カテゴリ:美術館・画廊メモ
「第25回美樂舎マイ・コレクション展」が Artcomplex Center of Tokyo (新宿区大京町12-9) で、8/23 から きょう 8/28 まで開催されています。
きょう最終日は展示は11時~15時。 15時すぎからは講演会「丸沼藝術の森30周年を迎えて」(須崎勝茂さん・丸沼藝術の森 代表)とクロージングパーティー。 展示観覧は無料。講演会・パーティーは会費1,000円となっております。 さて、わたしのコレクションからの出展は3点です。 右側の作品から解説いたします。 Roby Dwi Antono “Ballad of Hero III” [平成27年制作、油彩] 作家はインドネシア人。Art Fair Tokyo 2016 でフィリピンの画廊のブースで購入しました。 「ヒーローのバラード」三連作は、ほかにウルトラマンと仮面ライダーをモチーフにした作品があるのですが、戦隊戦士を換骨奪胎した本作がベストと思います。 まるでダリ作品のような明るい光の中、メカニックな仮面から“内臓”としての脳があらわにされ、兎は苦渋の喪失感のうちに そこに たたずむ。 「ヒーローが日常に戻ったとき」というのは、ありそうなテーマですが、本作はさらに原初へと戻って、メカニックなヒーローの肉体の核をさらけ出すことで、輝く存在の内実の虚しさをさらけ出しています。 手前の蛙は、これを現実世界から眺める我々自身だと思いますね。 高松ヨク 「フランケン」 [平成24年制作、ボードにアクリル] Gallery Tsubaki (京橋三丁目) の高松ヨク個展で購入しました。フランケンシュタイン博士の怪物の沈黙は深海のように深く、哀しみが螢光を放ちます。 作家は昭和20年生まれ、IFAA(国際幻想芸術協会)所属。一作一作の、じつに丁寧な仕事ぶりに感銘を受けます。 松岡平四郎 「加護(Divine Protection)」 [平成27年制作、パネルにアクリル] Gallery Art Point (銀座八丁目) の若手グループ展で購入しました。 ヒーローロボットの背後の光にかすかに女神の姿が見えます。ロボットは苦悩の表情だがその闇を加護の光が包み込みます。SF画の心情表現が宗教画の域に高められたのです。活劇イラストを超えた松岡ワールドの今後が楽しみです。 (写真を見ると上部と右側がフラッシュの照り返しのように見えますが、これは絵そのものに描かれた女神の加護の光です。) さて、他の皆さんの出展作品を見てみましょう。 まず、わたしの左隣りの丹伸巨(たん・のぶお)さん。今年は髑髏(しゃれこうべ)と女性をモチーフにした小品3点です。 左が 高田美苗 「冥婚2」。 右が 鳥居 椿 「接吻」 会場で目を引くのが北林憲次さん出展の三木富雄の「耳」作品。それに楢崎卓茂さん出展の菅井汲(すがい・くみ)のリトグラフを配するという心憎い配合となっております。 三木富雄 “The Last EAR” 菅井汲 「青 ’60」[昭和35年制作] 三木富雄の「耳」は、昭和52年に制作された粘土像を原型に昭和63年に8体限定でアルミニウム合金で鋳造されたものです。 さて、会場でいちばん高価なのが、松原寿幸さん出展の古吉弘作品と奥龍之介作品。わたしが出展したものが100枚買えてしまうようなお値段なのですが、さすがそれだけのことはあります。といっても、わたしはやはり、わたしのコレクションしたものが至上と考えておりますが。 左が 古吉 弘 “MIKI” [平成23年制作、油彩・キャンバス M10] 右が 奥 龍之介 「バイオリンを持つ少女」 [昭和55年制作、油彩・キャンバス F15] 会場でこれまた異彩を放つのが、鈴木忠男さん出展の絵幟(えのぼり)です。鈴木さんは、現代アート蒐集の一方で、絵幟コレクションは日本でも指折りのものをお持ちです。 今回出展のものは明治後期の作とされるもの。もとはもっと大きな絵幟でしたが かなり朽ちてしまい、馬の部分だけを切り取ったものが今に伝わり鈴木コレクションに収まったわけです。 コレクターが蒐集品を出展しあう マイ・コレクション展、略して「マイコレ展」。これに自分のコレクションを出したいというのが動機で、わたしもコレクター団体「美樂舎(びがくしゃ)」に入ったのでした。 さまざまな傾向の作品が出展されるのですが、それぞれに蒐集家が作品に寄せる愛が伝わります。今年も、いい展覧会になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 28, 2016 12:03:48 PM
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