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2007/11/26(月)23:07

立体映像で内視鏡手術ができる画像装置

世界を見る切り口(173)

技術開発には、こつこつ時間をかけていただいていいものと、人とカネを重点投入して実用化を早めてほしいものとがある。 11月9日付『日本経済新聞』が報じていた「立体映像を見ながら内視鏡手術ができる画像装置」は、まさに後者。 政府が支援する価値ありだ。 試作品ができていて、 ≪縫合の実験をしたところ、従来のディスプレーでは見分けにくい手術針の向きの違いをきちんと判別できた。 ミスの回数も半分以下、作業時間は約4割短くなった。≫ これは画期的だ。もし自分が手術を受ける身になったら、ぜひともこの新装置を使ってほしい。 ≪患者の体に開けた小さな穴に、2台のカメラを搭載した専用内視鏡を挿入。 カメラが撮影した患部の映像をチューナーとプロジェクターで処理し、右目用と左目用の映像を投影する。 医師らは専用の眼鏡でディスプレーを眺めながら、内視鏡や手術に使う鉗子(かんし)を操る。≫ 内視鏡手術のミスが医療事故としてよく報道される。 血がにじんだ脂肪と肉がうごめく世界と、平面画像を通して挌闘するなかで事故は起きる。 片目をつぶって裁縫をする手真似をしてみると、立体感がないからぎこちなく感じる。両目を開けた途端に、ほっとする。 平面画像を見ながら手術するというのは、片目をつぶって手術をするようなものなのだ。 言われてみれば立体映像装置がとうに開発されていておかしくないが、 ≪既存の立体画像装置は観察できる範囲が狭いうえ、奥行きがわかりにくく、目が疲れるためほとんど普及していない。≫ そうだったか。 で、今回の画期的な改良型立体画像装置の実用化はいつ? なんと2年もかかるらしい。 記事によれば、松下電工と九州大学大学院医学研究員の橋爪誠教授らが開発を進めてきたのだが、今後さらに内視鏡メーカーとともに作業が必要で、実用化は2年以内に行うという。 あと2年か……。 技術者を投入して、実用化を早められないものだろうか。経営、さらには政治の判断が必要な領域ではないだろうか。

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