2008/01/12(土)23:31
韓国のドジョウ汁、鰍魚湯(チュオタン)を食った
韓国の取引先のビルの窓から見下ろすと通りの向かいに「チュオタン」と書いた看板が見えた。(もちろんハングルで。念のため。)
周囲をビルに囲まれるなか、その食堂だけが平屋の建物で頑張っている。
韓国のどじょう汁というのがどんなものか、今回のソウル出張最終日にようやく体験できた。
基本の味付けは味噌(熟成がすすんでチーズっぽい旨みあり)+ 青唐辛子 + 胡椒 + 山椒。
わたしが行った店は具がごぼう、韮(にら)、もやしなど。
テーブルの上のガス焜炉でアルミ鍋をぐつぐつ。
蓋を開けてかき混ぜたら、店のおばさまが「もっと煮込むのよ」という。
蕪(かぶ)キムチや分葱(わけぎ)キムチを食べながら待ちに待って、ようやくお許しが出た。
お椀に具と汁をつぎ、アルミ碗のご飯を平たいスプーンですくって汁に混ぜながら食う。
味噌が粒々している。ごぼうや韮の表面に細かい味噌粒がいっぱい付いている。
ところが肝心のどじょうがいない。
きっと鍋の底のほうにたまっているのだろう。
鍋から杓子で2杯目をすくう。
まだ、どじょうにお目にかからない。
そのうち、どじょうのものらしい小骨の小さなかけらを舌先で発見した。
ひょっとして、どじょうは鍋に入れる前にすっかりすりつぶされていたのでは?
細かな味噌粒と思っていたのが、あれがどじょうのミンチだったのではなかろうか。
どじょう鍋の底まで全部お椀にすくって、仮説は確信に変わった。
想像していたどじょうの切り身はどこにもなかったのだ。
鍋を食い終わるころには、わが胃袋はサンバを踊っていた。
お勘定を頼んだら、どじょう鍋(チュオタン)は7千ウォン(840円)だった。
韓国なので、キムチ3種と青菜のおひたし、にんにく酢醤油漬、煮干のにんにく風味佃煮の小皿が食べ放題で、このお値段。
ご飯は、ちょっと粟(あわ)をまぜた雑穀ご飯だった。
店はソウル江区の「元祖原州鰍魚湯」。創業30年が自慢だが、店内の見かけは雑然とした大衆食堂だ。
店を出たら、扉のわきの地面にプラスチックの箱がどてんと2つ置かれて、どじょうの群れが水のなかでうねっていた。
何匹食ったのだろう、わたしは。
次に行くときは、魚の形をとどめた「揚げどじょう」を醤油だれで食ってみたい。