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テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2021.12.03
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下記の記事をダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。 (ダイアモンドオンライン様には失礼かと存じますが、少し難しいお話ですので始めの方と70%過ぎた辺りからお読みいただくと分かりやすいと思います。)

栄養ドリンクのCMから「疲労回復」の言葉が消えたことにお気付きだろうか?これは疲労の原因物質が発見され、研究が飛躍的に進展したからだという。この大発見を成し遂げた研究チームを率いる近藤一博教授に、話を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
栄養ドリンクCMの表現が
ちょっと遠回しな言い方になったワケ
 テレビCMでさりげなく起きている異変にお気付きだろうか。以前なら、栄養ドリンクのCMで必ずアピールされていた「疲労回復」という言葉が消え、代わって「疲労感の軽減」というちょっと遠回しな言い方が主流になっているのだ。
 異変が起きた理由は明快。「疲労研究」がダイナミックに進展したからだ。その進展ぶりはまるで宇宙戦艦ヤマトのワープのような一足飛びで、従来の常識を覆してしまった。
 簡単に言うと、
・疲労の原因物質が発見された
・「疲労感」と「労働や運動による生理的疲労」からなる疲労のメカニズムが解明され、従来「疲労回復に効果がある」と思われていた物質のほとんどは、「疲労感を軽減させる物質であり、疲労回復効果はない」ことが分かった
・疲労を客観的に測る技術が発明された
 といった “世界初”の快挙が、立て続けに達成されたのだ。
 おかげで疲労研究は急進展し、今や疲労の枠を超え、「うつ病」の領域でもにわかには信じがたい大発見がなされるに至った。
 ただ、世の中はそのスピードについていけていない。変わったのはCMの言葉だけ、ネット上では現在も、従来の学説が書き換えられることなく掲載され続けている。
 大発見をしたのは、近藤一博教授率いる東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の研究チームだ。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている昨今、ウイルスといえば感染症だが、実は疲労やうつ病にも大きく関与しているという。近藤教授に話を聞いた。
ヘルペスウイルスで疲労を測る
客観的測定法が発明された
――ウイルスの研究者なのにどうして疲労の研究をしているのですか?
東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授の近藤一博医師
 私が研究しているのは感染症のウイルス学ではありません。昔は、ウイルスの研究と言えばがんのウイルスが主流でしたので、私もがんとウイルスの関係の研究から始めました。その過程で、「体の中に潜んでいるウイルスが病気を起こす」ということに興味を持ち、体の中に潜んでいるウイルスと言えばヘルペスウイルスだということで、ヘルペスウイルスに着目しました。
――ヘルペスウイルスと聞くと、性病を思い出しますが違うのですね。
 性病を起こすものもありますが、より一般的なのは口唇ヘルペスの方です。徹夜明けとか風邪で体が弱っている時に、唇の横に小さな水疱ができることはありませんか。あれが口唇ヘルペスで、成人の約半数の体内にこのヘルペスを作るウイルスが潜んでおり、強い疲労やストレスがかかると再活性化して、水疱を作って体の外に出てきます。
――ヘルペスウイルスは疲労との関係が深い?
 そうですね。同じヘルペスウイルスの仲間では、もっと疲労に反応しやすいウイルスがいます。ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)というウイルスです。この二つはとてもよく似たウイルスで、両方とも赤ちゃんに突発性発疹という病気を引き起こします。
――突発性発疹と言えば、赤ちゃんが生まれて最初にかかる病気で有名です。
 はい。そして二つとも、ほぼ100%、成人の体内に潜んでいます。われわれは研究によって、これらのウイルスが、少し残業をするといった程度の疲労でも、唾液の中に出てくることを突き止め、唾液の中のHHV-6やHHV-7の量を調べることで疲労の有無や度合いを客観的に測る方法を世界で初めて発見しました。これは慈恵医大の特許技術です。
――ということはそれまで、疲労の有無や度合いを客観的に測る方法はなかったんですか?
 Visual Analogue Scale(VAS)検査と言って、「疲れをまったく感じない」を0、「疲れ切った感覚」を10として、被験者に「自分の疲労度はこれぐらい」というところに印をつけてもらう方法しかありませんでした。
――測定と言うよりは「個人の感覚」ですよね。ほかに方法がなかったとはいえ、あまり科学的ではないような気がします。
 ええ。しかし、栄養ドリンクや健康食品でうたわれていた「疲労回復効果」はすべて、このVASを使って測定されたものでした。
「疲労のメカニズム」も
世界で初めて解明された
――「『唾液中のヘルペスウイルスの量で疲労が測れるのはなぜか』の答えを探すことが、疲労のメカニズムの発見にもつながった」と著書にありました。
 体の中に潜んでいたヘルペスウイルスが再活性化するメカニズムについては、昔から、「難破船の船底に潜んでいるネズミ」のたとえ話が用いられてきました。船が嵐にあって難破しそうになると、いち早く危険を察知したネズミたちが船から脱出しようとするそうです。
 つまり、ヘルペスウイルスの中でも疲労に敏感なHHV-6やHHV-7が、疲労という「ヒトの危険」を察知して、宿り主から出て行こうとするのが再活性化であり、これらのウイルスがヒトの体のどのような変化を感じ取って再活性化するのかを知ることができれば、疲労のメカニズムを解明できると考えました。
――では「疲労のメカニズム」について教えてください。
 疲労には「疲労感」と「体の疲れ」という二つの側面があります。また、疲労の種類にも「生理的疲労(労働や運動による疲労)」と「病的疲労(特に原因がない疲労)」があるのですが、現状では研究者さえ混同している場合が多く、疲労をめぐる学説は混乱しています。これらはきちんと整理した上で語られなければならないのですが、ほぼ一緒くたで語られているのです。
――一緒くたというと?
 たとえばわれわれは、世界で初めて疲労の原因物質(疲労因子)である「リン酸化elF2α」の発見に成功しました。ただし、「リン酸化elF2α」は生理的疲労の原因物質であっても、病的疲労の原因物質ではありません。同じ疲労でも、メカニズムはまったく異なるということを覚えておいてください。
――では、「生理的疲労のメカニズム」を教えてください。
 まずは「疲労感」の仕組みからお話しします。

 疲労感は「炎症性サイトカイン」という物質が脳に作用することで発生します。
――「炎症性サイトカイン」はがんと感染でよく耳にします。私たちの体が、がん細胞や病原体などの異物を察知した際、自ら炎症を起こして異物を排除しようとする免疫反応が作り出す物質ですね。
 炎症性サイトカインが脳に作用すると、脳は「疲労感」という形で「休みなさい」というメッセージを発します。風邪をひいた時などに、発熱して休みたくなるのはそのせいです。
「疲労感」は通常やっかいなものと考えられがちですが、実は体の危険をわれわれの脳に知らせてくれる重要な仕組みで、別名「生体アラーム」とも呼ばれます。こうした生体アラームには疲労感のほかに「痛み」もあります。
――では、「体の疲れ」はどうですか?
 われわれが発見した「疲労因子(リン酸化elF2α)」は、体の中で心臓、肺、消化器などの材料となるタンパク質の合成を担う「タンパク質合成因子(elF2α)」が「リン酸」と結びつくことで誕生します。タンパク質合成因子が疲労因子に変化してしまうと、タンパク質の生成量が減り、臓器の働きが低下したり機能障害が起きたりします。こうした疲労因子が増えることで起きる状態が「体の疲れ」の正体です。
 また、このリン酸化elF2αは、炎症性サイトカインを産生させる働きもあります。リン酸化elF2αによって産生された炎症性サイトカインが脳に伝わって「疲労感」を生じさせることで、ヒトは「体の疲れ」を知ることができるのです。
――疲労因子を測定できれば、疲労度が測れますね。
 そうですね。しかし、体中にできる疲労因子の数を数えるのは事実上不可能です。そこで開発したのが、疲労因子に反応して数が増える唾液中のヘルペスウイルスを数えて疲労度を測る方法です。
「抗酸化物質で疲れが取れる」は
疲労と老化の混同による間違い
――文献やネット情報では、「疲労を起こすのは活性酸素による酸化ストレス(活性酸素が増え過ぎて、活性酸素の産生と抗酸化防御機能のバランスが崩れること)で、細胞が傷つけられるからである」が定説になっています。
 それは間違いです。以前は、活性酸素によって体がさびつく(細胞が酸化する)と、それに対する免疫反応で炎症性サイトカインが出るというようなこじつけが行われていましたが、生理的疲労の場合、体のどこにも異物は存在せず、免疫反応も起きません。炎症性サイトカインは、疲労因子(リン酸化elF2α)によって発生します。
――体の中で免疫反応は起きていない。つまり活性酸素は疲労物質ではない、ということですか?
 はい。生理的疲労の仕組みは、体を動かしたときに細胞に負荷がかかる⇒乳酸が肝臓で代謝される⇒そのときに「タンパク質合成因子(elF2α)」がリン酸化されて疲労の疲労因子(リン酸化elF2α)になる⇒炎症性サイトカインが作られ、「疲労感」という生体アラームが発する。一方でタンパク質の生成が阻害されることで細胞の機能が低下し、臓器機能の低下や障害が起こる「疲労」状態となる、ということです。
 活性酸素は、リン酸化elF2αを作る原因の一つですので、疲労の原因の一部ではありますが、体をさびつかせて免疫反応を起こさせるという説明は正しくありません。
 ただし、「病的疲労」においては、免疫機能が関係すると考えられる疲労もあります。そこは分けて考えなければなりません。
――ですが、「タンパク質合成因子(elF2α)」がリン酸化されるということは即ち、さびつくということになりませんか?
 確かに、リン酸化は活性酸素によっても起きます。そういう意味では、活性酸素は疲労と無関係ではない。しかしながら、体内では体が動けば当然酸化物質が作られる。でも、だからといって、活性酸素が体に悪さをしているわけではない。そもそも、活性酸素が細胞を酸化させる話は「老化のメカニズム」。疲労のメカニズムではありません。
 ましてや、さびついた細胞が抗原になって免疫反応を起こすなんて言い出したら、生理的疲労は自己免疫疾患であるということになってしまいます。
栄養ドリンクは疲労感を抑えるだけ
「飲んだらきちんと休む」が鉄則
――栄養ドリンクやサプリメントの広告は今も、「抗酸化物質で過剰な活性酸素を除去する」ことが大切だとアピールしています。
 栄養ドリンクやサプリメントに入っていて、これまで疲労回復に効くとされていた物質のほとんどは「抗酸化物質」です。
 われわれは疲労の負荷をかけたマウスに抗酸化物質を与え、心臓、腎臓、肝臓、肺など全身の組織の疲労因子を測定してみました。すると、消えていたのは肝臓の疲労因子だけで、他の臓器の疲労因子は全て残っていました。
「疲労感」を脳に伝える役割を果たす炎症性サイトカインのほとんどは、肝臓で作られることが分かっています。そして、抗酸化物質で消すことができたのは、肝臓の疲労因子だけでした。他の臓器の疲労因子は消えていない。
 つまり、抗酸化物質によって抑えることができるのは疲労感だけで、体中の「疲労」はそのまま残る。
 それなのに、抗酸化物質で疲労感を抑えたまま働いたり、運動し続けたりしたらどうなると思いますか。無自覚なまま全身に疲労がたまり、ある日ぱったり倒れてしまう。最悪過労死に至ります。疲労感は、われわれの体を守るために「休め」と命じる大切な生体アラームですからね。
――昔ながらの、滋養強壮や疲労回復に良いとされる食べ物も抗酸化物質なのでしょうか?
 うなぎ、ニンニク、牡蠣(かき)、緑黄色野菜などすべて抗酸化物質です。ビタミンA・C・E、ポリフェノール、アスタキサンチン、リコピン、全部そう。疲労感は取れますが、疲労を取ることはできません。
――スタミナ食として頑張って食べてきましたがムダだった?
 そんなことはない。余計な活性酸素を減らしていこうというのは別に悪いことではありません。人間が生きていくためには、疲れていても働いたり、勉強したり、運動したりしないわけにはいきませんからね。
――今のところはまだ、疲労回復物質は見つかっていませんか?
 見つけましたよ。「ガンマーオリザノール」という米ぬかの成分と、納豆とチーズに含まれている「ポリアミン」です。あとは「ビタミンB1」も、不足すると本当に疲労することが分かりました。ただし、たくさん取れば良いというわけではない。
 しかも残念なことに、“地味”ですよね。ガンマーオリザノールもポリアミンもビタミンB1も、特に新しい成分というわけでない。うなぎやニンニクと比べても、パッとしない(笑)。
――確かに、疲労回復っぽいイメージは薄いかもしれません。
 そこも、疲労研究の難しいところです。
 ちなみに抗酸化物質で疲労感を取るのは悪いことではありません。脳に行く炎症性サイトカインを減らせば、「うつ病」の引き金も減ると考えられています。
――それは重要ですね。
 抗酸化物質で体の中の炎症性サイトカインを減らすことは、うつ病の予防にもなります。
 問題は、疲労感がないイコール疲れていないと思って頑張りすぎること。栄養ドリンクを飲んでも、ちゃんと寝て、休む日を作ること。そういう正しい使い方を広めたいと思っています。
 栄養ドリンクやサプリを好む人は、だいたいムリをしがちですからね。警鐘を鳴らさなくてはなりません。
(監修/東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授 近藤一博)
近藤一博(こんどう・かずひろ)
東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授
大阪大学医学部卒業後、大阪大学附属病院研修医、大阪大学微生物病研究所助手、スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー、大阪大学医学部微生物学講座准教授を経て、現職。同・疲労医科学研究センター教授を兼任。日本ウイルス学会評議員、日本疲労学会理事。





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最終更新日  2021.12.03 13:30:06
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