2007/08/09(木)08:09
脂肪組織は役にたつ
ミュージカル「ヘアスプレー」を見ていたら
あるとき字幕に「超メタボ」という単語。
「おでぶ」「肥満」の意味であることは脈絡からすぐわかるけど
誤用のにおいに不満がのこった。
「メタボリック・シンドローム(新陳代謝症候群)をおもいきり病んだ」という意味での「超メタボ」でしょうが、
ほんらいの語義どおりとると
「超メタボ」とは
「新陳代謝がものすごく盛んな」つまり「太らない」
という意味になるはずなんですね。
語源のギリシャ語の「メタボレ」は
「変化」という意味。
そこから造語された metabolism(新陳代謝)とその形容詞形 metabolic ですから。
「新陳代謝に問題あり」の意味で「超メタボ」という単語が通じてしまうのは皮肉です。
8月はじめのエスペラント関連のイベントに向けて大脳に糖分をやろうと思ってドカ食いしたら4キロくらい太った。
いま減量に取り組んでいる。
そんなとき『ニューヨーク・タイムズ』紙8月7日号で
「評判は悪いが、からだの脂肪は役に立っている」
Its Poor Reputation Aside, Our Fat Is Doing Us a Favor
という記事を読んだ。
米国では脂肪吸出し手術がさかんですよね。
そのことがベースにある記事ですが、趣旨は
「脂肪をたくわえて膨張する脂肪組織がからだになかったら
体内に取り込まれた余分なエネルギーは
内臓のなかの何でも屋 即ち 肝臓にごっそり蓄積されることになる」
「どんなに筋肉質のひとでもチンパンジーに比べると体内脂肪率は高い。
チンパンジーに比較すれば およそ人間の筋肉は霜降り状態だ。
エネルギー消費が激しい大脳を支えるために人間にはエネルギーを体内に蓄積する仕組みが発達したのだ」。
エネルギーの貯め所としての脂肪組織をもっていないと、却って最もだいじな肝臓に負担がかかってしまうという話。
社会に適度な不満のはけ口がないと却って危険なことになることの例えに使えそうにも思えた。