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テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2021.09.14
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下記の記事は日経グッディオンラインからの借用(コピー)です。   記事はテキストに変換していますから画像は出ません

日本人女性約16万人を対象にした大規模研究の解析結果から、閉経前では飲酒の頻度と飲酒量が乳がんのリスクと関係することが分かりました。酒ジャーナリストの葉石かおりさんは、酒好き女性を代表して、愛知県がんセンターのがん予防研究分野分野長の松尾恵太郎さんに、乳がんのリスクを上げないためにはどのようにお酒を飲めばいいのか、またお勧めのつまみはあるのかなど、話を伺いました。
 閉経前の女性は、飲酒頻度や飲酒量が増えるほど、乳がんの罹患リスクが上がる。
 前回の記事で、愛知県がんセンターなどが公表した、日本人女性約16万人を対象にした大規模研究の解析結果を紹介した。一方で、閉経後では飲酒と乳がんのリスクに有意な関係が見られなかったという。
 愛知県がんセンターのがん予防研究分野分野長の松尾恵太郎さんは、「一般にがんというと、高齢になると罹患率が高くなるものが多いです。その中でも乳がんは、比較的若いうちから罹患率が上がるがんだといえます」と話す。
 全国がん登録罹患データによると、乳がんの年齢階級別罹患率(2018年)は、下のグラフのようになっている。
乳がん年齢階級別罹患率(2018年)
(出典:全国がん登録罹患データ)
 日本では、平均で50歳すぎに閉経する人が多く、その前後合わせて10年、つまり45~55歳ぐらいが更年期にあたるといわれている。しかしこの乳がん罹患率のグラフを見ると、閉経前の40歳以降からグッと数が上昇していることが分かる。
 やはり女性特有の乳がんは怖いし、できることなら罹患したくない。しかし酒好きとしては、この結果を踏まえてもなお、酒を完全にやめることはできない。そこで「乳がんの予防」という観点から、どんなふうに酒を飲めばいいのかについて、引き続き愛知県がんセンターの松尾さんにお話を伺った。
酒の「量」と「頻度」、どちらかを妥協する
 先生、大規模研究の解析結果で、乳がんと飲酒の関係を知ってもなお、お酒はやめられません(涙)。
 「私もお酒が好きな人の気持ちが分かるので、『お酒をやめなさい』とは言いません(笑)。繰り返しになりますが、閉経前の女性の場合、いずれもまったくお酒を飲まない人に比べ、週5日以上飲む人は乳がんの罹患リスクが1.37倍に上がり、飲酒量については1日に23g(純アルコール換算)以上飲む人のリスクが1.74倍になる、という結果になりました。これを踏まえ、『お酒は乳がんのリスクファクターになる』ということを意識して飲むことが大切です」(松尾さん)
うう、酒飲みの気持ちを理解していただき、心底ホッとする。とはいえ、やはり「リスクになる」と意識することが大切なのだ。
 具体的にどのように意識するのかというと、「量、または頻度のどちらか妥協できるほうを選択し、セルフコントロールしましょう」と松尾さん。
 量に関しては、「1日23g以上飲む人のリスクが1.74倍」なので、これより少なく抑えるのが目安になる。厚生労働省の「飲酒のガイドライン」によると、節度ある適度な飲酒は「1日平均20g程度」であり、女性はその2分の1か3分の2が適当であるとされている(*1)。
 いや、もっと飲みたいぞ、という方は、頻度のほうを妥協しよう。週の中で休肝日を設ければ、1日20gを超えてしまうときがあってもいい。ただその場合でも、過去の連載記事でも紹介したように、週に150g程度に収めるのが望ましいと考えられる(参考記事「大量飲酒は『脂肪肝』にまっしぐら」)。
 私はこの取材を機に、自分が飲む量をなるべく正確に把握するようになった。日本酒は、1合きっちり入るカップを使って飲む。目分量だと酔った勢いも手伝って「あともう少し飲んでもいいか」とつい甘えが出てしまうが、この方法だと飲み過ぎを防ぐことができる。ビールの場合は1日にロング缶1本とした。
 頻度に関しては、試験的に「週末だけ飲んでもいい」というマイルールを作って、休肝日を「週5日」にしている。その代わり、ウイークデーはノンアルコールビールを飲むことにした。最初は物足りないと感じたが、3日目を過ぎたらちょっと慣れてきた。
 週末も、最初にノンアルコールビールで喉を潤してから酒を飲むようにすると、飲み過ぎることがないと気づいた。週末2日間の酒量のトータルは日本酒に換算して4合瓶1本。1週間で考えれば、「適量」と言ってもいいのではないだろうか。
*1 厚生労働省「飲酒のガイドライン」
大豆は乳がんのリスクを下げる「可能性あり」
 酒量や飲む頻度を意識した上で、次に知りたいのは酒と一緒に食べるおつまみである。「乳がんのリスクを下げる」というエビデンスがある食べ物はないものだろうか?
 「あります。それは大豆です。国立がん研究センターの『がんのリスク・予防要因 評価一覧』にもあるように、大豆は現在、食品の中で唯一『(リスクを下げる)可能性あり』という評価が出ています」(松尾さん)
大豆! 大豆といえば枝豆、納豆、豆腐、厚揚げ、大豆もやしなどなど、酒のアテ(つまみ)にぴったりな食品ばかり。しかも低カロリーで高たんぱくなので、肥満予防にもなるのではないかと期待したい食品だ。
 しかし大豆と聞くと、気になるのは大豆に含まれているポリフェノールの一種、イソフラボンである。イソフラボンは、主な女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用を持つことで知られている。前回の記事で、「エストロゲンにさらされる期間が長ければ長いほど、そしてエストロゲンの量が多ければ多いほど、乳がんの罹患率が上がる」と伺っていた。イソフラボンによるリスクはないのだろうか?
 「エストロゲンと似た作用があるイソフラボンは、その化学構造もまたエストロゲンとよく似ています。イソフラボンは体内に存在するホルモンの受け皿である『女性ホルモンレセプター』に結合することで、エストロゲンがそれに結合するのを阻止します。これによってエストロゲンの働きを抑え、乳がんの発生や進行を遅らせると考えられているのです。イソフラボンを含んだ食品は、特に女性ホルモンの分泌が乱高下する閉経前の女性に積極的にとってほしいですね」(松尾さん)
サプリはあくまでも「補助的」に
 おお、これはまさに酒好きの女性にとっての救世主! イソフラボンといえば、サプリメントも出ているので、これを活用する手もありそうだ。どうでしょう、先生。
 「サプリメントはあくまで“補助”と考えてください。サプリをとることを否定はしませんが、カラダにいいからといってたくさんとればいいということではありません。食品からならとり過ぎることはあまりありませんが、サプリだととり過ぎる可能性があります。お酒同様、適量を意識しましょう」(松尾さん)
 なるほど、いくらカラダにいいとはいえ、「多ければいい」ということではないのだ。
 ちなみに、最近は大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌によって代謝されて生み出される「エクオール」のサプリメントもある。これについても、イソフラボンのサプリ同様、「補助的なものとして考えたほうがいい」と松尾さん。大豆を使った食品がなかなかとれないときなど、ライフスタイルに合わせ、うまく活用したい。
 ところでおつまみといえば、枝豆と並んで手軽な「チーズ」も定番だが、一部の週刊誌やネット記事において、「チーズなどの乳製品は乳がんの罹患リスクを上げる」という情報を目にすることがある。実際にはどうなのだろう?
 「先に挙げた国立がん研究センターの『がんのリスク・予防要因 評価一覧』を見ると、牛乳・乳製品は『データ不十分』という評価になっています。日本人が年間にとる乳製品の量は欧米に比べるとかなり少ないので、このような評価になっていると思われますが、たまにおつまみとしてチーズを1~2片食べるくらいなら、そこまで神経質にならなくて大丈夫です」(松尾さん)
 チーズ好きな人も、これを聞いてホッとしたかもしれない。
 もう1つつまみで注意したいのは、肥満の原因にならないようにすることだ。前回も触れたように、肥満は閉経前の女性にとって乳がんのリスクを上げる「可能性あり(BMI30以上)」で、閉経後では「確実」にリスクを上げると評価されている(*2)。
 揚げ物などハイカロリーなつまみのとり過ぎに注意し、お酒を飲んだときのシメのラーメンはごくたまにやらかす程度に我慢したい(参考記事「酒飲みがダイエットを成功させるために常備したいつまみ5選」)。リスクを下げる「可能性あり」の運動も取り入れつつ、節制を心がけたほうが良さそうだ。
*2 国立がん研究センター「がんのリスク・予防要因 評価一覧」より。BMI(体格指数)は、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))。
リスクはゼロではない、定期的に検査を
 さて、「乳がんはエストロゲンと関係性が深い」ことを聞いて、低用量ピルをはじめとする女性ホルモンを補充する治療を行っている方はかなり気になっているのではないだろうか。
 先生、生理不順や更年期などの対策に使う低用量ピルを服用しているお酒好きの女性は、乳がんの罹患リスクが上がるのでしょうか?
 「正直、リスクはゼロとは言い切れません。利を得れば、失うものもあります。ただ初期に発売されたピルとは異なり、現在処方されているものはエストロゲンだけでなく黄体ホルモンも含有されているので、その分エストロゲンの量が少なく、リスクは下がると考えられます。低用量ピルに関しても、お酒と同じように『リスクはゼロではない』ということを念頭に置いて服用し、定期的に乳がん検診を受けるようにされるといいでしょう」(松尾さん)
 私自身、若年性更年期の治療を皮切りに、もう15年近く低用量ピルや、更年期の治療薬(ウェールナラ)を飲んでいるが、現在まで主だった副作用はない。こうしたホルモン剤のリスクを受け止めつつ、更年期のしんどい症状を改善し、年に1回の乳がん検診を受けることで安心も得ている。
 松尾さんは、定期的な乳がん検診の重要性について、こう教えてくれた。
 「さまざまながんの中でも、乳がんは早期発見できれば命を落とす可能性が少ないものです。また発見が早ければ早いほど、手術治療での切除部位も最小限で済みます。乳がんの罹患は40代でピークを迎え、その後はずっと高い状態を維持します。つまり40代以降はいくつになっても乳がんのリスクがあると考え、定期的に検診を受けることが賢明です」(松尾さん)
 乳がんのリスクを理解した上で、酒の量や頻度をセルフコントロールし、おつまみにも気を付ける。さらに早期発見のために年に1回の乳がん検診を受ける。そして閉経前、閉経後にかかわらず、適度な運動にも取り組む。こうしたことを意識し、酒を長く楽しんでいただきたい。
(図版制作:増田真一)
松尾恵太郎(まつお けいたろう)さん
愛知県がんセンター がん予防研究分野分野長
1996年岡山大学医学部卒業。亀田総合病院、岡山大学医学部附属病院医員(第二内科)、愛知県がんセンター研究所(研修生)、ハーバード公衆衛生大学院疫学部(国際がん研究機関ポストドクトラルフェロー)を経て、2003年より愛知県がんセンター研究所疫学・予防部研究員。2013年より九州大学大学院医学研究院予防医学分野教授。2015年より愛知県がんセンター研究所遺伝子医療研究部部長。2018年4月より現職。





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最終更新日  2021.09.14 12:00:09
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