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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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科学技術に驚く

Nov 23, 2016
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テーマ:読書(2821)
カテゴリ:科学技術に驚く
 人工知能が2040年に中国でしでかす「あること」について本を書く準備をしています。(小説という形式になるでしょうね。)
 「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の小論文を掲載した本書から若干抜き書きしておきます。


『人工知能 機械といかに向き合うか』(ダイヤモンド社、平成28年刊)

≪上級の辯護士は法律を熟知しているが、法律のあらゆる細かい点を探求する専門家であることは稀である。彼らは労力の大半を新規案件の獲得――昇進に直結する実績と見なされることが多い――に傾けており、クライアントの懸命な相談相手として振る舞う。もし機械が法律文書を読み取って行動や議論の方向性を示すことができれば、彼らがそれ以外の仕事に向けられる余力は増えるだろう。このことは、その他の専門職、たとえば上級の会計士、建築士、投資銀行家、コンサルタントにも当てはまる。≫ (23頁)

 なんとまぁ、パートナークラスの辯護士の目下の主業務は “営業活動” かよ、とまずビックリです。

≪(ある財務アドバイザーの言)
台本を読むだけならばもちろんコンピューターにもできますが、クライアントを説得して投資額を増やしてもらうには、それ以上のスキルが必要です。現にわたしは株式仲買人というより精神科医のような役割を果たすこともしばしばあります。≫
 (34頁)

≪人間は前例のない状況でも、普通には利かないアナロジーを利かせ、見立てていく。1回や2回の経験からも即座に気づき、学ぶ、これは生命にとってのある種のサバイバルスキルといえる。≫ (52頁)

≪AIは問いを投げかける力を持たない。人間の知性の源といえる「複数の視点から本質的なポイントを見つける」「コンテキストに合わせた現象の総合的な理解とその意味合い出し」というような広く深いパターン認識も期待するのは困難だ。」 (52~53頁)

 そうとも言えないんじゃないの? 人間だって、けっきょくは「あてずっぽ」「下手な鉄砲」の積み重ねでやってるだろう。

≪これまでは人間の手で現実世界の森羅万象の中から変数を取り出し、それをコンピューターに与えていた。たとえば、ビールの売上と気温の関係を重回帰分析するとしよう。このときは気温が変数だが、気温ではなく湿度や曜日を変数に置くことも考えられ、何を変数に定めるかは個人の判断で変わる。人間の勘と経験に依存していたともいえる。

機械学習ではこうした変数を「特徴量」と呼ぶ。特徴量に何を選ぶかで予測、分類、回帰、分析の精度は大きく変化する。人間のばあい、同じ作業を何度も繰り返すなかで適切な特徴量を決めるコツをつかむ。同様の作業を視覚でもやっており、子供のころから目の前に何があるかを理解するためにさまざまな特徴量を無意識のうちに導き出している。

従来のコンピューターは、何が特徴量かを自発的に構成することができなかった。これが機械学習における最大の問題であったと言っても過言ではない。

そうしたなか、2012年にカナダのトロント大学が開発した Super Vision が大きな衝撃を与えた。データをもとにコンピューターがみずから特徴量を作り出す機械学習の方法であり「表現学習」の1つとされる「深層学習」(ディープラーニング)によって、驚異的な画像認識の精度を実現したのだ。

AI の研究が始まってから約50年刊、コンピューターが自動的に特徴量を探し出せることなど想像もされていなかった。それをディープラーニングが可能にしたことで、「人間の知性はコンピューターで再現できる」という当初の仮説の証明に向けて大きな前進を迎えた。≫
 (108~109頁)

 コンピューターに、特徴量の候補をそれこそ“やみくもに”列挙させ、それぞれを試しに特徴量と置いて“下手な鉄砲”よろしく分析させ、その分析結果を比較させてはどうだろう。
 そうすれば、実態にもっとも適合する結果を生む特徴量を選択させることができるのではないだろうか。

 コンピューターに“決め打ち”を期待してはいけない。
 ムダな作業を厭わないことがコンピューターの取柄なのだから、人間ならやらないようなムダをさんざん繰り返させればよい。

≪デジタルの進歩の多くがGDPに勘定されない。たとえばウィキペディアは、昔ながらの『ブリタニカ百科事典』とは違って無料です。つまり、はるかに多くの人々に付加価値をもたらしても、GDPの数値には含まれない。≫ (206頁)

 であれば、Gross Domestic Product に替えて Gross Domestic Convenience のような概念を打ち出してはどうかな。

≪初等・中等教育では、適切で有益なスキルを教えなければなりません。つまり、コンピューターが得意としないもの――創造性、対人スキル、問題解決などです。≫ (211頁)

 そう、けっきょく人間に残るのは「対人スキル」なのだと思う。
 ぼくは、自分が対人スキルにおいて からきしダメなのか ほどほどなのか、じつはよくわからない。










最終更新日  Nov 23, 2016 08:04:59 PM
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Feb 16, 2015
カテゴリ:科学技術に驚く
核融合による発電についてわたしの最大の疑問は、1億度以上の桁はずれの高温の熱源をどう取り扱うのかということ。

最終的には熱交換器で700~800度の水蒸気をつくり、蒸気タービン・発電機を回して発電するのだろうと想像する。
1億度の熱源からの熱は、熱交換器が輻射熱の形で受けるのだろうけど、受けた温度が1千万度、100万度、いや10万度、いや1万度としても、すべての物質が瞬時にとけてしまう。

どういう物質をつかって熱交換器を作るのか、何を読んでもまったく書かれていない。
書いてあるのはもっぱら、1億度のプラズマをいかにして長持ちさせるかということだけだ。



2月20日まで無料で読める「日経エレクトロニクス」平成27年2月号の記事がある。
核融合発電、再燃する開発競争: “地上”の太陽にあと一歩、2020年代前半にも実用化か

わたしの長年の疑問への答えは、この記事にも書いてないが、注目したのは開発コストについての記述だ。

国際熱核融合実験炉(ITER)の開発には、すでに約2兆円かかっていて、最終的にはその数倍になるとの見通しもあるとのことだが、その過程では医療や送電に応用できる技術も開発されているし、比較論でいえば高コストとはいえないというもの。

「インターネットやiPhoneの開発には累計1兆米ドル=約120兆円規模の資金が投入されている。それに比べればずっと安い」(カナダの核融合ベンチャー企業General Fusion社創業者のMichel Laberge氏の言)も、もっともだと思う。

目下の原子力発電を停めたばかりに、毎年3兆円の余分な燃料代を払って天然ガス・石油・石炭の輸入を増やしている日本である。その燃料代に比べたら、核融合炉の開発にかけている費用(そのかなりの部分は技術者に支払う給料だ)は安い。

核融合技術を、発電にどうつなげていくのだろう。なっとくのいく絵姿を見せてもらえれば、世間の支持はもっと高まると思うが。






最終更新日  Feb 16, 2015 08:29:28 AM
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Apr 4, 2014
カテゴリ:科学技術に驚く
二酸化炭素が地球温暖化の主犯と決めつけられて、そのため 「二酸化炭素を減らすため」という無味乾燥な目的のために巨額のカネが使われている。
そのカネを教育や文化活動支援、あるいは飢餓対策のために使えれば、人類はもっとずっと しあわせになれると思うが。

わたしが かねてより どうにも疑問に思っているプロジェクトが、二酸化炭素 「回収貯留」、英語でいうcarbon dioxide capture and storage (CCS) だ。

火力発電所で石炭などを燃やしてできる二酸化炭素が煙突から排出される前に、二酸化炭素を溶剤に溶け込ませるなどして回収し、最終的に地下の巨大な穴に貯め込もうというもの。

初期投資と運転電力を喰う二酸化炭素貯留システムをセットにすると、火力発電所は えらくコスト高になるし、全体として見た発電効率が激減する。

最新の研究では、二酸化炭素を水素と反応させることで燃料メタンガスと水を作る技術が開発されつつあるという。
「貯留」 ではなく 「再燃料化」 するのであれば、まだしも救いがある。


「日本経済新聞」 平成26年4月1日16面

CO2をメタンに
JAXAと富山大  効率合成する技術

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と富山大学の阿部孝之教授らは、火力発電所や工場から出る二酸化炭素 (CO2) を燃料のメタンに効率よく変える技術を開発した。
石油や天然ガスの代わりになる燃料を確保し、地球温暖化対策にも役立つ。数年後に実用化する予定だ。

メタンは天然ガスの主成分で、メタンから作るメタノールはプラスチックや合成繊維の原料になる。
CO2 はすでに一部で工業原料として使われているが、特殊な条件や多量のエネルギーが必要だ。コスト面でも間題がある。

合成反応を促す触媒として、レアメタル (希少金属) のルテニウムを直径2~3ナノメートル (ナノは10億分の1) の微粒子にし、酸化チタンの表面に付けたものを使う。

火力発電所や工場から出る CO2 を効率的に分離して濃縮。セ氏150度に熱してから水素と反応させると、メタンと水ができた。CO2はほぼ全てが合成反応に使われていた。

従来はセ氏400度以上に加熱する必要があった。ルテニウムの粒子を微細にすることで、合成反応が進む温度が大きく下がり、実用的な水準になった。

火力発電所や製鉄所、工場から出る廃熱や水蒸気から、反応を進めるために必要な熱や水素を取り出して使える。将来は、JAXA が宇宙船に搭載し、宇宙飛行士の呼気に含まれる CO2 の処理に使うことも検討している。≫






最終更新日  Apr 4, 2014 07:56:08 AM
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Jan 30, 2014
カテゴリ:科学技術に驚く
研究開発に成功した立役者として、30歳の小保方(おぼかた)晴子さんの姿がテレビでも紹介されていた。

こうして、実際に手を動かして苦労した若い人の顔が出るのはとてもいいことだ。

会社ならありがちのことだが、彼女の上司が手柄をうばって
「わたしが指導しました」
といって老醜をさらすことだって、ありだろう。

今回はハーバード大学も関わった国際研究だったから、上司が手柄を奪ってしゃしゃり出れば国際的に顰蹙を買うところだった。

研究も然り、企業のプロジェクトも然り、政府の政策も然り、実際に手と頭を動かしている人に対して広報もメディアも光を当てるべきなのである。



ところで、万能細胞 「作製」 と報道文にはあったが、「作製」 というのがいかにもモノっぽいのがイヤ。ブログのタイトルでは、ぼくの好みで 「生成」 と言い換えてみた。業界では万能細胞 「作製」 というのだろうけど。






最終更新日  Jan 30, 2014 08:31:27 AM
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Sep 10, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 の車は、バナナの皮も燃料にできる進化ぶりだったけど、それに似たものを感じたのがGEの新技術。
粉末と水を注ぐだけでエネルギーを充填できるというもの。

急速充電でも何十分もかかるのが今の電気自動車の電池の欠点で、だからサービススタンドで電池そのものを交換するというシステムも検討されているが、それって現実的でないだろ。

粉と水を注げば充電状態になるのなら、いまのガソリンスタンドと同じだ。いや、粉をもっていてテキトーなところで水を調達すればいいんだから、ガソリン車より便利だ。
この技術が実用化されれば、電気自動車は爆発的に普及するな。

問題は、魔法の粉のお値段と製造プロセスだけどね。この原料次第では化石燃料枯渇を乗り越える手段のひとつになるのかどうか。

この基本特許をとった GE は、近未来でも安泰だな。


電気新聞 平成25年9月5日、4面

≪米GEが新蓄電池開発
 注水だけで充電可能

米ゼネラル・エレクトリック (GE) はこのほど、水を注ぐだけでエネルギーを充填できる新型の電池を開発した。

現行型の蓄電池は、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して貯蔵するが、今回開発した電池は水と化学物質の反応により化学エネルギーを作り出し、電気として出力できる。
同社では電気自動車 (EV) の課題のひとつとなっている 「充電時間の長さ」 を解決できる技術として、実用化を目指す方針だ。

GE は技術の詳細は明らかにしていないが、瓶(びん)の中に粉末と水を注ぎ込むと電圧が発生する模様を収録した動画を公開した。

同社の研究者は
「現在主流の EV 車載蓄電池と比べ4分の1の価格で、3倍の走行持続距離を確保できる」
としている。

米エネルギー省のエネルギー高度研究計画局 (ARPA-E) は走行持続距離240マイル (386 km) を実現する蓄電池の開発を推進しているが、これをクリアできる見込みとしている。同社は来年にかけて試作品を製作したい考えだ。

水は既存インフラであり、あらゆるところで入手でき、安全性も確保しやすい。
現行の EV は急速充電でも200 km走行に30分近くの時間が必要。仮に実用化できれば、家庭で水を注ぐという短時間の操作で長距離を走行できるため、EV の普及加速につながりそうだ。≫






最終更新日  Sep 10, 2013 08:20:24 AM
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Apr 3, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
日本近海の海底のメタンハイドレート。昔から 「未来のエネルギー源」 と言われながら、一向に掘り出されないのはなぜだろうと思っていた。

「電気新聞」 の3月27日の記事で、理由がわかった。
いまのところ、「採取管に砂が入り込んでポンプが詰まる」 といったレベルのところで、まずは難渋しているらしい。

本気でヒトとカネをかけて取り組めば何とかなりそうに思う。
瞬間的な超高温しか出せない核融合よりは、よほど現実味がある。
核融合とメタンハイドレート採取に、それぞれどのくらいヒトとカネをかけてきたか公開してくれれば、答えはいっぺんに出るのではないか。

「電気新聞」 平成25年3月27日2面

≪メタンハイドレート産出試験続かず
 砂の流入が一因

次世代のエネルギー資源「メタンハイドレート」の実用化に向け、天然ガスの主成分メタンを世界で初めて海底から採取した政府の産出試験が今月中旬終了した。
採取機関は過去最長の6日間に達したが、目標の2週間には及ばなかった。

実験の継続を阻んだ原因の一つはまたしても 「砂」 だった。

メタンハイドレートはメタンと水が結び付いた氷状の物質。
1気圧ならマイナス80度以下、0度なら23気圧以下で安定的に存在する。

ガスとしての採取には、温度の上昇か、圧力の低下が必要で、政府は技術の改良を10年以上重ねてきた。

世界初の採取は2002年3月にカナダの永久凍土地帯で行われ、温水が循環する採取管を使う 「加熱法」 で約470立方メートルのメタンを回収した。しかし、取り出したメタンのエネルギーより 「加熱などに要したエネルギーの方が大きかった」 (経済産業省・資源エネルギー庁) という。

この反省を踏まえ、2007年4月の実験では圧力を下げてメタンハイドレートを分解する 「減圧法」 に切り替えたが、地層中の砂が採取管に入り込み、ポンプが半日で止まるトラブルに見舞われた。
採取管にフィルターを設置して2008年3月に再挑戦すると、採取量は一気に27倍になった。≫






最終更新日  Apr 3, 2013 08:13:39 AM
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Mar 13, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
JAXA (宇宙航空研究開発機構) が、NOx (窒素酸化物) の排出を現在より8割減らせるという画期的な基盤技術を開発した。

今後は三菱重工など国内メーカーとも協力して研究を進め、実用化にこぎつけたいということなのだが、信じられない悠長さにたまげた。

≪排出規制強化の流れを先取りし、20年後をめどに 「エコエンジン」 として実用化を目指す≫ とある。
日経の3月12日17面の報道。

本気で実用化したいなら、最初に掲げる錦の御旗はまずは「5年後」ではないのか。
「20年後」と言われた途端、ほとんどの関係者は
「そのころ自分はこの世にいない、この会社にいない、この部署にいない」
と考える。

「20年後」 という数字は、技術研究にかかる人工(にんく)、つまり 「人数×日数」 を毎年得られるであろう予算 (=毎年の研究者人数) で割って出したものだろう。

担当研究者の発想としては、
「あぁ、これでわたくしも20年間ほそぼそと、仕事が確保できた」
ということなのだろうか。
技術の実用化よりも、研究者の雇用確保のほうが前面に出ている感じだ。

ほんとうに良い技術なら、人とカネを集中させて短期決戦すべきなのだが、エンジンの改良に20年かけるという発想に強烈な違和感を感じた。

日本経済新聞 平成25年3月12日17面

≪「エコエンジン」 宇宙機構が技術
 旅客機用実用化でNOx排出8割減

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は、大気汚染の原因となる窒素酸化物 (NOx) の排出を大幅に減らすジェットエンジンの基盤技術を開発した。
旅客機用に実用化すれば、排出量を現在より8割減らせる。

今後、三菱重工業など国内航空機エンジンメーカーに協力を呼びかけて研究を進めて、出力や燃費などを実用レベルに引き上げる。

排出規制強化の流れを先取りし、20年後をめどに 「エコエンジン」 として実用化を目指す。

旅客機のジェットエンジンは圧縮した高温の空気に燃料を噴射して燃やす。
燃費をよくするために空気を強く圧縮すると温度が上がり、NOx の発生量が増える問題がある。

新技術は自動車などに使われる技術を応用した。
少ない燃料と空気をあらかじめ混ぜる「希薄予混合燃焼」方式を採用。燃料と空気を混ぜて混合気をつくるノズルを2つ組み合わせ、燃焼室に送り込んだ燃料の濃度を均一にし、今度が上がり過ぎないように工夫した。

…<中略>…

米ゼネラル・エレクトリック (GE) などは航空機エンジンの NOx 排出量技術を進め、希薄予混合燃焼方式のエンジンが B787 に採用された。
JAXA によると、新技術は NOx をさらに減らせるという。≫


GE のスピード感と JAXA のスピード感のちがいがそのまま、民と官の落差、米国と日本の落差を象徴しているのではないか。






最終更新日  Mar 13, 2013 06:48:06 AM
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Feb 27, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
原子力発電所用の機器を製造する工場を初めて見学したのは、昭和59年(1984年)。勤務先の新人研修のときだ。

高低差のある床を6本足で歩けるロボットの実演を見せていただいた。
1本の足が動くと、忘れたころに次の足が動く緩慢さ。コンピューターの情報処理量が今とは格段に違うから、この遅さ。

研究に携わっているのは、ごく数名のように思われた。数ある研究課題のなかに埋もれそうな、片手間の扱いだった。

それから30年経ったのだが、原子炉格納容器 (containment building)のなかを人間の代わりにロボットが動き回るという世の中にはならなかった。

2足歩行では脚を1本やられたらアウトなので、6本脚とか4本脚のほうがむしろいいのだろうと思うが、そういうロボットが這い回る世界をそもそも研究者たちは想定して来なかったのではないだろうか。

科学技術の他の分野にくらべて、人間の代わりに危険地におもむかせるためのロボットの研究は明らかに遅れている。
たぶん、カネと人材を本気でかけて来なかったのだろう。つまるところ、ロボットの研究に1,000億円注ぎ込むより、人間に高めの給料を支払い、不幸にも死傷者が出たら補償金を払うアプローチのほうが経済的なのだろう。

でも、やはり、ロボット開発には本気で取り組まねばならない世の中になってきたと思う。
「人間にカネを積んだほうが安上がり」 というホンネを口に出しにくい世の中になっているからだ。

と、こんなことを書いたのは、最近の廃炉作業・災害対応ロボットの開発状況の報道があったから。

日本経済新聞 平成25年2月21日

≪急な階段上り下り、水陸両用…  廃炉ロボット勢ぞろい
NEDO、報道陣に公開  東電に活用提案へ

 東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業向けに原子炉メーカーや大学が開発した様々なロボットを新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) が2月20日、千葉県内で報道陣に公開した。

 千葉工業大学と日立製作所は狭い急階段も上り下りできる放射線カメラ付きの小型ロボットを開発。三菱重工業は折れ曲がる腕を持つロボットを使い、8メートルの高さにあるバルブを遠隔操作で開く作業を公開した。

 東芝は汚染水で水没した場所にも潜れる水陸両用ロボットを開発した。現在使われているロボットではたどり着かない場所にも入り込める。

 これらのロボットは通信規格をそろえてあり、助け合いながら作業に当たる。今後、各社は福島第1原発の廃炉を手掛ける東電にロボットの活用を提案していく方針。≫


日経産業新聞 平成25年2月21日

≪災害ロボ、アーム8メートル
 三菱重など、新型機を公開。

 三菱重工業など大手電機、機械メーカーが2月20日、災害対応用ロボットの新型機を公開した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する 「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」 の一環。

 東京電力の福島第1原子力発電所での作業を想定し、遠隔操作や狭い場所での旋回ができる。放射線量の調査やバルブ開閉などの用途を見込んでいる。

 三菱重工業はロボットアームが8メートルの高さまで伸びる高所作業用のロボット 「MHI-スーパージラフ」 を開発し、公開した。高所にあるバルブの開閉や荷物を高所に上げる作業などができる。

 千葉工業大学発のベンチャー企業、移動ロボット研究所が開発した移動型ロボット 「櫻(さくら)」 とも連動し、櫻が撮影した映像とスーパージラフのカメラで撮影した映像を見ながら遠隔操作できるようにした。スーパージラフは一部の技術を公開し、他社との共同開発も進めていく。

 このほか、東芝が水中の状況も確認できるロボットや、最高30メートルまで最大4トンの荷物を持ち上げられるシステムなどを公開。千葉工業大学が、自動でバッテリー充電場所に帰る機能がある移動ロボットなどを発表した。

 日立製作所は、広域で使える無線通信技術などを公開した。NEDOの今回のプロジェクトで開発したロボットなどは日立製作所が開発した同じ通信方式に対応し、連携作業を可能にした。今回、公開されたロボットは今夏をメドに福島第1原発などで実用化される見通しだ。≫






最終更新日  Feb 27, 2013 07:43:09 AM
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Feb 15, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
ヘリウムが枯渇、ですと?

遊園地の風船につかわれるヘリウムが、どうやって製造されているか。
考えてみたこともなかった。あ痛っ!

空気中から抽出するわけはないから、ヘリウムの化合物を掘り出して炉で熱して気体のヘリウムを分離するのかな、とアホなことを考えた。

正解は、三宅常之さんが Tech-On! (登録無料閲覧サイト) 平成25年2月14日に書いた記事をお読みください:
http://techon.jp/article/COLUMN/20130213/265511/?ref=ML

一部、引用してご紹介しましょう:

≪ヘリウム枯渇  東京ディズニーランドも風船販売を中止
 (三宅 常之)

 ヘリウム (He) が足りない状況が続いている。2012年11月に東京ディズニーランドがヘリウムを詰めた風船の販売を中止したほか、ガス販売会社が相次いでヘリウムの供給を一時停止する事態に追い込まれた。
 いずれもヘリウムの安定調達が難しくなったことによる。≫


たしかに、東京ディズニーランドのサイトを見ると、
「【バルーン販売休止のお知らせ】
現在、バルーンの中に入れている原料が調達困難なため、11月21日 (水) より販売を休止しております。販売再開については未定です。再開の見通しについて分かり次第、このページにてお知らせをいたします」
とありますね。

≪ヘリウムの埋蔵量は、既存技術によって生産可能な範囲で約70億m3。現在のペースで消費を続ければ25年後に枯渇する。

 消費量を大幅に減らすとともに、枯渇するまでに新しい生産技術を確立しなければ、近いうちに使えなくなる日が訪れる。ヘリウムについて調べた。

■ 光ファイバや半導体の製造に利用 ■

 ヘリウムの工業原料としての特徴は、特異な性質のために代替が難しい用途が数多くあること、供給源が限られていることにある。
 この意味で、水素 (H) に次ぎ2番目に多い元素であるにもかかわらず、レアアースと同じ供給問題を抱えるリスクがある。

 特異な性質の一つは、沸点が約 -269℃と元素の中で最低であること。比熱が大きく熱伝導率が高い特徴もあって、冷却用途に適している。
 光ファイバの製造工程において、溶融して成形したガラスの冷却、半導体製造のスパッタリング工程で高温になったシリコンウエハーの冷却などに使える。≫


あぁ、そういうことだったのか。たくさんあるけど貴重な元素。

≪さらに直径が小さいため気密性の検査に利用されている。肺に吸い込んで話すと、甲高い 「ドナルドダッグ・ボイス」 になるのは、音が空気中よりも速く進む性質による。≫

え!? これも知らなかった。

ドナルドダック・ボイスで検索したら、「雑学大陸 ~命どぅ宝~」 というサイトに
「ヘリウムは血液に溶けにくく、人体への影響は少ないので安心して使えます。
が、純粋なヘリウムのみを吸うと、呼吸困難になり、最悪の場合死に至ることがあります。
パーティ用のヘリウムガスのような、酸素との混合気体になっているものではないと危険です」
とありました。これが正しいか、確かめようとするとキリがないので、三宅さんの本論に戻ります。


≪冷却だけを目的とする用途では窒素 (N)、不活性だけを生かす場合はアルゴン (Ar) など、代替元素は存在する。しかし、複数の特徴を生かした光ファイバや半導体の製造などの用途ではヘリウムを代替することは難しいという。

■ 空気からは採取できない ■

 ヘリウムの生産は、比較的高い比率で含む天然ガスから採取することで行う。
 天然ガス田は数多くあるが、供給元は大きく増えない傾向にある。ヘリウムを採算に合うコストで取り出せるガス田が限られているためだ。

 最近採掘が進んでいるシェール・ガス田からはヘリウムを採取できていない。また、これまで市場へ潤沢に放出されてきた在庫が底をつき始めている。≫


これはたいへんなことになりました。

≪主な生産国である米国は、1960年代に軍用の戦略物資として大量に備蓄、その後に方針を転換し1990年代からは民間へ継続的に放出したが、この放出が2015年に終わる。

 代替が難しいために安定的な需要があり、新興国での需要が増えている一方、供給が限られる状態が続いたことで特に2000年代後半から、構造的に需給が引き締まった状況に陥っている。

 こうした中、2012年11~12月に極めて深刻なヘリウム不足に陥ったのは、主力生産工場での定期修理が長引いたことによる。この時期までにシェール・ガスの採掘が増えたことなどで天然ガス需要が低迷したことも影響した。
 直近の平均輸入価格は、2000年代前半までの需給が比較的安定していた時期と比べて2倍になった。

 ただし2013年後半には、少なくとも日本では深刻なヘリウム不足は解消へ向かう見込みである。調達先を米国以外に広げる動きが出てきたためである。≫


あんまり引用しすぎて申し訳ないので、ここから先は Tech-on! でお読みください。






最終更新日  Feb 15, 2013 07:54:06 AM
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Feb 9, 2013
カテゴリ:科学技術に驚く
地球がサイコロの形をしていたら?
考えたこともなかったけれど、もしそうなら、四角い平面の大海原の端っこは、巨大な滝になって水がどうどうと落ちているのかな。コロンブスの時代に西洋人が考えていたみたいに……。

これがなんと! 
そうではなくて、海の水は四角い平面の真ん中のあたりに集まり、凸レンズみたいに盛り上がるのだそうだ。

地球の形が円かろうが四角かろうが、重力の中心から等距離にあるところは重力の働きも同じ強さだ。
つまり重力の働きに素直に従う液体や気体は、球状に凝り集まるってことだね。

だから、大地がサイコロ形だったとしても、水や空気は宇宙空間から見れば巨大な球の形にまとまるわけだ。

サイコロ形の大地の表面は、幾何学上の平面ではあるけれど、そこに人間が立つと平面どころか四方がはるか宇宙空間に突き抜けるほど高い山に見えるんだろうね。
幾何学上は、まっ平(たい)らでも、実際にそこに立つと、平面の端に行けば行くほど急峻な坂として感じられるはず。

だから平面の端に向かって歩くとは、けっきょく、1万メートル、10万メートル、100万メートルの山に登るようなもので、やがて大気圏をぬけて真空になってしまう。
だって、平面の端のほうは、重力の中心からどんどん遠ざかろうとしているわけだから。現実世界でエベレスト山が重力の中心からもっとも遠ざかった大地であるように。

まぁ、よほど硬質の金属でできていないかぎり、サイコロ形の地球は維持できないだろうね。
万有引力に対していちばん素直な形は、球なんだね。地球のかたち、太陽のかたち。

……と、こんなことを書いたのは、日経でこんな記事を読んだから。
日本科学協会のつくる短篇映像、たのしみにしています。

日本経済新聞 平成25年2月3日30面

≪地球が立方体だったら…
 空想の世界 教材に  日本科学協会が映像作成

「もしも地球が立方体だったら、重力や気象、環境はどうなる?」。
子供たちに科学への関心を持ってもらおうと、公益財団法人「日本科学協会」(東京都)が、地球が立方体になった様子を全篇コンピューターグラフィックスで描いた小中学生向けの短篇映像を作成した。

気象学が専門の木村龍治・東京大名誉教授ら8人の専門家が監修。
宇宙船が木星から帰還する途中、突如として地球が一辺1万キロの立方体に姿を変えてしまうというストーリーに仕立てた。

四角い地球では、大気や海水が、重力の影響で各面の中央部に凸レンズのように盛り上がって集まる。地上には、月のような真空の場所や、金星のような高温高圧の環境が混在した。
人類が生存できるかどうかは続篇で明らかになる。

木村名誉教授は
「現実にはあり得ない世界を科学的に空想することで、球体だからこそ豊かな地球ができていることが分かった。
教材を見て、地球環境に対する理解を深めてほしい」
と話している。

映像は4月から日本科学協会のホームページで公開する。≫






最終更新日  Feb 9, 2013 06:11:46 PM
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泉ユキヲの観劇・観映・読書メモ 32


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