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2021.01.21
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下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

日本でもすでに「生命の選別」は行われている
3度目のロックダウン下にあるイギリスでは、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が1日当たり6万人を突破し、死者が累計で8万人を超えた。
米SFテレビドラマ『宇宙大作戦』に登場するミスター・スポックのように、いつも沈着冷静な英イングランド主席医務官のクリス・ホウィッティ氏が悲壮感を漂わせながら英日曜紙サンデー・タイムズで「冬の病院は常に逼迫するが、いくつかの地域では最大の危機に直面している。感染爆発を抑えるため外出せず不必要な接触を避けよ」と訴えた。
生命の選別を意味する緊急トリアージが始まった
「世界の8割おじさん」こと感染症数理モデルのスペシャリスト、インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授も同紙に「コロナによる入院患者はさらに10~20%増え、新たな死者が2万人出るのを避けるのは難しい状況だ」と死者10万人超えの見通しを語る。ロンドンでは先週、30人に1人が新たに感染し、すでに第1波と第2波で人口の25~30%が感染したという。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
原則無料で医療サービスを提供する英国民医療サービス(NHS)の病院関係者は筆者に「ロンドンでは陽性の入院患者は春のピーク時より30%多く、6400人が入院中だ。集中治療室(ICU)のキャパシティーは現在1500床。今週には2000床必要になる。いちばん感染が広がるロンドン東部のバーキングでは25人に1人が陽性だ。山場は今週に来る」と語る。
コロナ入院患者はイギリス全体で現在3万559人。昨年春の最悪期の4割増しだ。英医師会のチャンド・ナグプール会長は会員への書簡で「コロナに感染した病院のスタッフは4万6000人を超えた。現在の救命救急治療の需要さえも管理するのに苦労している。そこにさらなる圧力が加わっている」と危機的な状況を報告した。
ロンドンのサディク・カーン市長は8日、「ロンドンでの新型コロナウイルスの感染爆発は制御不能である」としてテロや大規模火災の際に出される「重大事案」を宣言した。「制御不能」とはどんな状況なのか。インペリアル・カレッジ・ロンドンのカタリーナ・ハウク博士はロンドンの病院の状況をこう語る。
「ロンドンの病院は圧倒されている。病院は一般病棟を急きょ救命救急病棟にしてコロナ患者収容のキャパシティーを増やした。スタッフは残業している。しかし悲しいことに一部の病院は現在、集中治療を必要とするすべての患者の緊急トリアージについて英国立医療技術評価機構(NICE)のガイダンスに従うことを余儀なくされている」
すなわちICUで優先的に治療を受けられるのは65歳以上の高齢者や虚弱な患者ではなく65歳未満の虚弱ではない患者ということだ。虚弱な患者や高齢者はその代わり一般病棟に収容される。気管挿管という侵襲的治療の効果を期待でき、生存の可能性が最も高い患者を優先するための緊急措置だ。
イギリスでは昨年春の第1波に対処するため全国7カ所にナイチンゲール臨時病院を開設した。ロンドンの臨時病院は4千人規模。ハウク博士は続けた。
「第1波ではナイチンゲール臨時病院への人員配置がボトルネックになったと批判された。私たちの調査では救命救急看護師と研修医が主な制約だった。集中治療にトリアージされた患者は主要な病院にとどまり、生存の可能性が高くなる集中治療を受けさせるべきだ。虚弱な患者や高齢者はナイチンゲール臨時病院に移送され、一般的なケアを受けることができる」
日本では起きているのは「医療崩壊」なのか
今となっては信じられないことだが、第1波では病院のベッドを空けるため、コロナに感染している高齢者を介護施設に送り返し、介護施設で被害を広めてしまった。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの調査ではコロナ以外の死者を含めた超過死亡の半分以上が介護施設の入所者だった。
今度はコロナ陽性の高齢者をナイチンゲール臨時病院に収容して、せめて介護施設での2次感染を防ごうというのだ。イギリスは市民全員が巻き込まれる"対コロナ全体戦争"に突入している。9日、エリザベス英女王(94)もフィリップ殿下(99)もウィンザー城で接種を受けた。政治家、科学者、医者、看護師、介護施設の職員、ワクチン接種を受ける市民も戦争へと追い立てられている。
日本にとってイギリスで起きている医療崩壊の惨状は「対岸の火事」なのか。感染者も重症者も死者も欧米諸国に比べて極端に少ない日本とイギリスを比較して非常に気になる数字がある。人口100万人当たりのコロナ入院患者数の割合である。
(筆者作成)
日本407人に対してイギリスは458人とそれほど大きな開きはない。いったい日本の医療現場で何が起きているのか。日本医師会の中川俊男会長は6日の定例記者会見で、国民の一部に「まだ医療崩壊の危機ではないのではないか」という声が少なからずあることに対してこう訴えた。





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最終更新日  2021.01.21 13:30:05
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