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![]() 伊藤左千夫の小説「野菊の墓」に、その題となった次の一節がある。 「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」 「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」 「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」 「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」 民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。 「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」 「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」 「それで政夫さんは野菊が好きだって……」 「僕大好きさ」 ここに出てくる野菊はノコンギクのことではないかと言われるが、ヨメナも類似していて見わけが難しい。 ノコンギクの花言葉は「忘れられない想い」だが、ノコンギクもコンギクの花言葉もこの「野菊の墓」から持って来たような気がしないでもない。 ノコンギクは秋から霜が降りるまでの期間、北海道を除く日本全土の野原などに普通に見られる多年草でキクと同じように地下茎が伸びて増殖・繁茂する。 茎は直立40~100センチ、上部で枝分かれする 茎頂に数個の周辺に淡紫色~紫色の舌状花があり、中央に黄色の管状花をつける。ユウガギクは葉が3~4対に浅裂するが、ノコンギクは葉縁に粗い鋸歯を持つ。 若芽や若葉は山菜として薄く衣をつけて天ぷらで、塩を入れた熱湯でかるく茹でて水に晒し和え物・汁の実・油炒めなどにしてたべることができる。 秋に日本の野山で普通に見られ、花の色が紺色をしたキク科の植物が名前の由来である。 コンギクはノコンギクより、色が一層鮮やかである。 秋に濃青紫色の花弁と黄色い筒状花の小花を沢山咲かせる多年草で、ノコンギクの園芸品種である。 近似種のヨメナは枝分かれが少ないのに対して、コンギクやノコンギクは枝分かれが多い。 旧愚酔庵主から10年も前に一株分けて貰ったコンギクが、山荘の庭一面に広がって可憐な花を咲かせている。 この花は林縁や土手に咲くノコンギクより、ずっと鮮やかな紫紅色をしている。 外気の最低温度が5℃近くにまで下がるようになると、庭一面に咲いていた様々な秋の花が終わり今は数種類のコギク・リンドウに加えてコンギクが咲くだけとなった。 コギクの花も可愛いが、コンギクの如何にも楚々とした野性的な花姿は捨てがたい。 花言葉 純情 秘めた恋 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年10月19日 08時43分05秒
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