文春新書『英語学習の極意』著者サイト

2006/01/26(木)20:44

なぜか堀江貴文に甘い米国メディア

ぼくの疑問符(188)

田中角栄が罪人となってからも 北京政府が角栄好き好きと言い続けていたころを思い出した。 堀江貴文に米国メディアはなぜこう甘いのだろう。 1月25日のウォールストリート・ジャーナル。 James Rose という雑誌編集者が書いていた。 堀江が逮捕されたことと、その経緯のあらましを書いたうえで、 In short, what Mr. Horie did wrong was to be too American. と言ってのけた。 「はやく言えば、堀江氏の誤りはアメリカ式をやりすぎたことだ」。 おいおい、まさか、 財務報告の数字の操作・改竄など米国では あたりまえさ、 ちょっと「やりすぎ」ただけさ、 と言いたいのかね。 すくなくとも建前上、 「ウソをつかない」ことに対して日本人以上に潔癖なのが 米国人じゃなかったの? 堀江氏の手に手錠がはまったのも端的に言えば 「大ウソをついてきた」からだが。 どこがアメリカ流なものか。 いや、それともやはり、 「米国流」に「資金力」と「ニューヨーク州法」をふりかざして 世界の中小国家を手ごめにしてきたことに それなりに良心がうずいていたのを、 ツンツン と、突つかれでもしたのかね。 1月20日のクリスチャン・サイエンス・モニター紙は なんと社説で His potential downfall may merely represent the establishment's way of hitting "a nail that sticks up" rather than actual illegality. と言ってのけていた。 逮捕前とは言え、すでに「勝負あった」の時期だが。 「彼は失墜することにもなろうが、 それは単に旧来の体制側が <出る釘を打って> いるにすぎず、 本当の意味で違法なことをしたからではない。」 よく言うよ、まったく。 訂正の社説が出ないかと待っているが、いっこうに出ない。 朝日新聞流の「だんまり」路線かい。 「クリ・モニ」紙によると Horie also used legally borderline and "un-Japanese" tactics to boost his company's stock and to buy into other companies, challenging Japan's semisocialist business/government collusion, or what's called "communitarian capitalism". だそうだ。 「堀江は法的にスレスレの、日本人ばなれしたやり方で 自社の株価をつり上げ、他社を買収してゆき、 日本の <共生資本主義> とでもいうべき 擬似社会主義的な財界・政界のなれ合いにたてついた。」 笑わせるね。 そんな立派なタマかねぇ。 大学中退のコンプレックスにまみれた才覚を 非日本人どもに利用されただけでしょ。 見抜けなかった自民党も経団連も、 今になって恥をかいているじゃないか。 「エスタブリッシュメントが出る釘をたたいた」 というが、 自民党も経団連も 自分の靴の先をトンカチで叩いたってことかい。 今回は久々に、米国のメディアに愛想がつきた。

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