よもやまシネマ

2008/08/23(土)17:18

血と砂 愛と死のアラビア 

本(336)

ローズマリ・サトクリフ著 スッコトランド高地連隊の狙撃兵トマス・キースは、トルコとの戦いのために、1807年にエジプトへ―実話をもとに描かれるイスラム教に改宗し、アラブ世界に生きた高潔な戦士の物語。 トマス・キースは戦いに敗れ大怪我を負い、敵軍の将アーメド司令官捕虜となる。傷が癒えたトマスはアスワンに送られ、そこでベドゥイン騎馬兵としての訓練を受ける事になった。ここからトマスの怒涛の人生がスタートする。 スッコトランド高地連隊の中にあってはライフル部隊はエリートだが、貴族でも金持ちの出でも無いトマスに出世の見込みは無い。しかしアーメドの元にとどまれば本国では到底望めない地位まで登る事が出来る。そのためにはキリスト教からイスラム教に改宗する事が必須だが。 思い悩んだ末トマスはイスラム教に改宗する。 その後、カイロの太守の次男トゥスンと篤い友情で結ばれ、彼と供に戦いに身を投じて行く。 波乱万丈の人生です。 サトクリフはトマスの記録を丹念に当たったようで、この本に記されているほとんどが事実だそうですが、こんな冒険をホントにしたのね。 一番心打たれたのは、トマスがイスラムに改宗するか否かで迷っていた時、砂漠の中で たった一人で遺跡に座り神について思いを巡らせている場面。 慣れ親しんだ自らの神イエス。新たに知った異教の神アラーこの2人の神についてあれこれ思ううちに1つの思いが浮かんでくる、それは「神はひとり」。 トマスは「万物を司る神は地球上に一人なんだ、ただ民族や地域によって呼び名が変わり、神を祭る儀式や様式が変わるだけだ」と悟る。この悟りを得てからトマスは迷いが消えイスラムの戦士として新たな人生を歩み始める。 上下2巻。いろんな部族が入り乱れてるしイスラム世界の知識は皆無だし 登場人物の名前はこんがらがるし、苦戦した割には一気に読めます。 一気に読んだのにはわけがある。 時代が1800年代初頭。トマスがスコットランド高地部隊の狙撃兵で、持ってるのはマスケット銃じゃなくベイカーライフルとくれば、もう他人とは思えない(笑) 黒髪のトマスは金髪に脳内変換され、時折アンディ・マクナブになる。 サー・アーサー・ウェルズリーだのタラベラの戦いだの、 時折出てくる馴染みの言葉に興奮しながら読んでました。 狂喜する箇所が間違ってるような気もしないではないけど(笑) 血と砂(上) 血と砂(下)

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