2007/01/18(木)02:43
ティニャネッロ トスカーナの革命児
イタリアのワイン法は本当に頭にくる。
手間隙かけて造られたワインも最低限の基準を満たしただけのワインも同じカテゴリーに組み込まれてしまうのです。
イタリアワインに詳しい人なら政府が定める「DOC,DOCG」が何の意味も持たないことなどは百も承知なのですが、 いまだに ワインガイドブック や ネット上 でも さも権威のある品質保証であるがごとく書かれているのが実情なのです。
政府の定める最高ランク「DOCG」とは ほとんどの場合 大企業と政治家との癒着の産物といって過言ではないのです。
しかし イタリアにもさすがに見識と反骨心を持った人達がいます。
それが由緒ある大メーカーである アンティノリ家と 職人メーカー とでも言えるアンジェロ ガヤ であったという事実こそが イタリアワインの良心を守ったのです。
醸造所の規模や歴史は違えど 良いワインを造りたい思いは同じだったのです。
アンティノリはキャンティに初めて 外来種であるカベルネ ソーヴィニョンとカベルネ フランを混醸しました。
試行錯誤の後 当時のワイン法にそぐわないワインが出来上がりました。
今ならキャンティ クラシコとして流通することができるワインです。
しかしアンティノリは 単なるテーブルワインのカテゴリーでこのワインを発売しました。
と 言うか 発売せざるを得なかったのが現実だったのです。
そして、このワイン「ティニャネッロ」が発売されるや否や イタリアはおろか世界中にセンセイションを引き起こしました。
その気品ある味わいは 瞬く間に 心あるワイン愛好家、専門家を魅了しました。
いつしか人々はこのワインの事を「スーパー タスカン」と呼び始めました。
アンティノリ家はさらに親戚筋のワインにも手を貸しました。
それが「サッシカイア」「オルネッライア」の誕生となるのです。
さらにアンティノリは「ティニャネッロ」と反対のセパージュの「ソライア」を世に問います。
これらのワインとガヤのワインはイタリア政府の定めるDOC,DOCGをあざ笑うかのような快進撃を続けます。
そして他の地方でも、心ある醸造家がこれに続くのでした。
イタリアワインの品質を一気に引き上げた「ティニャネッロ」。
大メーカーだからこそ負わなければならない責任、品質に対するこだわり、名家ならではの誇り。
たかがワイン されどワイン、まず何はさておいても このワインを 飲まずして現代イタリアワインは語れないのです。
ティニャネッロ・・・トスカーナ州産 サンジョベーゼ85%、カベルネ ソーヴィニヨン10%
カベルネ フラン5%