2015/05/28(木)09:56
襲われたキジバトの巣
キジバトはドバト・カラスと並んで、都会で最も身近な鳥である。
体の大きさに比例してその鳴き声も大きく、一般には「デデー ポーポー」と鳴く。
今の季節には早朝5時頃から、盛んに鳴いて煩いと感じる人もいる。
このキジバトの鳴き声だが、隣家のベランダと庇の間に何年もの間棲み着いている番いはイントネーションが異なり、「トウキョウ アッタカイ」と鳴いているように聞こえる。
雌雄同色で茶褐色から紫灰色をしており、翼に黒と赤褐色の鱗状の模様が頚部側面には青と白の横縞模様がある。
キジの雌の体色の似ていることが、名前の由来とされている。
日本全土の平地から山地の明るい森林まで広い範囲に生息するが、ヒヨドリと同じように都市部でも普通に見られるようになった。
ヤマバトという別名のとおり昔は山岳地帯に生息し人前に姿を現さなかったのだが、都市部での銃猟が禁じられてから人を恐れなくなり、1970年代には街中の街路樹や建造物に営巣するようになったが、ドバトに比較すれば警戒心は遥かに強い。
樹上に小枝を組み合わせ、下から卵が透けて見えるほど粗雑な皿状の巣を作る。
メジロやウグイスなどの小鳥と異なり古巣を利用することも多く、樹上に限らず建築物にも営巣する。
野生の他の小鳥と異なり季節を問わず産卵・繁殖し、1回に2個の卵を産む。抱卵は雌雄で分業しており夜間は雌、昼間は雄が行う。
昨日の朝、ヒガンザクラの高さ3mほどの枝に巣を架け抱卵しているキジバトを発見した。
今朝5時前に写真を撮りに行くと親鳥の姿が見えず、1個の卵が下から透けて見えていた。
雌雄の交代時間かと思い2時間後に再度見に行くと親鳥は近くの電線に止まっており、既に卵の影すらも確認できなかった。
桜の木の下を一匹のネコが横切って行ったが、ネコが小さなハトの卵を狙うことは考えられず、恐らく近くのメタセコイヤの樹に営巣しているカラスの餌食にされてしまったのではないかと思われる。
キジバトは案外巣に執着しないから、恐らくこの巣は放棄されてしまうに違いない。
一般に平和の使者などと言われるが、豆など穀物の種子を食害するキジバトは農業者にとっては害鳥である。
育雛には、そ嚢で生成されるピジョンミルクを与える。ピジョンミルクにはタンパク質や脂肪の他、雛の成長に必要な栄養素が含まれている。
有名な哺乳瓶メーカーの名前は、実際には厄介者なのだが、平和の象徴とされるハトPigeonから採って付けたものである。
多くの小鳥類の親鳥は植物性食であっても、育雛には昆虫などの動物性タンパクを必要とする。
小鳥類の多くが春から初夏に繁殖するのは、この季節に幼虫が大量に発生するからだと説明されている。
動物タンパクの昆虫を必要とせずピジョンミルクにより育雛できることが、繁殖期の限定されない理由として挙げられている。
キジバトの営巣の失敗で最も多い原因として、卵や雛が他の動物に捕食されてしまうことが挙げられる。
捕食者には、カラス・ネコ・アオダイショウが多い。昔は子供もキジバトの天敵であったのだが鳥より面白い対象が他にあるためか、最近の子供は鳥に関心がなく鳥に悪戯をしない。
これら捕食者からの襲撃で抵抗している親鳥を見ることは無く、殆どが逃げ出して避難するだけであることが多い。
突然のことに驚いて目を丸くしきょとんとする様子のことを、「鳩が豆鉄砲を食らう」という。
鳩が豆鉄砲で撃たれても、大した衝撃はない。鳩は好物の豆がいきなり飛んできたこと驚いて、何かと見れば好物の豆が転がっている。
なにが起こったかわからず、呆気にとられてきょとんとしている姿が目に見えるようである。