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むかしむかし、ある小さな村に、二人のお百姓さんが、となりどうしですんでいました。
一人はお金持ちでしたが、ずるい性格で、もう一人はまずしいくらしをしていましたが、気だてのよいお百姓さんでした。 二人のお百姓さんは、共同の草かり場をもち、毎日そこではたらいています。 お金持ちのお百姓さんは、この草かり場を自分だけのものにしたいと、いつも考えていました。 ある日のこと、お金持ちのお百姓さんは、よい考えがうかんだので、となりにいきました。 「一度、あんたと草かりの競争をやってみたいんだよ。それで勝ったほうが、共同の草かり場をぜんぶ使っていいというのはどうかね?」 お金持ちのお百姓さんが、こわい顔でいうので、気だてのよいお百姓さんは、しぶしぶ、その競争をやってもいいといいました。 さて、約束の日がきました。 お金持ちのお百姓さんは、お金をいっぱい出して、おおぜいの人をやといました。 それにたいして、まずしいお百姓さんは自分一人だけです。 これでは、やる前から勝負は見えています。 「ああ、あの草かり場も、これでとなりの金持ちにとられてしまうのだ。これから、どうやってくらしていったらよいものやら」 まずしいお百姓さんは、ションボリしていいました。 するととつぜん、一人の大男があらわれました。 「おまえさんは、何をそんなに、なやんでいるのかね?」 まずしいお百姓さんは、わけをはなしました。 大男は、その話を聞くと、 「なんだね、そんなことでクヨクヨして。よし、わしが力をかそう。草かりがはじまったら、おまえは『大男のとびじいさん』と、三回となえるがいい。わかったね」 大男はそういうと、あっというまに消えてしまいました。 いよいよ、草かり競争のはじまる時間になりました。 お金持ちのお百姓さんは、三十人の人たちをつれてやってきました。 まずしいお百姓さんは、たった一人ぼっちで、お金持ちのつれてきた人数に、ぼうぜんとたちつくしてしまいました。 そのあいだに三十人の人たちは、せっせとカマで草をかりはじめました。 まずしいお百姓さんは、この時ふと、大男のことを思い出しました。 (そうだ! 『大男のとびじいさん』って、いうんだっけ) まずしいお百姓さんは、大声で三回さけびました。 「大男のとびじいさん!」 「大男のとびじいさん!」 「大男のとびじいさん!」 まわりにいた人たちは、あいつは頭がおかしくなってしまったんだと、顔を見あわせてわらいました。 まずしいお百姓さんは、もう一度大きな声で、三回さけびました。 「大男のとびじいさん!」 「大男のとびじいさん!」 「大男のとびじいさん!」 まずしいお百姓さんは、もう夢中でさけびつづけました。 たちまち、見あげるような大男が、手に大きなカマをもって、草かり場のまん中にあらわれたのです。 お金持ちのお百姓さんと草かりの人たちは、ビックリして腰をぬかしました。 大男はあっというまに、大きなカマで草をかりとってしまいました。 お金持ちのお百姓さんは負けたのがくやしくて、大男をけとばしました。 ところが、お金持ちのお百姓さんの足は、大男の足にペッタリとくっついてしまいました。 「なにをする。この大男め!」 お金持ちのお百姓さんは、もういっぽうの足で、大男をまた、けとばしました。 すると、もういっぽうの足もペッタリとくっついてしまいました。 大男はお金持ちのお百姓さんをくっつけたまま、どこかにとんでいって、二度とすがたをあらわしませんでした。 まずしいお百姓さんは、草かり場がぜんぶ自分のものになったので、たいそうよろこびました。 各自が己れの仕事をしていけ、牝牛の番はちゃんといる。 ラ・フォンテーヌ ☆ 大男のとびじいさんとは、何でしょうか? よく考えてくださいね。 ☆ 笑よく業を制します。お祓いよりお笑いです。 今日もあなたの良心というナビは正常に作動していますか?
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Last updated
Nov 19, 2017 08:01:04 AM
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