カテゴリ:カテゴリ未分類
![]() 強烈な臭いを放つ果物では、ドリアンが知られている。 以前、マレーシアのプランテーションで初めて食べた。同行の友人はその臭いに逃げ出したのだが、トロリとして甘い実は食べて食べられないほどの臭いには感じなかった。 野菜にも、強烈な臭気を持つ種類がある。 強い臭気を持つ野菜の筆頭は、ニンニクだと言われる。ニンニクは世界各国で香料、薬味、民間薬、強精剤として良く使われる。 しかし、食べると翌朝まで息にニンニク臭が残る。本人はそれほど自覚しないのだが、満員電車で隣り合わせると思わず顔をそむけたくなる臭いである。 韓国はニンニクを良く食べる国として知られているが、成田の韓国行き航空機の出発待合所では既にかなりの臭いがする。 大韓航空やアシアナ航空の機内には、ニンニクの臭いが染み付いている。 ニンニクは蒜・大蒜・葫・忍辱とも書くネギ属の多年草で、鱗茎が香辛料として様々な料理に利用されている。 ニンニクやノビルなどのように鱗茎を食用とする臭いの強いネギ属の植物を総称して、蒜と呼んでいた。 オオビルの名前はノビルと区別するために付けられたもので、南信州ではニンニクよりオオビルの方が一般的な呼び名であった。 蒜・大蒜は漢語に由来し、忍辱がニンニクの語源となったとされる。ニンニクの語源となった忍辱とは、困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語である。 5月頃に花茎が出るが、鱗茎を太らせるために花芽は摘み取る。摘み取った茎も、ニンニクの芽として食用になる。 原産地は中央アジアで文献によれば、紀元前3200年頃にはエジプトなどで栽培・利用されていたとされる。 最古の医学書「エーベルス・パピルス」には、薬としての記載がある。 紀元前140年頃中国に伝わり、8世紀頃に中国から日本に伝わったものと推定されている。 禅宗の寺院の山門には「不許葷酒入山門」とあるように、修行僧は煩悩の基となる強壮・強精作用があるとされることから食が禁じられた。 貝原益軒が編纂した本草書(生物学書)の「大和本草」では、悪臭甚だしくとも効能が多いので人家に欠くべからざるものと評価されている。 ビタミンB1の効果を高めるアリシンを含み、in vivo(生体)では確認されていないものの、in vitro(試験管内実験)では各種の薬理作用等が報告されている。人に対しての有効性には、信頼できるデータが十分でない。 ニンニクを生で他食すると赤血球が破壊される事にから、血尿・血便・急性貧血の原因になる。 アメリカ国立癌研究所によると、ニンニクが結腸癌・直腸癌発症のリスクを低下させることがほぼ確実だと報告している。 ニンニクはその臭いが口臭となる他、体内に取り込まれて体臭の原因となるのが難点である。 エジプト産ニンニクを品種改良して、臭いを軽減したものが無臭ニンニクの名前で流通している。 しかし全く異なる別種のリーキ(ポロネギ)の球根に、「無臭ニンニク」の名前を冠したものの場合も多い。 今年は初めて、無臭ニンニクの種を購入してみた。作り方はニンニクと同じだが、実物を見てもリーキの麟茎であるか判断がつかない。 南信州阿智村の昼神の地に温泉が湧出して、昼神温泉の名前がつけられた。 日本書紀に「大和武が神坂峠を越える際、白鹿に化けた山の神によって行く手を阻まれた。 蒜で打ち倒したところ霧が立ちこめ道を見失ったが、白い犬が出てきて導いてくれたので無事峠越えができた。 旅人が神坂峠で神気に当たり病になることがあったが、その後は蒜を嚼んで体に塗ると神気に当たらなくなったと記されている。」ここに出てくる蒜は、野蒜であったとする説もある。 古来より西欧と同じように、ニンニクに魔除けの力があると信じられているのが面白い。 地名の昼神は、蒜嚼みが由来とされている。
最終更新日
2015年09月02日 10時39分43秒
|
|