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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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世界を見る切り口

Aug 4, 2011
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カテゴリ:世界を見る切り口
8月4日の日経朝刊1面のスクープ 「日立・三菱重工 統合へ」 には5秒ほど「おっ!」と思ったけど、あって不思議でない話と受け止めた。
むしろ、自分が本気で驚いていないことのほうに驚いてしまった。

伊藤元重さんなどが随所で指摘しておられるように、韓国は経済危機後に業種ごとに企業合併を促進させて、1業種1国1社の巨大企業を仕立てて国際競争に打って出ている。日本もその時代になった。

財閥系企業グループそれぞれのトップ企業とされてきた三菱重工と日立があっさり統合する。時代の象徴であり、次代の象徴だ。

商社業界でいえば、丸紅と伊藤忠の合併などは両社の成り立ちからいっても 「あっておかしくない話」 と十数年前から言われてきたのだから、あすの日経が 「丸紅・伊藤忠統合へ」 と書いても驚かない。

三井銀行と住友銀行が合併したのだから、三井物産と住友商事が合併しても驚かない。
三菱電機・富士電機・明電舎が合併しても驚かないし、富士重工とマツダが合併しても驚かないし…。

企業合併の組合せの憶測話は、インサイダー情報をもっているひとは御法度(ごはっと)だが、下々(しもじも)が語る分にはたいへん面白い話題で、個々の語り手の企業観や産業観が如実に出る。

ワイドショーにぴったりのテーマ。話題に取り上げられた企業の株価に影響するかもしれないが、それも企業の実力のうちだ。






最終更新日  Aug 4, 2011 07:23:56 AM
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Jun 15, 2011
カテゴリ:世界を見る切り口
イタリアには原発が1基もない。最近の投票結果でも、原発導入はあらためて否定されました。

それでも生きていけるのは、電気を輸入できるから。
平成16年にイタリアは、国内で使う電気の16.1%を国外から輸入している。

イタリアの電力供給バランス (2004年)」 という分かりやすい図があるので、ご覧ください。
このサイトは、文科省所轄の (財) 高度情報科学技術研究機構(RIST) のもの。図の出所は、イタリア全国送電系統運用会社 (GRTN) の資料。

衝撃的によくわかりますね。
こんな藝当(げいとう)が、日本はできない。
韓国から玄界灘をわたる送電線をひいて来ますかね。いのちの送電線が天災・人災 (中国軍の攻撃ふくむ) で切れたら、日本の経済は麻痺(まひ)します。

イタリアはどの国から電気を輸入しているのでしょう。
水力発電ゆたかなスイス。
農業に不向きな平原を選び原発を建てて国内の電力の8割前後をまかなうフランス。
外貨収入がほしいスロベニア。
その辺から買っております。

イタリアの電力潮流(2004年)」 という、これまた分かりやすい図があるので、ご覧ください。
サイト・出所は、「電力供給バランス」 の図と同じです。

国内に原発を作れないイタリアは、ついに国外に原発を建設することにしました。
スロバキアやルーマニアの原発に投資をして、電源を確保しようというわけです。
イタリアの原子力事情と原子力開発」 をご覧ください。
さきほどの RIST が運営する、ウェブ上の原子力百科事典から。

イタリアが、原子力発電そのものを否定するのなら、死んでもフランスから電気を輸入しちゃいけないし、スロバキアやルーマニアの原発に投資するのもご法度(はっと)ですが、そうではないわけです。

「イタリアに倣え」 と安易に叫ぶひとたちは、まずこの辺の基礎知識も持ったうえで叫んでいただきたいものです。
国内で発電するかわりに電気を輸入すれば、当然高くつく。当たり前のことですが。
そして、日本には、電気を輸入するという選択肢はありません。






最終更新日  Jun 15, 2011 07:16:52 AM
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May 26, 2011
カテゴリ:世界を見る切り口
原子力発電はほんとに安いのか?
運転中の発電コストが安いのは日々実証済としても、老朽化したあと廃炉・解体するコストはどうか。

放射性物質つきの大量の瓦礫をどこへ持っていくのか決まっていないのだから、廃炉・解体の費用は未知数だ。
原子力発電のコストは過少見積りではないか、という議論は昔からある。

わたしだって、そこを突かれるとコメントのしようがないさ。

しかし自信をもって言えるのは、次のこと。
いま稼動している原発を、政治的な理由で早々に廃炉・解体しても、設計寿命まで使い切ってから廃炉・解体しても、後始末のコストは同じだ。
あたりまえだけどね。

それなら少なくとも、動いている原発は設計寿命まで使い切るべきだ。

建設中の原発はどうか。

廃炉・解体は、2050年ごろだよ。それまでに30基以上の原発の廃炉・解体が終わっているわけだ。
ぼくが生きてりゃ90歳になっているころだけど、さすがにそのころの人類は廃炉・解体の技術ノウハウを開発しきっているだろう。
建設中の原発をあきらめるべきではない。



5月22日の日経7面に囲み記事で、 A.T. カーニー社が試算した 「原発全廃後の電力料金」 のことが載っていた。
原発を全廃したら2020年ごろの電力料金は70%アップだろう、という内容。

さすがに、いま全国的輪番停電覚悟で原発全廃というのは現実的にありえないから2020年に設定したのだろう。

勤務先の仕事でお世話になった A.T. カーニー社の人がたまたまピントのずれた人だったこともあって、この記事は一歩引きながら読んだけれども (もちろん同社には優秀なかたも多々おられるはずです)、こういう試算をいろんなところで行って、原発の必要性について共通の認識を広げるべきだ。


日本経済新聞 平成23年5月22日 7面

≪電 気 料 金
原発全廃なら70%上昇も
2020年に、民間が試算

原発全廃で2020年に電気料金は70%アップも――。コンサルティング大手の A.T.カーニー (東京・港区) は、東京電力福島第1原発事故を受けて脱原発を進めた場合の電力料金シナリオをまとめた。
原発を軸にしたエネルギー政策の見直しが避けられないなか 「料金負担を含めて議論する必要がある」 としている。

原発の廃炉コスト1基あたり1,000億~2,000億円、太陽光導入のための送電網強化対策約4兆円、電力需要4%減などの前提条件をもとに発電コストを算出。

国内54基の原発を停止し、発電量で約30%を占める原発分を液化天然ガス (LNG) で17%、残りを再生可能エネルギーで代替した場合、2020年の1キロワット時の発電コストは70%増、二酸化炭素 (CO2) 排出量は19%増となる。

稼動から40年以上の老朽化した原発を止めた場合、2020年時点で37基の原発が稼動し (設備利用率65%)、原発比率は16%となる。不足分を再生可能エネルギーと LNG でまかなうとすれば発電コストは48%増となる。

同じ稼動数で設備利用率を85%まで引き上げれば発電コストは5%増にとどまる。

政府は昨年6月、2030年までに原発など CO2 を排出しないゼロエミッション電源比率を34%から70%に引き上げることを柱としたエネルギー基本計画を策定。原発事故を受け全面的に見直す方針を打ち出している。≫






最終更新日  May 26, 2011 07:43:52 AM
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Feb 13, 2011
カテゴリ:世界を見る切り口
官僚出身の論客でわたしが信頼しているのが、佐々淳行(さっさ・あつゆき)さんだ。初代の内閣安全保障室長。

靖國神社の月刊 『やすくに』 平成23年2月号に 「靖國神社と私」 と題して寄稿しておられる。

警察庁から外務省に出向し在香港日本国総領事館領事として勤務なさった昭和41年、ヴィクトリア湾の小島 Stonecutters Island (=中国語名: 昂船洲) での日本海軍将兵の遺骨収集のことを書いている。

ウィキペディア英語版によれば、ストーンカッターズ島は今では埋め立てで九龍半島につながってしまった。
かつては英国軍が通信施設を置いており、大戦中は日本軍がこれを利用した。血清をつくるための毒蛇の養殖場も置かれていたという。

佐々淳行さんの遺骨収集の話は、そのままテレビの1時間ものの単発ドラマに仕上がる。関係者に取材ができるうちに、どなたかシナリオを書いてもらえないだろうか。

佐々さんの文章から該当部分を引用させていただきますが、その前に月刊 『やすくに』 の宣伝を…。

12 頁ほどの小冊子ですが、毎号2ページものの時論と最終頁の英霊の残したことばが読ませます。
年間購読料は1,200円ですが、靖國神社崇敬奉賛会 (年会費3,000円) に入会しても送付されます。わたしは、同会の終身会員です。


月刊 『やすくに』 平成23年2月号
佐々淳行 「靖國神社と私」 より

≪(…前半略…)

私が靖國神社に感情移入するのは、もう一つ、別な理由がある。
それは私が外務省に出向し、香港領事としてかの地に勤務していた時の、遺骨収集の体験があるからだ。

昭和41年(1966年)5月12日、私は香港島と九龍半島の間のビクトリア湾に浮ぶストーンカッタース島に数名のクーリーを連れてのりこんだ。
昭和19年12月、米軍の空襲によりビクトリア湾で撃沈された海防艦 「神威(かむい)」 ほか数隻の旧日本帝国海軍将兵の遺骨収集のためであった。

151柱の戦死者の遺体は同島に仮埋葬されたまま忘れられ、昭和40年頃になって一人の軍医大尉が突然思い出して厚生省引揚援護局に報告したことから、その回収作業が俄かに浮上したのである。

外務省も厚生省も消極。
問い合わせをうけた英国香港政庁はもっと消極。
なぜなら、文化大革命と紅衛兵大暴動の不気味な黒雲が中国本土ばかりか香港にも立ちこめていて、そんな最中に旧日本兵遺骨の収集など、香港人を刺激する、とんでもない無用の国際協力だったからである。

公電のやりとりの結果、外務省も厚生省も香港政庁も一番事なかれの、ダメでもともと、すべての結果責任は警察庁から出向の佐々領事にありということで合意が成立、私に下った命令は、
「5月12日、午前9時半から午後4時半までに限り、警察庁の佐々領事1名のみ、軍事基地ストーンカッタース島立入りを認める。
クーリー数人の同行は認めるが、英軍は一切手伝わない」
という、ミッション・インポシブルだった。

つまり
「形だけやったことにする、その担当者は外務省でも英軍でも香港政庁でもない警察庁領事」
という、極めて官僚的でやる気のない決定だった。

私は、1体も残さず回収してやると決意してストーンカッタース島に乗り込んだ。

ミルトン大尉という守備隊長が冷たく応対し、
「当部隊には戦争中の日本軍捕虜となり、日本を憎んでいる兵もいることを忘れないように」
「午後4時半に作業は打切り。掘り切れなければそれまで」
「英兵は一切手伝わない」
と過酷に言い放った。

私は炎天下の砂浜にある埋葬現場にクーリーを整列させ、英軍監視の下、「海行かば」 をソロで歌う儀式をひとりぎめで行った。

英軍の軍曹がそばにきて、
「そりゃ何の真似だ?」
と聞くから
「帝国海軍の鎮魂歌だ」
と答えると、彼は制帽を脱いで小脇にはさみ、直立不動の姿勢をとった。
炎天下私はクーリーたちを指揮して遺骨を掘りに掘った。

頭蓋骨が姿を現わすと、私はスコップで掘ろうとするクーリーを制止し、
「手で丁重に掘れ」
と手本を示し、クーリーたちはみんな素直に従った。

大穴の底で一つの頭蓋骨を私は掘りあてた。
白い歯が綺麗にならび、命中した機銃弾の穴がポッカリあいている。多分少年兵の頭蓋骨だろう。
私はその頭蓋骨に向って呟いた。
「20年間も放置しておいてごめんな、私が君を靖國神社に連れ帰ってあげるから」
と。

人影がさしたのでふと見上げると墓穴のへりにミルトン大尉が立っていた。
「君は士官だろう。クーリーと一緒に骨掘りをすることはない、士官食堂で冷たいビールはいかがか」
といたわりの声をかけてきた。

「御好意は有難いが、英側が立入りを認めた日本人は私一人だ。時間も午後4時半まで。
私は全部一人残らず掘るつもりだから作業を続ける」
と私は一矢酬いた。

真先に動き出したのは、さっきの軍曹だった。さりげなく遺骨山盛りの麻袋を船の方へ引き摺ってゆく。
すると英兵たちもこれに倣った。

そして午後4時半。約束の期限までに151柱の遺骨を回収し、船につんでストーンカッタース島を去ろうとしたとき、ミルトン大尉が約一個小隊の英兵を整列させ、
「アテーンション!!」
と号令を下し、私と遺骨に部隊の敬礼を行ったのである。
私は胸が熱くなった。これが国のために戦死した兵士たちに対する万国共通の国際礼譲なのだと痛感した。≫



これをテレビドラマにするにはかなりの追加取材が必要だが、最後のほうの軍曹の協働、そしてミルトン大尉の号令のシーンは心をゆさぶる。

皮肉なことに日本社会の風潮からいえば、テレビの視聴者の大多数はおそらく佐々淳行さんにではなく、ミルトン大尉以下の英将兵の立場に自己投影するにちがいない。
佐々領事のお手並み拝見とばかりに。

だから視聴者は、ドラマの後半、ミルトン大尉や軍曹の立場に立って 「自分ならどうするか」 と考える。
そして、英将兵の行動にだいじな基本を教えられる。

屈折しきった日本だから、佐々淳行さんの遺骨収集が得がたいドラマになる。






最終更新日  Feb 27, 2011 11:51:26 PM
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Apr 9, 2009
カテゴリ:世界を見る切り口
平成18年11月5日に 『世界日報』書評 をいただいたのに、遠慮のかたまりになってしまい、配信誌にもブログにも転載させていただいていない(ようである)。

2年以上経ち、ウェブ上から記事が消えてしまうかもしれないので、転載させていただきます。


≪日本の本領(そこぢから)

         泉 幸男 著

名医に似た確かな眼力

 本書のテーマは、天皇論から憲法、少子化問題までと幅広いものがある。

 前著 「中国人に会う前に読もう」 で明らかなように、揚げ足取りや批判のための批判といった矮小(わいしょう)な世界とは一線を画し、的を射た国家観や世界観に裏打ちされた視点の高さが著者の持ち味だ。

 本書でその眼力の確かさを確認したのは、東南アジアを俎上(そじょう)に載せた第5章だ。

 著者はこう指摘する。

 「そもそも自分の流儀を変えることにエネルギーを使おうという気を起こさない恐るべき怠惰そのものが、南洋の民の安定の錨となっている」

 著者が言いたいのは、南洋の民の民族性ではない。

 今、日経をはじめマスコミが騒ぎだしている「東アジア共同体」なるものが、実は虚構のレールを走る亡霊でしかなく、所詮(しょせん)、絵空事でしかないというのだ。

 また、「東アジア共同体」 というなら、東アジアの経済実体である台湾を無視していることに異議を唱える著者の主張もまっとうだ。

 大手マスコミも中国に気兼ねして、これには触れない。

 「東アジア共同体」 構築に向けた東アジア・サミットにしても、東南アジア諸国からすれば、近隣の大国や先進国がテーブルに並べる貧困解消プランをつまみ食いする 「ビュッフェ」 の場だという指摘も穿(うが)った見識だ。

 こうした本質論を展開できるのは、文献ばかりを漁(あさ)っている机上の学者には到底無理だ。

 外地で汗をかきながら、その闇の世界に分け入り目を凝らし続けた人間でしか出せない結論だ。

 知識だけで名医にはなれない。さまざまな症状を診ながら、病因をずばり読み取るセンスが必要だからだ。

 その意味では、さまざまな現象の表層に翻弄(ほんろう)されることなく、ずばりその本質にメスを入れる著者の眼力は、名医のそれと似ている。(池永達夫)≫

(『世界日報』 紙掲載:平成18年11月5日)



『日本の本領(そこぢから)』 は、麻生太郎さんが使いたかったかもしれない 『日本の底力』 なるタイトルを、奇(く)しくも先取りした本なのである。

平成17年11月21日のブログ に証拠がある。
この頃まだ、麻生太郎さんの 「日本の底力」 論は出回っていなかった。

『日本の本領』に書いたテーマの数々も、ほとんど全て解決を見ないまま。
つまり、今でも全然古びていない本なのであります。
それを喜んでいいのかどうか。






最終更新日  Apr 9, 2009 07:42:25 PM
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Mar 9, 2009
カテゴリ:世界を見る切り口
尖閣諸島に中国海軍が上陸しようとしたとき、日本はどう対処できるか。

これを論じるのに日本国憲法にまつわる神学論争はもはや人々の関心のポイントではない。
あまりに現実的な脅威だから、神学論争などやっていられないのだ。

だいじなのはあくまで日米安保条約のほうで、その第5条を尖閣諸島に適用する意思を米国がもっているかがカギだ。

つまり、尖閣諸島が ≪日本国の施政の下にある領域≫ であることを米国が認めて、
中国海軍の尖閣上陸を米国が ≪自国の平和及び安全を危うくするものである≫ と認識し、≪共通の危険に対処するように行動する≫ かどうか、ということですね。

いろいろ揶揄されても麻生太郎政権は外交のポイントを外さないから、安保条約第5条が尖閣諸島に適用されると米政府に言わしめた。

……というニュースを読んで、日本国憲法は何度も読んだのに安保条約をちゃんと読んだことがなかったことに気がつき、あわてて勉強をした。

ブログ末尾に第5条の全文を、和文・英文とともにエスペラント訳も掲載しておいた。


安保条約の対象となるのは、他国の 「武力攻撃」 だ。

もしかりに、わが国の自衛隊が防衛をせず、中国海軍がまったく武力を使うことなく尖閣諸島を占領したとしたら、「武力攻撃」 は起きていないということになる。

すると、安保条約第5条は適用されず、いくら強い米軍が近くにいても尖閣諸島には 「義勇軍行進曲」(“義勇軍進行曲”) の口笛が響き渡る……。

「天は自ら助くる者を助く」 ではないが、
科学特捜隊がスーパーガンも撃たず ひたすらウルトラマンを待ってもウルトラマンは来ない、と言えば、昭和30年代生まれの人間にはピンと来るか。

スーパーガンで倒せた怪獣は1匹もいなかったような気がするが、わが自衛隊は強い。
日本国政府の座標軸が、ちゃんとしてさえいれば。


『北國新聞』 社説 平成21年3月9日


≪尖閣諸島に安保適用
 平和維持に欠かせない


 米政府は、尖閣諸島が攻撃された場合、日米安保条約5条の対象になるとの公式見解を日本側に伝えた。

尖閣諸島への条約適用は、周辺海域の平和維持に欠かせない。
米国の見解は、日米同盟がオバマ政権下でも正常に機能している証しといえよう。

 昨年12月上旬、中国の海洋調査船が尖閣諸島南東の日本領海を侵犯した。
中国はオバマ政権の誕生をにらんで日米同盟の 「瀬踏み」 をしたのだろう。

米政府は今後も機会あるごとに同様の見解を示し、中国を牽制してほしい。

そうでないと、中国や台湾船による日本領海へのさらなる侵入をあおることにもなりかねない。

 昨年12月、福岡・太宰府市で開催された日中首脳会談で、麻生太郎首相は領海侵犯について、
「非常に遺憾」
と抗議した。

温家宝首相は、尖閣諸島は中国固有の領土とした上で、
「話し合いを通じて適切に解決したい」
と述べたが、麻生首相は
「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史上、国際法上、問題ない」
と応じた。

 麻生首相は、先月の衆院予算委員でも前原誠司氏 (民主) の質問に対し、尖閣諸島に第三国が進攻してきた場合、
「日本固有の領土である以上、日米安全保障条約の対象だ」
と答弁し、米国側に確認する考えを示していた。

 米国の公式見解は、こうした経緯を経て示された。中国は日米同盟の固い絆を再確認したと言える。麻生首相が中国に言うべきことをきちんと言い、米国の公式見解を引き出す努力をしたのは正しかった。

 日本国内には
「米国は中国に外交的な配慮をしている」
と不安がる声もあるが、安保条約5条は、日本有事の際に米国に防衛義務が生じることを明確にしている。

米政府が尖閣諸島への5条の適用を明言している限り、中国の示威行為に過剰反応する必要はない。

 不安があるとすれば、民主党が政権を取った場合、どのような方針で臨むのかはっきりしない点だ。尖閣諸島周辺で、今回のような 「挑発」 が再び起きたとき、麻生政権と同じように対処できるのか、大いに気になる。≫


安保条約第5条を読むと、竹島や択捉(えとろふ)島・国後(くなしり)島は適用対象外であることが分かる。

「日本国の領土」 でも、「日本国が主権を有する領域」 でもなく、「日本国の施政の下にある領域」 と書いてある。


≪日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

第五条

各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。≫



英文は、こうなっている:


≪Treaty of Mutual Cooperation and Security between Japan and the United States of America

ARTICLE V

Each Party recognizes that an armed attack against either Party in the territories under the administration of Japan would be dangerous to its own
peace and safety and declares that it would act to meet the common danger in accordance with its constitutional provisions and processes.

Any such armed attack and all measures taken as a result thereof shall be immediately reported to the Security Council of the United Nations in accordance with the provisions of Article 51 of the Charter. Such measures shall be terminated when the Security Council has taken the measures necessary to restore and maintain international peace and security.≫



興にのって、エスペラントに訳することを思い立った。
おそらく、世界初訳だ。


≪Traktato de Reciproka Kunhelpo kaj Sekureco inter Japanio kaj Unuig^intaj S^tatoj de Ameriko (Usono)

ARTIKOLO KVIN

C^iu Partio rekonas, ke armita atako kontrau` iu ajn Partio en la teritorioj sub la administracio de Japanio estus dang^era al sia propra paco kaj sekureco, kaj deklaras, ke g^i agu por trakti la komunan dang^eron lau` siaj konstituciaj kondic^oj kaj procedoj.

C^iu ajn tia armita atako kaj c^iuj rimedoj plenumitaj kiel g^ia rezulto devas esti tuj raportitaj al la Sekureca Konsilio de la Unuig^intaj Nacioj lau` la kondic^oj de Artikolo Kvindek Unu de la C^arto. Tiaj rimedoj devas esti finitaj, kiam la Sekureca Konsilio jam plenumis la rimedojn necesajn por reestigi kaj konservi internacian pacon kaj sekurecon.≫



c^ とか g^ とか u` とかあるのは、ほんとはそれぞれ1文字。
エスペラント特有の特殊文字を表わしている。






最終更新日  Mar 10, 2009 12:13:36 AM
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Mar 7, 2009
カテゴリ:世界を見る切り口
出来事は記録されても、時代の 「状況」 はなかなか記録されない。
「状況」 は、その当時のひとには当たり前のことだからだ。

近代産業の最先端国のはずのイギリスでは、第1次世界大戦のころまで、町や村によって電気の周波数も電圧もまちまちだった、という驚くべき 「状況」 を知った。

「出来事」 ではないから世界史の本には書かれないが、こういう 「状況」 の話はほんとに面白い。

「工場の動力は電力ではなく蒸気機関に頼ればいい」
既得権を守りたい層がいて、そういう社会思想がイギリスをおおっていたらしい。

『電氣新聞』 (日本電気協会新聞部・刊) 3月5日号1面コラム 「焦点」 で知った。

≪産業革命発祥の地イギリスで、本格的な電気事業が開始されたのは、第1次大戦後である。

大規模系統電力に支えられたドイツの工業力を目(ま)の当たりにしてからだと聞いた。

それまでは中小規模の電気会社が乱立し、町や村によって電気の周波数も電圧もまちまちだった。

 蒸気機関が全盛で大電力化が遅れた。

政治家は競って 「町や村を明るくする」 電気に叢(むら)がったが、動力として利用する考えは少数派だったそうだ。

電気会社の分布図はパッチワーク様(よう)で、電力会社の統合法案がしばしば議会に上程されたが、合意までに長時間を要した。≫

日本はいまでも西と東で周波数が違うのだが、町や村のレベルで周波数と電圧が まだらになったことはない。

イギリスの例は、いっときの先進国が最新式システムを導入した他国に追い越される典型例だ。

最新式システムを入れた国は右上がりの勢いを得るから自国の実力を過信してしまう。

新興国ドイツには、老大国イギリスのそんな旧態依然を侮(あなど)る気分があって、戦争遂行に強気になれたのかもしれない。

その後 統合が進んだ英国の電力事業の最大手は、British Energy 社。

英国のエネルギー産業の中核なわけだが、それをフランス電力公社 (Electricite` de France, EdF) が買収してしまった。

そんな時代が来ようと、20世紀前半の英国人の誰が予想したろう。






最終更新日  Mar 8, 2009 01:05:19 AM
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Jan 7, 2009
カテゴリ:世界を見る切り口
贅沢気分が一気にしぼんだように思えるいま、この社説を書くのはけっこう勇気が要ったと思うが、『北國新聞』 (金沢市) が社説で 「おっ?」 と考えさせる提言をしていた。

世界に誇れるお宝にあふれる北陸なのに、外国人のセレブを満足させるようなスーパー富裕層向け観光インフラが缺(か)けているから、この整備に乗り出して旅行者の多様なニーズに応えるべきだ、というのである。

≪世界の旅行市場では、旅行者の3%に過ぎない富裕層が、全体の20%相当を消費するという。

たとえばインドネシアのリゾート地の場合、下は1泊500円以下、上は1泊100万円を超えるようなクラスまで、旅行者の多様なニーズにこたえるホテルがそろっている。≫


と言われると、たしかにそうだなと思う。

1業者だけ単独で、へたに高級仕様に手を出して失敗したら業界のピエロになってしまう。

ホテル1棟にだけ1泊100万円のプレジデンシャル・スイートを設けても、それに見合うだけの多様なサービスのインフラが整っていないと、まさに 「箱ものを作っただけ」 になってしまう。

だから、スーパー富裕層向け観光インフラの整備は、社会全体で取り組まなければならないことでもある。
社説で取り上げたのは、そういう意味だろう。

口先だけでない 「長い目」 というのは、こういうことなのだろう。
「長い目」 には、勇気が必要なのだ。


平成21年1月6日 『北國新聞』 社説:

≪富裕層の誘致 
手薄な分野に布石打ちたい


 中流意識の強い日本人には、確かに手薄な分野だったかもしれない。

北陸に世界の富裕層を呼び込むため、金沢市で来月開催される国際会議は、一流志向の旅行者を誘致し、もてなすときに具体的に何が欠けているかを知る格好の機会になるだろう。

 世界の著名なリゾート地には、世界のお金持ちを満足させるホテルやレストラン、高級車やヘリコプターのレンタルなどを含めた旅行プランがそろっているが、北陸にはそうした需要にこたえるハードやソフトが十分とは思えない。

目の肥えた外国人のセレブリティ (名士・著名人) を満足させるには、何より 「本物」 を提供しなくてはならないが、不足しているものを調査し、解決策を探るなかで、観光地としての石川や富山の弱点も見えてくるのではないか。

特に欧米のガイドブックで紹介されるケースが増えている金沢のブランド力に一層の磨きをかけるため、国際会議を富裕層対策の足がかりにしたい。

 金沢市の県立美術館で2月に開催される会議は、昨年、国の 「地方の元気再生事業」 に採択された事業で、世界から約250人が参加する。

米・ニューヨークの有名レストラン総料理長や高級リゾートホテルチェーンの創業者ら海外富裕層の消費動向に詳しい著名人が講師となり、富裕層の生活スタイルや興味の対象、求める旅行商品などについて情報交換する。

 欧米ではラグジュアリー旅行 (贅沢旅行) 市場が確立されており、フランス・カンヌで2007年12月に開催された富裕層向け旅行博 「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット (ILTM)」 の公式イベントでは、金沢と京都の伝統文化が紹介された。

 世界の旅行市場では、旅行者の3%に過ぎない富裕層が、全体の20%相当を消費するという。

たとえばインドネシアのリゾート地の場合、下は1泊500円以下、上は1泊100万円を超えるようなクラスまで、旅行者の多様なニーズにこたえるホテルがそろっている。

国際会議を通じて、富裕層の好みを正確に把握し、誘致に生かしてほしい。≫






最終更新日  Jan 7, 2009 08:18:14 AM
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Dec 29, 2008
カテゴリ:世界を見る切り口

靖國神社社務所が発行している月刊 『靖國』 の平成20年12月号に、上杉千年(うえすぎ・ちとし)さんが 「ユダヤ難民を助けた日本人」 と題して書いておられた。

とてもいい内容なので、ネットで読めたらアドレスをブログで紹介したいと思ってグーグルしていたら、上杉さんが今年1月に 『ユダヤ難民を助けた日本と日本人 - 八紘一宇の精神 日本を救う』 という本を神社新報社から出しておられることが分かり、さっそくアマゾンで注文した。

さらに、上杉さんが同じテーマで6年前の平成14年9月に行った講演 「猶太(ユダヤ)難民と八紘一宇」 を筆録したものを発見した。
(これはテキストファイルなので、WORD画面にコピー&ペーストすると読みやすい。)

杉原千畝(すぎはら・ちうね)がユダヤ人難民にビザを出すとき、具体的に外務省からどういう難題を突きつけられたのか、わたしは勉強不足でよく知らなかった。

ミュージカル 「SEMPO」 で杉原千畝はユダヤ人難民へのビザ発給を始めるとき
「違法なビザを出すつもりはない」
とはっきり言う。

外務省側の裁量で受入れ人数に制限があるのを無視したが、とにかく形式だけは満たした、ということのように思われた。

上杉千年さんの講演録を読むと、興味深い事実がいろいろ分かった。
いずれも常識に照らし合わせて腑に落ちるのである。

≪杉原千畝はリトアニアにただ一人で行っているのです、領事代理として。
奥さんがついて行ってアシスタントをやっているわけです。

一人で行って何をやっているか。
領事というのは日本人の保護、貿易、そういうことをやる仕事です。
ところがリトアニアというのは日本人はただ一人もいない。
結局、陸軍の要請で外務省が派遣したものだと思うのです。

あそこは第1次大戦以降独立国ですから、ソビエト、ポーランド、その辺の動向の情報をとるということで行っている。
それで日本人が行っても情報がとれませんからユダヤ人を使うわけです。

何人かのユダヤ人を使って情報収集している。
そこでユダヤとの関係が必然的にできてくるわけです。≫


う~ん、なるほど! 
ミュージカル 「SEMPO」 では、リトアニアはカウナスの街角で出会ったユダヤ少年のソリー・ガノールとの会話がユダヤ人との接点の始まりとなっているが、まぁ 現実はもっとドロドロしていたろう。

ヒトラーが昭和9年8月19日に総統となりユダヤ人の国外追放を始める。
(これまた上杉さんの注記で知ったが、ユダヤ人虐殺が始まったのは昭和16年以降であり、それまでは 「国外追放政策」 だった。)

≪難民として出てきますから、それに対してどう対処するか。
昭和10年にユダヤ人問題に関する帝国の方針が決まる。

帝国政府は、白系ロシア人 (泉注: ロシア革命後、ソヴィエト政権を受け入れずロシア国外に脱出・亡命した旧ロシア帝国国民) に対するのと同じように扱うことに決めたわけです。

どういうことが決まったかというと、日本の勢力圏を通る通過ビザについては250円、日本滞在を目的とする者は1,500円見当の見せ金を示せと。

それと通過ビザについては受け入れるところのビザが要る。

そういうことが、昭和10年3月12日 『独逸(ドイツ)避難民ニ関スル件』 という訓令として決まったわけです。≫

ああ、そういうことだったのか。
たしかに、東京の街がホームレスと化したユダヤ人難民であふれたら大変だから、ちゃんと生活資力を持った者だけを受け入れるようにという訓令が出されたのは理解できる。

そして、杉原千畝の眼前に集結したユダヤ人難民がこの条件を満足できぬことも。

≪杉原千畝が 「ビザを発行していいか」 と伺ったのに対して、本省からの訓令は 「ビザを発行してはいけない」 とは一言も言っていない。

「ビザ発行条件にしたがって発行しろ」 と。

当たり前ですね。
切符を売るのに、切符を売る条件にしたがって駅長は切符を売るわけでしょ。
ただで切符をくれる馬鹿はいないわけです。

そこで杉原千畝は今でいう公務員、官吏ですから、訓令通りやらなきゃいけないわけです。

ところが、ビザの発行条件に合わない人がいっぱいいる。
そこで彼はどう考えたかというと
「ここでとにかくビザを発行し、条件は日本へ着くまでに満たされればよい」
と。

だから、特例としてビザを発行している。

ウラジオストックに行くまでに、なんだかんだで、ひと月くらいはかかる。
その間に、アメリカのユダヤ人協会から金を送ってくれる。

少なくとも神戸にユダヤ人がおって、ウラジオストックから敦賀に着き神戸に行くので、神戸に滞在している間にはお金がはいる。
そこで帳尻があう。

すなわち、東京駅へ行って
「切符を売ってくれ」
「はい、250円」
「カネ、ありません。売ってください。名古屋まで行くとオバサンがおって金払うで」
「そうか、名古屋で払ってくれるのならええわ」
と言って駅長が切符を渡すようなものです。≫


これは分かりやすい例えだ!
規則を作ったひとも、人情駅長も、どちらも悪人ではないのである。

≪それを、教科書や世の中のマスコミは
「ビザを発行してはいけない、と外務省が言った」
と。

話が全然ちがうでしょ。

外務省は、「おカネを払っている者に切符を売れ」 と言っているのですから、当然の言い方でしょ。

で、通過ビザですから行き先がいるわけです。

さいわい、オランダの大使が南米の孤島みたいなキュラソー島 (泉注: 現在もオランダの殖民地) へビザを発行してくれた。

もう一つの行き先は上海。
上海は自由都市で、ビザなしで行けるのです。

問題はお金ですよね。見せ金。
貧乏人もおれば……難民ですから……先付けということで処理した。

杉原千畝は非常に偉い人なんです。≫


歴史に残る、話の分かる官僚だったわけですね、杉原千畝さんは。

≪こうして、ユダヤ人がどんどん来るから、ウラジオストックの領事館は困っちゃった。

杉原千畝の発行したビザを持っていますから対応しないわけにはいかないのです。

それでみんな船に乗せて敦賀に来て、日本の内地では軍も警察も県庁も何も干渉しなくて、兵庫県のごときは積極的に保護してやった。
それで神戸に落ち着いて。

アメリカへ行ける正規のビザを持っている者はアメリカに行った。
無い者は上海へ。どんどん上海へ行くわけです。≫


これはNHKの大河ドラマでやる価値ありの場面です。
日本人の常識からすれば、すべての人々が同情心120%でユダヤ人難民に接したと思うのであります。

≪杉原千畝は昭和15年9月に、バルト3国がソビエト領になるから出ていけといわれました。
それでベルリンへ9月1日に行くわけです。

杉原千畝は事実上、訓令違反をやったのですが、ベルリン駐在大使から一言も文句がない。
文句がないということは本省から文句言ってきていないということですね。

その後、チェコ・プラハの市毛孝三総領事の後任として栄転していくわけです。

そしてどんどん栄転していって、昭和18年に三等書記官になるのですね。

昭和19年になったら勲五等をもらうんです。
訓令違反をして処罰された者が昇進したり勲章をもらえる道理がないのです。

すなわち、ユダヤ人を助けるということについては、帝国政府および陸海軍は積極的に認めておったからなんです。≫


納得、納得……。

≪杉原千畝は昭和22年4月に本国に帰り、岡崎外務次官から呼び出しをうけ、 「あなたはやめてくれ」 ということで6月7日に馘(くび)になる。

それをマスコミなどは
「ユダヤ人を助けた、訓令違反をやったから馘にした」
というのです。

昭和15年のことを昭和22年、しかも戦争終わってから馘にしますか、そんな理由で! 
常識で考えればわかるでしょう。

敗戦によって、外交官の身分の者は半分ぐらい馘になる。
外務省、要らないんですから。

ロシア課というのがあるでしょうけど、本国におったのが椅子を占めているから、杉原さんは失業ですよ。

だから 「ご苦労さまでした」 といって割増の退職金が出たというんですね。
要するに単なるリストラであったと思うわけ。≫


上杉千年さんの文章を読んでいて、すがすがしく感じられるのは、いちいち常識に照らし合わせて納得できるからだ。

歴史とは、幾千万の 「フツウ」 から成り立つ偉大な営みなのだ。

こういう上杉さんの語り、全文をぜひお読みいただきたいが、あとひとつ心を引き寄せられたのが、わたしの尊敬する樋口季一郎中将にまつわるエピソードだ。

樋口季一郎中将は、昭和13年に少将としてハルピン特務機関長であったときユダヤ人難民の満洲国入りを助け、昭和20年には札幌にいてソ連軍の千島侵略への抗戦を指示したひとだ。

≪ユダヤ人を助けた人々は、敗戦後にユダヤ人により戦犯処刑より助命されました。

樋口季一郎さんは、終戦のとき陸軍中将として札幌にいた。

ソビエトは
「樋口季一郎というのは、ハルピン特務機関長、さらに札幌では第5軍司令官として占守(シュムシュ)島の最後の戦争をやったから戦犯としてよこせ」
とマッカーサー司令部に要求した。

マッカーサー司令部におるユダヤ人たちがすぐさま本国のユダヤ人協会に連絡したとみえて、アメリカのユダヤ人たちが国防省と国務省に圧力をかけた。

そこでマッカーサーに
「樋口季一郎を引き渡してはいかん」
という指示が来たので、樋口さんは助かった。

しかしご本人は知らないわけです。
ところがアインシュタインの昭和25年頃の来日の歓迎パーティーで、ユダヤ人のミハイル・コーガン氏が内幕を話した。

それで樋口さんは 「あぁ、そうだったか」 とわかる。≫


樋口季一郎というひとに、わたしはほんとに、ホレています。
どんな 人となり だったのでしょう。

杉原千畝と樋口季一郎を主人公にしたNHK大河ドラマ、どなたかぜひ、脚本を書いてください!







最終更新日  Dec 30, 2008 11:01:23 AM
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Dec 24, 2008
カテゴリ:世界を見る切り口
仕事がトヨタとまったく関係がないので素直にほめる。

いまでなくてもよかった「平成21年3月期の営業損益1500億円赤字見通し」発表を、あえていま行ったのは、トップ企業の責任をみごとに果たしたのだと思う。

ほんらい、悪い収益見通しは早く発表したほうが、会社の経営を右上がりモードから速攻で方向転換できる。
攻撃モードから防御モードへの転換。

だが、発表で株価はさらに大きく下がり、銀行からの借入れ条件も悪化するから、財務を考えれば先延ばしにしたくなる。

従来から財務体質がよいトヨタだから、早い時期の発表ができた。

これで2位以下のメーカーも 「悪い見通しを早く発表して方向転換」 できやすくなる。
トップ企業の役割をトヨタは果たしたのだと思う。

(これまであまりに右上がり志向だったトヨタのことは、もともとあまり好きではなかった。感情的には、いまもトヨタのことは好きではない。)

* *

「デトロイトの経営者たちは、ひとびとがいま欲しがっている車をつくれ (We have to make the cars people want.) と言ってきたから、いけないのだ」

え? 求められる商品をつくるのが、経営の基本ではないの?

≪そういう車を欲しがっていたわけではないけれど、それを見たとたんに買わずにはいられないほど欲しくなる車をつくること、それが役目だ。≫

(Their job is to make the cars people don’t know they want but will buy like crazy when they see them.)


12 月14日の『ニューヨーク・タイムズ』に Thomas L. Friedman さんがコラムでそんなことを言っていて、う~ん、なるほど! と うなってしまった。

≪アップルが iPod を世に出さなければ、ソニーのウォークマンで満足していたろう。
でも、もう iPod なしには暮らせない。
iPod を欲しがっていたわけではないが、アップルが世に出してくれた。
わたしが買ったトヨタのハイブリッド車も、同じことだ。≫


そういって、フリードマンさんはトヨタをほめてくれていたのだが。

「欲しがっていたわけではないけれど、それを見たとたんに買わずにはいられないほど欲しくなる」 商品や企画を。

この切り口をだいじにしたいが、そういう 冒険 を支えるのが財務の余裕であることも事実だ。






最終更新日  Dec 24, 2008 08:29:51 AM
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