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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 38

平成27年10月29日~12月31日の美術日誌。日付の新しい順に記録してあります。(画廊展はほぼ2件に1件の割合で、これは! というもののみ記録しました。)
各項冒頭の6桁の数字は日付です
(例: 220108 = 平成22年1月8日)。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。
このひとつ前の 平成27年8月22日~10月28日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 37 にあります。
このひとつ後の 平成28年1月1日からの美術日誌 は、美術館・画廊メモ 39 にあります


271227 横浜美術館コレクション展 2015年度第3期 (11/3~28/4/3) @ 横浜美術館 (みなとみらい三丁目)
(「神話とヌード」は太田聴雨「飛天」や諏訪敦さんの赤薔薇を散らした作品あり。「無名都市 ~現代の写真に見る匿名の風景」は金氏徹平さんのコラージュ映画 “Tower” (平21作)がエンドレスにおもしろい。)

271227 横浜発おもしろい画家 中島清之 日本画の迷宮 (11/3~28/1/11) @ 横浜美術館 (みなとみらい三丁目)
(なんと中島千波さんのお父さまではないか! 「喝采」は描かれた ちあきなおみもいいが、一旦克明に描いたあと銀箔で押し隠したバンドの姿が、イラストではないアートの証だ。)

271226 谷川千佳 約束 (12/11~26) @ Gallery Speak For (猿楽町)
(Team-TAN 作家。今回ぐっと淡い色調で美少女世界を展開していたが、わたしは彼女の異色の小品「流れ星みつけたらおしえて」を購入(dek nau mil)。電磁嵐の心象天気図のような。)

271225 横田美晴個展 瞳の中の冬銀河 (12/23~26) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目)
(少女王国。。)

271218 そこにある、時間 ドイツ銀行コレクションの現代写真 Time Present: Photography from the Deutsche Bank Collection 
(9/12~28/1/11) @ 原美術館 (北品川四丁目)
(昭38北アイルランド生れの Siobhán Hapaska (シヴォーン・ハパスカ)の平13作「ロボット」。ピエタの構図で若い男が壊れたレトロなロボットを抱く。配布の作家一覧・解説が機能的で、良い。)

271217 ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展 Gauguin et l'Ecole de Pont-Aven (10/29~12/20) @ パナソニック 汐留ミュージアム (東新橋一丁目)
(肝心のゴーギャン作品は展示冒頭の数点のみ。日曜美術館でブルターニュ独特の女性衣装を見せつつゴーギャンとのゆかりを紹介していたから、ゴーギャン展のつもりで行ったらガッカリ。)

271216 藤田嗣治展 (11/9~12/25) @ ギャルリーためなが (銀座七丁目)
(油画とデッサン。映画 Foujita に合わせてタイムリーな企画。)

271213 シェル美術賞展 (12/9~21) @ 国立新美術館1階展示室1B (六本木七丁目)
(過去受賞・入選作家コーナーで内藤亜澄さんが4点の大作を出して頑張っていた。やったね! 牛嶋直子さんの夜景シリーズも。
今回の入選者の中では Yuko Nasu さんの筆痕を生かしたポートレート作品がおもしろい。京都市立藝大卒後、ロンドン藝大で修士取得。奥村彰一さん「見知らぬ皇帝」、いつもの おねえ がかわいい。部屋にオレンジ色が流れ込む長嶺高文さん “inside, inside, inside...” も絵の楽しさを感じる。)


271211 MOMATコレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。 (9/19~12/13) @ 東京国立近代美術館 (北の丸公園)
(常設展側で金曜夜にこれほど客が入ったのは初めてだろう。戦争画のうち真珠湾攻撃や「ブキテマの夜戦」は初めて見た。アッツ島やサイパン島の絵は何度も見ているが、全作品展示のコンテクストで見ると迫ってくるものがまた違う。
ほか、高嶺 格(たかみね・ただす)の平成14年作8分18秒のクレイ・アニメ "God Bless America" が秀逸! 2階の企画展「てぶくろ|ろくぶて コレクションを中心とした小企画 glove|evolg: Primarily from the Museum Collection」もおもしろかった。)


271211 Re:play 1972/2015 「映像表現′72」展、再演 Restaging "Expression in Film '72" (10/6~12/13) @ 東京国立近代美術館 (北の丸公園)
(43年前に何が「新鮮」だったかを示そうとする地味な企画。)

271211 ミズテツオ展 ―12のJ・J― (12/2~12) @ 四季彩舎 (京橋二丁目)
(くすみ藍~黒のツートーン。ミニマルアートながら、筆致が生きていて味あり。Mizù のひとつの到達点だ。作家本人が坐っておられたのだが、声を掛けかねた。)

271211 Little Christmas 2015 リトルクリスマス ―小さな版画展― (11/30~12/12) @ ギャルリー東京ユマニテ (京橋二丁目)
(48人が1人1点。石川真衣さんの "My Dear" を購入(sep mil kvincent)。これまでで最も完成度高し。3版つかった刷りもいい。ファイルに描かれたステートメントを読んだら、真衣作品の闇は1960~70年代のアングラカルチャーを意識しているのだと。そういう重層性が真衣ワールドの魅力だ。)

271210 ジャパン・アヴァンギャルド ――アングラ演劇傑作ポスター展 演劇実験室◎天井桟敷 (12/9~27) @ ポスターハリスギャラリー (道玄坂二丁目)
(ちょうど12月10日は寺山修司さんの誕生日ということで、ガチャポンで100円のピンバッジをいただいた。このポスター展、3期全部見た!)

271210 藤井 蓮 展 (12/10~19) @ ギャラリー広岡美術 (神田駿河台三丁目)
(ちぎり貼り絵+α で、いい味。鶏頭図や朝顔図は、見るたびに発見がありそうな、見飽きない絵だ。作家に声を掛けかねた。)

271208 ルートヴィヒ・コレクション ピカソ展 アートの冒険者 ピカソの素顔 (10/31~12/23) @ 宮城県美術館 (仙台市青葉区川内元支倉)
(「手を組んだアルルカン」など見どころある油画のほか、闘牛場の客席の立体感を収めた楕円形の皿など多数の陶器。最後のコーナーは、ピカソを撮った写真の数々。
コレクション展は「特集:時を内包する絵画―日本画の中の<とき>」。太田聴雨「牡丹芳」。荒川修作の昭和56年の横12米の大作「動きのうちに/空白体/…によって」。洲之内コレクションの海老原喜之助「ポアソニエール」と長谷川燐次郎(「燐」はさんずい)「猫」は、無反射ガラスを寄付したくなった。パウル・クレーが厚紙に油彩・水彩で描いた大正12年作品「中国風の絵」は味がある。
今回ようやく佐藤忠良記念館も見た。乳房の女性たちが美しい。1室は絵本原画展示に充てられている。)


271205 早川剛展 ~共通する意志~ (12/2~7) @ Gallery やさしい予感 (上大崎二丁目)
(2階建ての民家を改造したすてきな空間、初めて来たが、年内閉館・取壊しでマンションが建つという。1階は人物画、ちょうど早川さんがモデル嬢を油画に描いていた。2階は2部屋あり、抽象と具象を往還する山や溶岩。小品「天地創造」になんとなく古賀春江を想う。)

271205 オットー・クンツリ展 (10/10~12/27) @ 東京都庭園美術館 (白金台五丁目)
(スイス人 Otto Künzli の大ぶりのアクセサリー群。現代をミニマルアートにするコンセプチュアルの系譜だ。新館を知らずに旧朝香宮邸の内装を心ゆくまで楽しみつつ ほとんど展示物が無いのを訝ったが、広々とした白亜の新館に入って仰天した。2つのホールで、それぞれ作品展示と作家インタビュー映像。作家名「クンツリ」は「キュンツリ」が正しいのだけどね。)

271205 改組 新 第2回 日展 (10/30~12/6) @ 国立新美術館 (六本木七丁目)
(今年は特選の作品にもさほど心が動かなかった。日本画では、池内璋美「遠雷」が水溜つきの墓のような構造物を写実して心に残る。木原和敏「これから」は白と灰青の着衣の女性がディナーベルを鳴らす。酒井浅子 "The New York" はビルのガラス壁に反射した文字看板群。絵葉書は、岡本文子 "Spiral" を買った;青い眼の少女3面像。)

271204 マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで (9/19~12/13) @ 東京都美術館 (上野公園)
(若き日のモネが人物カリカチュアを雑誌に売ってデビューしたとは! 印象派ど真ん中のモネよりも、晩年に抽象表現へと向かった「しだれ柳」「日本の橋」「薔薇の小道」などが好きだ。)

271204 三笑展 橋本龍美 野崎丑之介 牛嶋 毅 (11/29~12/6) @ 柴田悦子画廊 (銀座一丁目)
(橋本龍美さんのお地蔵さまは、温かくもあり、深い淵からの響きが聞こえてくるようでもある。気難しいかたらしい。ふたりの弟子が、うるわしくも師匠と3人展。)

271202 ジャパン・アヴァンギャルド ――アングラ演劇傑作ポスター展 劇団状況劇場 (11/18~12/6) @ ポスターハリスギャラリー (道玄坂二丁目)
(平271106に引続き展示第2期を探訪。)

271201 シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵 美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選 Seductive Smiles: Masterpieces of ukiyo-e paintings from the Weston Collection (前期 11/20~12/20; 後期 12/22~28/1/17) @ 上野の森美術館 (上野公園)
(入場時ちょうど、展示場冒頭箇所で学藝員が大音響で説明をしていて1階フロアじゅうに響いていた。バカな美術館だ。享保年間の西川祐信「髷を直す美人」に打たれた。両の乳房をはだけているのは珍しくないとして、夏の薄物のなかの女性のからだの線が透けて見えて、腋から二の腕にかけてがなまめかしい。この技を継ぐひとがいなかったのが不思議。いまは立澤香織がこの技でアクリル画を描いていますね。同じ享保年間、宮川長春の「風俗絵巻」は、ぼくが持っている「江戸風俗絵巻」と作風が似ている。ぼくのものも享保年間あたりなのだろう。ウェストンコレクションはここ20年くらいで積み上げたものの由。本気になれば、今からでもこういう徳川期コレクションが可能ということ。)

271201 山本一洋陶展 純プラチナ彩セラミックの宝石 (11/25~12/1) @ 日本橋高島屋美術画廊 (日本橋二丁目)
(販売されているプラチナ彩の釉薬では永続するプラチナの輝きが得られず、ついに研鑽の末、純プラチナの粉末を溶かした釉薬で、ほかでは得られない輝きを得る。光の加減で虹色にかがやく香炉などもあり、みごと。)

271201 ―ガイガイ― 宮崎 進展 (11/18~12/7) @ 日本橋高島屋美術画廊X (日本橋二丁目)
(シベリア抑留、ドンゴロスといえば、あの作家。ごつごつしただけの彫塑群は、いいと思わなかったが、小品のトルソ画など良し。「ガイガイ」は「皚皚」の謂い。)

271130 阿部清子展 「諸行無常五行」 (11/26~12/5) @ ギャラリー広岡美術 (神田駿河台三丁目)
(「五行」とは、木火土金水の謂い。大作「メメント・モリ」は髑髏を手にした女性の顔の輪郭を線描きせず薄墨のにじみで仕上げ、巧み。一輪、足元に横たわる赤い椿花が印象的。)

271129 関根伸夫展 (11/13~12/6) @ TS4312 (四谷三丁目)
(作品名・制作年不明のリトグラフ1点購入(tridek mil)。赤い風船に吊られた赤鉛筆が浮遊しながら紙に線を描く情景だが、その紙の線は版画ではなく作家が赤鉛筆でしゅわしゅわ描いたもの。この趣向にうなった。)

271129 金姫眞展 Heejin Kim (11/24~29) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 4 (大京町)
(曲線抽象画を木版で起こし、木版ならではの線が味わいをつくっている。彩色のセンスもいい。1点しか売れてなかったのがちょっとかわいそうだった。)

271129 大槻香奈個展 「わたしを忘れないで。」 (11/3~29) @ The Artcomplex Center of Tokyo, B1F (大京町)
(11月10日にいちど見たとき、あまり売れてなくて高い値付けに無理があると思ったが、最終日に再訪、少女ポートレートがそこそこ売れていて安心。崩壊する「金閣寺」も、距離を置いて見るととてもいい。)

271129 狩野宏明展 記憶の劇場 (11/17~12/20) @ 佐藤美術館 (大京町)
(丹念な写実力で、動植物から内臓、ゴミまで膨大なアイテムを組み合せたファンタジーをつくる。近作は絵に文字を入れすぎているのが心配。いちおう丹念なレタリングではあるけれど。)

271129 東北画は可能か? ―地方之国構想博物館― (11/26~12/6) @ 東京都美術館 ギャラリーB (上野公園)
(油画の鴻崎正武さんと日本画の三瀬夏之介さんの企画する「東北画」コンセプト。鴻崎さんのコラージュ画と、多田さやかさん「空気の底」がよかった。)

271127 Bettina Rheims 写真展 [Chambre Close] (10/28~12/6) @ 72 Gallery (京橋三丁目)
(チープなホテルの一室の女性たち、おもにヌードの写真展。買いたい写真2枚あり。写真集があれば、買ってた。)

271127 小松美羽展 (11/25~12/4) @ 彩鳳堂画廊 (京橋三丁目)
(「美しすぎる画家」と脚光をあびた美羽さんがメディアにもてはやされて終わることなく、地道に作品を多作して腕前を上げ想像世界を広げているのは立派だ。銅版画はさして評価しないが、激しい色彩の狛犬シリーズはメリハリ良し。有田焼の狛犬「天地の守護獣」を大英博物館が買い上げて日本館メインブースで展示しているというのもみごとな展開だ。)

271127 伊津野(いづの)雄二展 (11/21~12/5) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目)
(舟越桂さんの世界につらなる、女性木彫と木炭デッサン。)

271127 湯真藤子(ゆま・とうこ)個展 かわいそうなねこ Poor Kitty (11/7~28) @ 木之庄企畫 (八重洲二丁目)
(「十二支イス取りゲーム」12連作がすてき。ミッキー少女からホルスタイン型レオタード少女、孔雀少女などなど12人のセクシーな獣女が木の椅子にまつわりつきながら、こちらを眺めている。じつはこちらには、椅子に坐りそこねた13番目の猫姫がいるのだよ。猫姫は、マッチ売りの少女になるしかなかった。連作35万円×12枚+αを買うおカネがあればね! ものくろ木版小品の十二支シリーズも展示。)

271125 林 晃司 作品展 Outer World (11/20~26) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目)
(多摩美の建物内の廊下の写実画は卒展で見た記憶あり。シュールな要素を加えたくなりそうなところを、あえてストイックに写実に徹する気概よし。かわうそ画廊も、いつもと異なる静謐世界となった。)

271125 ふたり展 小林千紗(ちさ)・長尾永遠(とわ) (11/24~12/13) @ 万画廊 (銀座一丁目)
(ぷくぷくと膨れ上がった内臓のような形をガラス+典具貼紙でつくる小林さん。メタリックな目をしたキャラを平安乙女に装わせたり、ナマケモノをまたがらせてみたりの長尾さん。長尾さんは、名古屋で賞もとって、いい方向に進化しつつある。)

271119 橋田直人展 Nippon (11/16~28) @ 十一月画廊 (銀座七丁目)
(風景パロディ。「進め一億 火の玉だ」みたいな昭和十年代後半のフェティシュアイテムや旭日旗デザインなどを現代の銀座や渋谷に無粋に入れ込むとどうなるか、という実験画。文字に頼りすぎて、ポスターになってしまったのが残念だね。次は、左翼のバカさ加減をおちょくった作品を作ってみてね。)

271119 オリビエ・ルビュファ写真展 「地上1フィートの王国」 (11/16~28) @ ヴァニラ画廊展示室B (銀座八丁目)
(フランス人写真家 Olivier Rebufa さんはバービー人形で神話世界や病院、美術館などのジオラマを作り、自分自身の写真をコラージュしてバービー王国の住人となる。「地上1フィート」とはバービー人形の背丈なのだね。点滴チューブにつながりつつバービーの聖マリアに抱きかかえられる「ピエタ」が秀逸。)

271119 Atrementum: Karen Hsiao/Dan Quintana/Steve Diet Goedde (11/16~28) @ ヴァニラ画廊展示室A (銀座八丁目)
(3人展の名はラテン語の atramentum (黒いインク・絵具)の綴り間違いだろう。カレン・シアオさんの修道女シリーズに、膝をかかえたモデルさんにひかれる写真あり。ダン・キンタナさんは木炭で女性を写実し頭髪を金色のアクリルでさらりと。)

271119 松永謙一展 (11/16~21) @ シロタ画廊 (銀座七丁目)
(東京教育大卒、サントリーで広告デザインを担当後、独立してイラスト・絵画に取り組んだ。(草間+横尾)÷2 みたいなヴィヴィッドなデザイン王国。筆痕が残る原画のほうにひかれた。)

271118 大英博物館特別出品 春画展 (後期 11/3~12/23) @ 永青文庫 (目白台一丁目)
(10月21日に見た前期展示になかった多様な男女。交合しつつ白く潮をふく町女の菊門をさらりと描いたもの、悶絶の表情にまで筆を走らせたもの(男の悶絶顔はマンガそのもの)、1人の男を6人の歌麿美女たちが囲んで女の手でしとど溢れる女陰など。学生男女が手をつないで見ていた、仲良くね。)

271118 ジャド・フェア 後藤友香 マイケル・マシオシ (11/18~12/13) @ hiromart gallery tokyo (関口一丁目)
(DMの「魔法の塔」が別世界をよく描き込んである。いただいた清酒に勢いづいたか、カンバス布の立体作品「帽子をかぶった精霊」を購入(dudek mil + i)。絵入りの紙箱をこれから作ってくれる由。)

271118 新懐紡  藤井 蓮 田端麻子 (11/6~21) @ 江原画廊 (銀座一丁目)
(このふたりを小部屋に相並べるセンスは絶妙。田端さんの、小さな積木片に描いた馬跳びや野球投球シーンがおもしろい。藤井さんのちぎり絵、もっと歳のいった人とばかり思っていたら、昭和54年生まれ、平成17年に独学で貼り絵を始めたひと。ひまわり花の中央部分のちぎり紙モザイクがすてき。)

271117 入口 ―いりぐち― 亀井三千代・馬籠伸郎・渡辺つぶら 三人展 (11/16~28) @ 羽黒洞 (湯島四丁目)
(日本神話を油画で描く渡辺つぶらさんが、大黒天の印度伝来のことや修験道の5つ目の神さまが廃仏毀釈で忘れ去られたことなど、話してくれた。亀井三千代作品は春画の抽象化墨絵。それも、あり。)

271116 ロム・ヴィラセラン展 ―庭園の想像力― Rom Villaseran ―Garden in the Pond― (11/14~28) @ 加島美術 (京橋三丁目)
(フィリピンの幻想画作家。顕微鏡下の生物たちのうごめきのようなDM作品は、背後から光をあてるガラス絵作品だった。ウルトラ怪獣が隠れているような岩石世界や、軽やかに浮遊する小頭の赤いモモンガ人間たち。)

271116 青い夜の光 Luci in una notte blu: Stefano Ciaponi & Barbara Bertoni (11/16~21) @ T-BOX (八重洲二丁目)
(昭和32年生まれのステファノ・チャポーニ氏は池田実穂さんの師匠。人面魚の水彩画がおもしろい。バルバラ・ベルトーニさんは実穂さんの姉妹弟子だ。)

271116 池田実穂 巡回展2015年 七色時雨(しぐれ) (11/16~21) @ T-BOX (八重洲二丁目)
(モノクロの可憐なヌード「イヴの散歩」を購入(ok mil)。個展ちらしに掲載されていて、行く前から買おうと決めていた。蔵書票サイズのイメージだったが、自宅に戻ったら結構大きい。目下イタリアの工房で制作活動中。作品をタダで送ると紙面に掲載してくれるという互恵で成り立つイタリア小都市のアートミニコミ紙(といっても立派なタブロイド紙)の池田実穂作品掲載号を拝見。)

271113 清水智裕 室内楽 (11/13~25) @ Gallery Speak For (猿楽町)
(これまでで最大の清水智裕展。見ごたえあり。卓上カレンダーと「ドローイング #2-2」と「ショートステイ」を購入(dek ses mil + kvindek nau mil)。女性キャラも絵によって微妙にいろんな顔が入れ替わっているから、ぼくの求めるあの彼女を探すわけですね。「ショートステイ」は、部屋の入口の光線処理が意表をつく。白い猿の後ろ姿を入れたおとぼけ感もいい。)

271113 おんなのこ博覧会 平出(ひらいで)晴夫が選んだ*を生きるおんなのこたち (11/6~19) @ Fuma Contemporary Tokyo (入船一丁目)
(10人展。キュレーターの平出さんが説明してくれた。京都絵美(みやこ・えみ)さんは日本画写実の修練を重ね30代なかば10ヶ月前に人物を描き始めたら、ひと目見た来客を記憶だけで顔かたちから衣服まで描き出す才能。正統派の人物日本画を描くひととして大成を祈念します。根岸美穂さんのおんなの子のしっとりした唇と指さきの写実100号画もみごと。銅版画の伊東明日香さん。陶の徳田哲哉さん。人物写実彫塑を今回石膏から樹脂に技を変えて出してきた伊藤幸久さん。顔の変奏曲、高橋克洋さん。溶けていくアニメふう人物を木彫、人見元基さん。)

271111 平林 拳 個展 ―颯爽― (11/6~12) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目)
(和装の美人を日本画で。背景を金色のドットで統一して、トレードマークをつくった。人物デッサン力がしっかりあるひと。今回は時間が足りなかったか、一部作品にペタンとした部分があったのが惜しまれるが、売れた作品はちゃんとできていた。次回も期待しています。)

271111 松島 純 個展 (11/1~15) @ 万画廊 (銀座一丁目)
(タップダンスやクラシックダンスの動きを、走る描線を散らしてあらわす。いいものは、そこそこ売れていた。昭和56年生まれ。もともと絵も描きつつ日本の大学でロシア語を学んでいたが、本格的に美術をロシアで学ぼうと一念発起してサンクトペテルブルク国立美術アカデミーで3年間修業。)

271111 黒崎俊雄展 (11/9~21) @ ギャラリー川船 (京橋三丁目)
(「ひつじびと」シリーズ。紙にアクリル絵具で、すてきな羊キャラ。HPを拝見すると、もともと典型的な抽象画に特化した作家。ぼくは、ひつじびと大歓迎です。昭和21年生まれ、東京藝大油画卒。)

271110 1988 ―First Wave― (11/10~15) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT5 (大京町)
(昭和63年生まれの7人展。石川真衣さんの新作は黒インクのノリが薄くて残念。上野でも見た版画展入選作がイチオシですが、ぼくにはサイズが大きすぎて、将来のお楽しみでしょうか。やましたみかさんの青写真にヌードがはいってきました。いいですねぇ。森村智子さんの流木画。森谷(もりや)勇介さんの歯車メカ動物。)

271110 柳田 補(やなぎだ・たすく)油彩画展 (11/10~15) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT1 (大京町)
(今週このブースだけ日動画廊地下ギャラリーに変身。正統派の人物写実は美しい女性を斜め横からとらえる。柑橘を中心にした静物画も。人物画のモデルさんもいらっしゃった。人生をささげたくなるような、きれいな人でした。柳田補さんは昭和23年愛媛県砥部(とべ)町生まれ、松山在住。銀座かわうそ画廊企画。)

271110 大槻香奈個展 「わたしを忘れないで。」 (11/3~29) @ The Artcomplex Center of Tokyo, B1F (大京町)
(凝ったDMを第1弾、第2弾と繰り出し、崩壊する「金閣寺」の大作や、香奈マンガキャラの等身大インスタレーションから油画、ドローイングまで力が入っていた。応援したいのだけど、誰のアドバイスだったのか、値づけが強気すぎ。将来価値目標をいきなり出してしまったなぁ。本展での値づけの40~50%が目下妥当の線と思う。)

271109 第4回 白日会デッサン展 (11/6~19) @ 永井画廊 (銀座四丁目)
(1階と3階で。山本大貴さんなど若手作家作品だけ数点売れていた。小木曽誠さんの女性は、髪に当たる日の光を面相筆の白い曲線で表現してある。一歩間違えると白髪になってしまう、ギリギリのところ。木原和敏さんのパステル画「まなざし」は、似た女性に覚えがあってひかれた。何とも寂しげである。このかたの作風なのだね。)

271109 第21回 0(ゼロ)の会展 (11/9~15) @ ギャラリーくぼた (京橋二丁目)
(美樂舎・澤登丈夫会長のクレヨン画4点あり。東京大空襲の70年後、都心の夜の街に2015.03.10未明の時刻のデジタル表示が浮かぶ。澤登さんはクレヨンを何百本も持っているようす。油画のように塗り込む一方で、色鉛筆のように緻密な線もあり、さいしょ画材が分らなかった。)

271109 豊海(とようみ)健太 個展 ―界― (11/9~14) @ ギャルリー東京ユマニテ (京橋二丁目)
(DM を見て「ロスコかよ…」と思ったらツートーンの漆藝作品。下6割は銅版画ふうの雑景を濃い飴色で覆ってアートにしてしまった。上4割を真っ黒の平滑面にしてしまったが、ここに三代徳田八十吉のような(そこまでは望みませんが…)グラデーション(たとえば黒→藍→群青)が入ればすごいことになるね。あるいは太いラインを入れてもいいかな。昭和63年生まれ、金沢美工大漆藝 博士後期在籍。)

271108 相模原市内のアトリエ巡り(美樂舎企画)
(詳細のちほど。TANA Studio で中村太一さんのドローイングを2点購入した(2 x dek tri mil)。)

271106 ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生 (9/9~12/7) @ Bunkamura ザ・ミュージアム (道玄坂二丁目)
(題名とは裏腹に、何が楽しいって、やっぱり絵のなかに描かれた人々の躍動を見ることなんだ。音声ガイド用に iPad を使わせてもらったが、片手を塞がれてしまうので、却ってわずらわしい。アンケート項目から察するに、美術館側としては iPad 案内のほうは単価を高く設定したいようだが、ムリだろう。)

271106 トレヴァー・ブラウン&三浦悦子 二つの聖餐 ―闇から光へ― (11/6~15) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目)
(トレヴァーさんの鉛筆デッサン(下絵)が、いいなぁ。本画は、ちょっと描き込みすぎのが多いな。三浦悦子さんがトレヴァーさんの女性キャラを立体人形にした「トレヴァーさん」は、カネがあれば買ってたな。)

271106 ジャパン・アヴァンギャルド ――アングラ演劇傑作ポスター展 土方巽、大駱駝艦、劇団自由劇場、黒テント ほか (11/1~15) @ ポスターハリスギャラリー (道玄坂二丁目)
(熱く、熱く、来るね。)

271106 プラド美術館展 ――スペイン宮廷 美への情熱 Prado Captive Beauty (10/10~28/1/31) @ 三菱一号館美術館 (丸の内二丁目)
(小ぶりの作品で構成された巡回展。人間の描き方がゾクッとくる作品がちらほら。Carlo Maratti 「眠る幼子イエスを藁の上に横たえる聖母」(1656年頃)の伏し目の聖母がムンクのモノクロの世界に通じていて、まことに現代アートだ。Diego Velazquez の「ローマ、ヴィラ・メディチの庭園」(1629~30)は、たしかに印象派を200年前に先取りしている。Hendrick van Steenwijck の礼拝画は光と影がじつにドラマティック。Jan van Kessel 1世の「アジア」(1660)は空想動物図鑑イラストのような11点セット。Mariano Fortuny y Marsal の「日本式広間にいる画家の子供たち」(1874)も、色彩タッチがさわやかな現代アートなり。)

271105 Melt the Ice Cream 河野裕麻・クロダミサト (11/2~14) @ ヴァニラ画廊 (銀座八丁目)
(クロダミサトさんの写真のなかに、肉体どうしの位置関係だけで以てゾクッとさせる作品があった。)

271105 浜田澄子展 (11/2~7) @ 中和ギャラリー (銀座六丁目)
(美しい鉱物が演じる顕微鏡下のステンドグラスのような。和紙の貼り絵技もつかい、すてきな画面をつくっている。昭和32年生まれ。)

271105 浮世絵と肉筆で見る歌舞伎の世界 (10/27~11/5) @ ぎゃらりい秋華洞 (銀座六丁目)
(いなせな大工作業を描いた3枚組の浮世絵版画の額装を見たら、左にくるべき絵が右にあって、絵がつながってない。最終日にして、拙者がご指摘申し上げた次第。)

271105 大日本タイポ組合 (11/4~28) @ 銀座グラフィック・ギャラリー (銀座七丁目)
(ちょっと不発の企画が多い感じだが、ぼくも読めない「横書き仮名」文字(平27開発)には ひかれた。あぁ、ぼくもチベット文字をいよいよ勉強しはじめようか。)

271105 後藤洋明コレクション+α 第4回 雑居房 (11/5~12) @ Gallery 枝香庵 (銀座三丁目)
(洲之内徹さんの流れの人の由。一種のタイムカプセルだな。)

271104 神崎泰志(ひろし)彫刻展 (10/23~11/6) @ 靖山画廊 (銀座五丁目)
(ひたひたと蝋が垂れる蝋燭を木枠で囲み、焔の上のところは黒く焦がす粋な計らいも施した一木造りは、たしかに彫刻のエンターテインメントの域に達している。)

271104 北川健次展 「午睡の庭――繁茂する蕁麻(いらくさ)の緑陰の下で」 (10/28~11/16) @ 日本橋高島屋6階美術画廊X (日本橋二丁目)
(北川さんに魅入られてコラージュ作品「聖母頌 ― Rome」を購入(cent dudek mil + i)。ラファエロの描いた聖母が美しく、それをひたひたとした布でくるみこむ慈愛もすてきだ。もうひとつ、ひかれたのが立体コラージュ「狂った一頁<壊れた歯車のある>」。狂人3名と壊れてワイヤがとびだしたゼンマイ仕掛けの絶妙な掛け合わせ。)

271103 財団創立75周年記念特別展 根津青山(ねづ・せいざん)の至宝 ―初代根津嘉一郎コレクションの軌跡― (9/19~11/3) @ 根津美術館 (南青山六丁目)
(国宝「鶉図」(伝 李安忠 筆)の鶉の目が鋭い。南宋時代12~13世紀のものとしては保存状態もよく、国宝指定はうなづける。国宝「那智瀧図」は滝を本尊として描いた随一の絵だが、なるほど水のなかに神佛を見る思い。国宝「布袋蒋摩訶問答図」は元代14世紀のものだが、諧謔みは白隠の世界だ。話題の「花白河蒔絵硯箱」と明代17世紀「交趾大亀香合」も見た。)

271102 逆境の絵師 久隅守景(くすみ・もりかげ) 親しきものへのまなざし (10/10~11/29 ただし前期展示 11/3 まで) @ サントリー美術館 (赤坂九丁目)
(国宝「納涼図屏風」が11/3までの展示だ。11/2は月曜なのに特別に8時まで開館という超穴場で、じつにゆったりと鑑賞できた。久隅守景という人は、筆さばきはさほどうまいとは思えないが、人物の何気ないしぐさを切り取るセンスが絶妙だ。屏風絵の数々を堪能した。守景の娘、清原雪信の画風は上村松園のごとし。)

271102 日本版創刊20周年記念 ナショナルジオグラフィック 地球の真実 (10/30~11/18) @ フジフイルムスクエア (赤坂九丁目)
(見ごたえある写真の数々。メキシコの世界最大の結晶洞窟や、ねばりにねばって遠隔操作で撮影したハチドリの接写。フォトコレクションは1,100万点に及ぶらしい。未来の人類への宝としてどう残すのか。NG誌は40言語に翻訳されているというが、本当かね。40ヶ国版じゃなかろうね?)

271102 進藤 環(たまき) 「漂泊の地」 (10/31~11/28) @ Gallery Art Unlimited (南青山一丁目)
(写真を切り貼りして、一見コラージュには見えない架空風景をつくる。過去ファイルに、制作過程の記録写真があって興味深い。)

271102 鈴木亘彦(のぶひこ)展 カゴシアン Cagoshian (10/31~11/14) @ Gallery Tsubaki/GT2 (京橋三丁目)
(さまざまなモノや模様を埋め込んだポリエステル樹脂とガラスと丹念な金工で、ぼくのリビングにも飾りたくなる軽快な美。日本橋高島屋美術画廊Xで、むかし遭遇した作家作品だ。)

271102 渡辺達正(たつまさ)展 (10/31~11/14) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目)
(さまざまな青のニュアンスと動きと擦れを味わう、ひたすら青のメゾチント。)

271101 没後100年 五姓田義松(ごせだ・よしまつ) ―最後の天才― (9/19~11/8) @ 神奈川県立歴史博物館 (横浜市中区南仲通)
(もと横浜正金銀行本店。はじめて来た。「日曜美術館」で紹介された数点で、見ものは尽きていた。「老母図」はムンクばりで、これが義松20歳のとき、明治8年に描かれたとは驚異的だが、このムンク的な部分はその後につながらなかった。鉛筆画の「六面相」も期待していたが、旧はがきサイズの小さいものだった。図録が完売だったが、収録作品は風景ドローイングがほとんどで、残っていてもたぶん買わなかった。常設展は、宮川香山の眞葛焼(まくずやき)があった。)

271030 Tokyo Design Week 2015 (10/24~28; 10/30~11/3) @ 明治神宮外苑絵画館前 (霞ヶ丘町)
(完全に期待外れだった。昨年までは高レベルの現代アート展示があったのに、今年はただの文化祭だ。河口英世さんの Kanji- English Simmetry は、縦書き漢字の和単語と横書きローマ字の英訳語を斜め45度の線対称ペアで表す。福岡の Invisible Designs Lab が制作した Ko-Tone(コトン)は螺旋階段木琴を転げ落ちる木球がかなでるクラシック音楽。)

271030 島村達彦展 (10/27~11/6) @ 銀座 柳画廊 (銀座五丁目)
(色調は岡野博さんと通ずるものがあり(だが タッチは荒さと淡さのメリハリ強し)、柳画廊好みの油画。大正11年生まれ、平成16年歿。)

271030 山本大貴(ひろき)展 (10/29~11/11) @ 日動画廊 地階 (銀座五丁目)
(初日完売もわかる。いいモデルさんを高精細写真で撮ったような油画。極め尽くされているから、買う側には悩みが生まれない。昭和57年生まれ、武蔵美油絵 院修了。)

271029 八太栄里 個展 いつかの海のよう (10/27~11/1) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 4 (大京町)
(丹念な背景写実にアニメキャラのような人物を立たせる。絶品の空間描写。平成元年生まれ。)

271029 前嶋 望 個展 (10/27~11/1) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 3 (大京町)
(謎の DM が気になって来てみたら、器用で韜晦の才人だった。「京劇俳優」を購入(dudek tri mil)。昭和60年生まれ、東京藝大油画卒、シェル美術賞2012入選、上野の森美術大賞展入選、ワンダーシード2014入選。報美社企画。)

271029 味戸ケイコ個展 ―あわいのひかり― (10/26~11/7) @ スパンアートギャラリー (銀座二丁目)
(鉛筆画のアクリル彩色で繊細な心象風景。前から注目していたが、なんと小学館の日本美術全集に作品が1点収録された! 今回の個展も、過去に比べて大きくレベルアップが感じられます。)


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