カテゴリ:詩詞・短歌・俳句
新年にあたって宮内庁が発表した御製(ぎょせい)と、歌会始(うたかいはじめ)での御製に、天皇陛下が水俣のことを詠(うた)われている。
患(わずら)ひ の 元 知 れ ず し て 病 み を り し 人 ら の 苦 し み い か ば か り な り し ひとの苦しみがもっとも深いのは、苦しみの原因そのものが分からないときだろう。そこに思いを致して発せられたおことばを拝読して、心が顫(ふる)えた。 平成25年10月27日に天皇皇后両陛下は水俣市を訪問された。 第33回全国豊かな海づくり大会海上歓迎行事ご臨席およびご放流 のためであるが、この際に両陛下は、水俣市に到着すると先ず 水俣病慰霊の碑にご供花 に向かわれた。 そして昼食会のあと、胎児性水俣病患者および通所施設 「ほっとはうす」 施設長と懇談の時間を持たれた後に、豊かな海づくり大会の行事に向かわれたのである。 慰 霊 碑 の 先 に 広 が る 水 俣 の 海 青 く し て 静 か な り け り 歌会始の御製である。 平成25年には、水俣病認定申請棄却処分取消等請求訴訟の最高裁判決が出された。 その結果、福岡高裁での裁判は最高裁によって熊本県庁の上告が破棄され患者側が勝訴した。 また熊本県庁が勝訴していた大阪高裁での裁判は最高裁によって差し戻しとなり、県庁側が控訴を取り下げることで患者側が勝訴した。 最近の一連の訴訟のことが熊本県庁のこちらのページにまとめられている: http://www.pref.kumamoto.jp/site/548/keika12.html 患者側が善で県庁側が悪として整理すれば無難な世の中だが、とかく多人数の訴訟には、正当切実な要求に混じって根拠のない要求や争議そのものを自己目的化した動きも含まれるだろう。熊本県庁側でこの件に向き合い続けた人たちの苦労もあわせてしのびたい。 天皇陛下が水俣病のことをお詠みになっても政治的メッセージと解釈されない世の中が実現したから国民が目にすることのできる御製2首である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jan 26, 2014 07:50:42 AM
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