のノリか。昭和55年生まれ、大阪藝大卒。)

260908 小浦 昇(こうら・のぼる)展 (~9/13) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目)
(あらゆるモノやヒトを机上にぽこんと立てるミニオブジェに仕立てて、ものづくし的に並べ描いた銅版画。ミニオブジェがさまざまに面白く、見ていて楽しいのだが、不用意な文字の混入がやや多い。とくに、鉛筆で説明をやたら書きこんだものは、いただけない。昭和24年生まれ、多摩美油画 院修了。)

260908 恒松正敏(つねまつ・まさとし) ―不機嫌な一角獣― (~9/13) @ Gallery Tsubaki/GT2 (京橋三丁目)
(抑制のきいた色彩で幻獣を丹念に描き、情念がこもる。昭和27年生まれ、東京藝大油画卒。院は中退し、ロック音楽にしばらく専念。今も音楽活動ではギターとヴォーカルを担当する。)

260908 作品集(II)刊行記念 浜田 浄 個展 ―1982~1985の鉛筆による大作 Drawing― (~9/13) @ ギャラリー川船 (京橋三丁目)
(黒鉛筆を毛羽のように書き重ねて生まれる黒い長方形や局面。修行僧のように捧げた時間が、作品上に妖気として漂う。画廊奥の、黒い長方形と淡い長方形を少しだけ重ねた作品は、どう見ても版画作品だが、筆致の見えない淡さを手書き鉛筆で生みだした技に驚嘆させられる。昭和12年生まれ、多摩美絵画卒。)

260908 ミズタニカエコ作品展 [閨の本棚] (~9/13) @ T-BOX (八重洲二丁目)
(民藝ふうでもあり、クラシックでもある、いかにも蔵書票に向きそうな図案の木版画。)

260908 藤原(ふじはら)杏菜 銅版画展 「すくいとっては、はねのけたものに」 (~9/13) @ T-BOX (八重洲二丁目)
(絵本キャラのグロテスクな日々を描く小品。新作は、はみ出した内臓を腸詰のように描いたものが多く、ちょっと辟易する。実力はありそうなのに、煮詰まってる感じ。)

260908 木之庄企畫リニューアルオープン記念 Reborn (~10/4) @ 木之庄企畫 (八重洲二丁目)
(T-BOX の並びの雑居ビル2階、建設会社の事務所に使われていたスペースを改装。H.K, 森洋史、湯真藤子(ゆま・とうこ)、堀越達人(たつひと)、宏二郎、松山賢、矢倉屋佳弥(やぐらや・かや)の7人展。さすがレベル高し。湯真さんは十二支連作から2作。松山さんは縄文土器・土偶をモチーフにした怪人図。)

260906 だまし絵II 進化するだまし絵 Visual Deception II: Into the Future (~10/5) @ Bunkamura ザ・ミュージアム
(多様なスタイルの上質のだまし絵を繰り出し、楽しませてくれる。音声ガイドが、「ギャラリーだまし絵」オーナーこと八嶋智人さん。粋な語りは躍動しつつ言語明瞭で、これまで各所で聞いた有名人音声ガイドの中で最良。ガイド機の画面を使ってクイズの出題があったり、説明補足があったりと、よく工夫されている。)

260906 藝祭2014 (~9/7) @ 東京藝術大学上野キャンパス
(絵画棟、中央棟、総合工房棟を観た。Sabrina Horak さんの左右対称のポップな群像レリーフがいちばん面白い。日本画の若手のうち、新明玲奈さんが描いたキリンが、すなおな直球勝負で好感。高橋 梓さんの版画はユーモラスな発想を丁寧に仕上げた。外田千賀さんの筋肉美少女の色鉛筆画と身体デッサンは、地味ながら愛嬌あり。)

260905 第99回 二科展 (~9/15) @ 国立新美術館
(二科展といえば、写真! 木村晃造“eyes”が、目ぢからのある豊かな髪を盛り上げた女性で、着衣と背景の淡い緑色も絶妙。池田嘉文さんの白い彫塑“Horizon”は、30体ほどの裸の美少女たちが会田誠「ジューサーミキサー」の少女たちのように乱浮遊する。油画で好きなのは、高岡次子「記憶の中」、ワイルドなタッチの白いヌード。)

260904 あるコレクターの書斎展 (~9/6) @ シロタ画廊 (銀座七丁目)
(齢80代の老コレクターが浜田知明作品や抽象画のコレクションを展示放出。『みづゑ』旧号5冊とジャスパー・ジョンズ画集を買わせていただいた。書籍も含め、という意味で「書斎展」と銘打ったという。)

260904 寒河江智果 展「めぐる季節」 (~9/13) @ ギャラリーもりもと (銀座三丁目)
(子供からあぶないヌードまで、多彩な美人画揃い。文庫本のカバーに使われた「密双六」の絵や、赤いキャミソールがしだれ落ちる小品とか、よほど買おうかと思ったが、なぜか我慢してしまった。)

260903 波濤の會 (~9/9) @ 松坂屋上野店 本館7階美術画廊
(中島千波一門の20代から40代の作家の1人1品即売展。押元一敏さんと安岡亜蘭さんからご案内をいただいた。玉井祥子「翔破図」、あわあわとした翡翠色の紙の雲に墨痕。)

260903 ジョック・スタージス写真展 (~9/21) @ みうらじろうギャラリー (日本橋大伝馬町)
(恥しながら、みうらじろうGは初訪。フランス Montalivet のヌーディストビーチで家族や少女を撮った Jock Sturges さんの写真展。センシュアルな切り口ではなくて、生き物としての人間の尊厳を深く感じさせる美がある。)

260903 中田真央展 水中倶楽部 ―水の中へようこそ― (~9/13) @ Galleria Grafica Tokio (銀座六丁目)
(和紙に木版・アクリル・色鉛筆で、絶妙にかわいい少女を描く。たぶん小さいときから絵が好きで、かわいい少女を描いてきたのだろう、少女の顔は完璧だが、手足の描き方がいまひとつデッサン修行不足なのが惜しまれる。昭和56年生まれ、名古屋藝大卒、多摩美 院修了。)

260903 「公募―日本の絵画2012―」受賞者個展 伊庭広人展 (~9/6) @ 永井画廊 (銀座四丁目)
(頭上かなたに見える一点から降り注ぐ光が、雲海、海原、はたまた草原を照らす。神を見るような思いがする。偶像ではなく、光としての存在の神だとすれば、イスラム教徒ですら受け入れることのできる宗教画とも言えるのではなかろうか。と言っても、伊庭広人さん自身が神を意識して描いたかは分らない。過去ファイルを見ると、少年時代の引きこもりの時期も経て、疾風怒濤のなかで風景写実を深めている。昭和43年生まれ、京都精華大洋画卒。)

260903 百鬼夜行 (~9/5) @ 靖山画廊 (銀座五丁目)
(さすが靖山画廊さん、いい作家をそろえた。池尻育志(やすし)さんがミレイの「オフィーリア」をパロって、ピンクの花柄浮輪をつけた「河童」を描いた。昭和46年生まれのひとで、過去ファイルを見ると怪獣ジャミラをモチーフにしたパロディ作品を多数制作している。野沢敏哉「白沢」、神崎泰志「大喰い」、中村あや子「化物婚礼図」、相場るい児の陶。参考書の湯本豪一著『今昔妖怪大鑑』、買おうかな。キュレーションは、妖怪マスター・木下昌美さん。)

260902 草間彌生「とこしえの愛の部屋」展 ―ベンジャミン・リーが撮る、草間彌生宇宙― (~9/6) @ Eye of Gyre (神宮前五丁目)
(草間作品展かと意図的に誤解させるネーミングだが、写真家 Benjamin Lee 氏が草間彌生を撮った写真展。サングラスをかけた彌生おばばをクイーンに見立てたトランプカードシリーズを、アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローのように色違いで展開したプリント作品も。こうしてまた草間ブランドが拡大再生産される。)

260902 Santi Moix (サンティ・モイシュ)展 (~9/6) @ 羽黒洞 (湯島四丁目)
(日本美術の老舗で、なぜにスペインの絵をといぶかったが、羽黒洞の先代・木村東介さんが親しくした昭和35年バルセロナ生まれの画家。DM作品の派手な色彩の絵も、茶道の一場面なのであった。油画ながら、作品を微妙に染める渋さに和を感じる。最近は陶のオブジェも作っていて、図録があった。説明文はカタルーニャ語。)

260901 第34回「日本雑誌写真記者会賞」写真展 (~9/4) @ 富士フイルムフォトサロン スペース2 (赤坂九丁目)
(さすがに、見ておもしろい写真がいろいろ。何ということはないけど、『週刊朝日』の表紙用の上戸彩さんの写真がいちばん好き。)

260901 蒔田圭(まきた・けい)展 ―color― (~9/8) @ Shonandai MY Gallery (六本木七丁目)
(ほんとは9月3日始まりの展覧会。設営中にお邪魔した。風刺童画とも呼ぶべき人物画。面相筆で綿密に描いた本画は、背景のベタ塗りが殺風景で物足りない。寧ろ、作家が「遊び」と称するボールペン画の人物たちのほうがいい。上京の新幹線車中でボールペン1本を使い切るというからすごい。)

260901 魅惑のコスチューム: バレエ・リュス展 現代の藝術・ファッションの源泉 ピカソ、マティスを魅了した伝説のロシア・バレエ (~9/1) @ 国立新美術館 企画展示室1E
(6月18日から延々続いていた展覧会の最終日の最後の70分に滑り込んだ。図録が好評売り切れで、予約販売を申し込んだ。)

260831 神宮前二丁目奇譚 説話集 10人のイラストレーターが描く、ちょっと奇妙で不思議な物語 (~9/3) @ Pater's Shop and Gallery (神宮前二丁目)
(それぞれに自分の作風をしっかりと確立した10名のアーティストたち。山崎杉夫、宮北ひろみ、西川真以子、辻 恵、丹野恵理子、蒲田 育(かばた・いく)、大地咲穂、遠藤拓人、荒井浩之、そしてぼくの応援している成瀬ノンノウさん。ノンノウさんは物語を青インクで書いた原稿用紙5枚で絵画新作4点を囲む。Pater's Gallery は初めて来た。創業者 Pater Sato さんの作品葉書を4枚買った。nonnow さんの第5作品集もね。ぼくが買った「逃避行」も掲載されていた。画廊付近の別ビルの壁画もよかった。)

260829 宗像大社国宝展 神の島・沖ノ島と大社の神宝 (~10/13) @ 出光美術館 (丸の内三丁目)
(一見、地味な展覧会だが、国宝がごろごろ。島全体がご神体という沖ノ島の発掘調査で出てきた文物がまとめて国宝指定されたわけだ。)

260828 ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美 (~9/15) @ 世田谷美術館 (砧公園)
(本展の目玉、モネのLa Japonaiseは期待を上回る鮮烈な神々しさがあった。本展はたいへんな人気で、用賀駅からの満員の臨時バスもおばさま世代のおしゃべりが蜂の巣状態。和から洋への美意識の伝播を実作品を通してうかがうという、ド素人でも簡単に作品談義ができる展示テーマだから、ほうっておくと展示室は阿鼻叫喚。そこで、展示室内では係の人たちがA4判サイズの注意書きを掲げて観覧客に注意をうながしていた:
≪ 会話は
小さなお声で
お願いいたします≫

おかげで何とか普通の展覧会なみのおしゃべりレベルが保たれていた。他の人気展も、大いに見習うべし。)


260827 M氏コレクション展 生島浩・小尾修・原崇浩・廣戸絵美・益村千鶴・水野暁 (~9/6) @ Gallery Suchi (日本橋茅場町二丁目)
(Gallery Suchi 本流の写実人物画を中心にご披露。昭和30年生まれの銀行マン(いまは証券会社にお勤め)の“M氏”にお会いした。美樂舎にご入会いただきたいコレクターでいらっしゃる。)

260826 開封! 安田興行社大見世物展 ~国宝? 珍宝? 今ひらかれる、見世物王国の扉!~ (~9/6) @ ヴァニラ画廊 (銀座八丁目)
(子供のころ松山の椿神社の祭礼に見世物小屋が数軒並んでいて、その猟奇的看板にひかれて、見たいけど親に頑として拒否されたものだ。その見世物小屋の絵看板や記録写真、記録ビデオ、ちょっとチャチな「たこ娘」の仕掛けなど。騙しっぽい見世物の傍ら、真剣勝負の出し物もあったから苦情が出なかったわけ。安田興行社2代目の安田里美さんの妻・春子さん(たこ娘などの出し物にも出た)が在廊で、「松山の椿さんには20年間くらい行った。神社のほうから是非また来てくれと言われてね」と。失われた近過去。)

260826 礎(いしずえ)展 佐賀大学文化教育学部美術・工藝過程学生、卒業生による (~8/30) @ ギャラリーもりもと (銀座三丁目)
(小木曽誠という良い先生がひとり、地方大学の教育学部で教えるだけで、東京の美大レベルを軽く超える作品がこんなに生まれるわけです。伊勢田理沙、濱川芽依、鶴友那(ゆな)の皆さんがいい。松本実桜さんは蝶々を描きすぎ。蠅のようにたくさん蝶々が猫にたかっている作品(DM 葉書で使われているもの)など、見てて気持ち悪くなる。正直いってついていけない。本人はどういう気持ちで蝶々を描いてるのかな。さっぱり分らない。)

260825 2014 Tokyo International Photography Festival Competition (~9/7) @ 72 Gallery/Tokyo Institute of Photography (京橋三丁目)
(イスラエルの防空シェルター内の様々な設えを撮った Adam Reynolds(米)、室内の内装やモノの色彩に「ギリシアだ!」とうなづいてしまう Eirini Vourloumis(ギリシア)、一卵性双生児の老女を撮る Maja Daniels(スウェーデン)、オアハカ州の山奥を撮る Shandor Barcs(メキシコ)。グランプリは Lydia Goldblatt さん(英)。)

260825 水尻自子(みずしり・よりこ) 「わからないでもない感触」展 (~9/6) @ art space kimura ASK? (京橋三丁目)
(アニメ作品展。DM 葉書にも使われた「幕」と、「布団」を観た。やわやわと包み込み折り重なっては引いていく。)

260824 幻獣神話展 寓意夢想の召喚 (~8/27) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目)
(DM葉書の「火竜ヒルデガルド」を描いた開田祐治さんとスパンアートギャラリーの企画で、50名の幻獣画家が集まった。ぼくが好きなのは、勝国 彰さんの笛吹き一つ目が佇む「五重塔」。図録に、開田祐治、山脇隆、前田ヒロユキ、マンタムの4人からサインをいただいた。)

260824 富田菜摘 個展 Wonder Carnival (~8/24) @ Bunkamura Box Gallery (道玄坂二丁目)
(象や犀などの大物は、お腹にも扇風機や配線を設えておもしろ内臓ワールド。今回の菜摘さんの新機軸だ。手狭な Box G. スペースに収まらない魚ちゃんたちは、向かいの壁面スペースにモービルのように涼しく吊り下げられていた。)

260824 第10回「わの会」コレクション展 ―水彩画・パステル画+自由出品― (~8/25) @ 品川区民ギャラリー (イトーヨーカドー大井町店8階)
(店内のエスカレーターは7階までしかなく、かつ階段も見当たらず、焦った。「エレベーターで上がってね」と案内に書いてほしい。37名が60点を出品。1作1作に購入経緯と作家履歴の詳しい説明がついているのが良い。気に入ったのは岩間正男(昭和元年~平成25年)の「ざしきわらし」(制作年不詳。鉛筆・水彩・版画)。梅原龍三郎のものという人物パステル画が2枚あったが、後年の龍三郎らしからぬ端正な写実(ということは初期作品)にして極めて良好な保存状態の“掘り出し物”という。ほんとに龍三郎?)

260822 小山久美子展 閑雲野鶴 kan un yakaku (~8/31) @ space 2*3 (日本橋本町一丁目)
(競馬やスポーツがモチーフだが、ありえない場所で淡々とできごとが進行するさまを丁寧に写実。高速道路の料金所から競馬馬が一斉スタートしてみたり、道路上にプロレスのリングを設けてみたり。見る側を快くだましてくれる、いい絵を描く小山さんの美術は驚くべきことに独学だという。昭和58年生まれ。車洋二さんキュレーション。)

260822 第25回 明日の白日会 (~8/26) @ 日本橋高島屋6階美術画廊 (日本橋二丁目)
(ぼく好みジャンルの具象人物画が目白押しと思いきや、絵のジャンルはバラケていた。松本実桜さんのリアリズム幻想が見どころあり(2枚とも売約済)だが、サービス精神で蝶々を描きすぎた。案内をくださった田原迫 華さんの白い人物彫塑も良し。)

260822 金 理有(キム リユ)展 −Hypothalamaniac− (~9/8) @ 日本橋高島屋6階美術画廊X (日本橋二丁目)
(ほんらいは「金 理有(きん・りゆう)」か、「キム・ニユ」かを選ぶべきと思うけどね。(朝鮮語では -m 音のあとに ri が来ると、-m ni と音便現象が起こる。)作家ならではの宇宙土偶戦隊もいいけど、リアルな人頭を多様に焼き並べた作品群が好きだ。)


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