カテゴリ:世界を見る切り口
フィリピンでは大型の発電所プロジェクトを2件担当したことがあり、それぞれ思い出深いのだけど、当然、というか、いずれもマニラのあるルソン島の案件だ。
ミンダナオ島にも小さめの案件があったが、誰もはなからフォローしなかった。 昔々昭和47年に始まったイスラム・ゲリラの叛乱で治安が悪化してなかなか改善が見えず、出張もままならないところだったから。 (けっきょく中国勢が受注した。) 今頃になって知ったのだが、 叛乱が起こったのは、フィリピン政府の後押しのもと、昭和20年代からルソン島やヴィサヤ諸島のカトリックの農民がミンダナオ島へ入植して、イスラム教徒がもっていた土地を体よく召し上げてしまったことに根本の原因があった。 和解プロセスの一環で、さる8月5日、フィリピン政府と「モロ・イスラム解放戦線 (Moro Islamic Liberation Front, MILF)」が自治権拡大の覚書に調印しようとしていた。 ところが直前の8月4日にフィリピン最高裁判所が「違憲の疑いあり」と言い出して自治権拡大の覚書調印を差し止め、8月15日に公聴会を開催することになった。 土地所有権の剥奪を恐れるカトリックの地主や政治家が最高裁を動かしたのだ。 ここはアロヨ政権に踏ん張ってもらいたいものだ。 MILFは、米国もテロリスト集団には指定せず、一人前の政治勢力として扱っている。 昭和20年代以来の利害のドロドロをどうかうまく解きほぐして、ミンダナオ島をふつうの南洋の島に戻してほしい。 昭和10年代にはミンダナオ島のダヴァオに日本人の大コミュニティができていた。 そういう平和な島だったのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 7, 2008 08:54:49 AM
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