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関本洋司のblog

マルクス経済表(付マルクス直筆経済表)

基本文献として、マルクスのエンゲルス宛の手紙からの引用を載せます。(全集第30巻p289~292)
経済表に関しては、岩波文庫の旧版『資本論(十)』の扉に手書きのファクシミリ版が載っています。手に入らなければ、以下のサイトを参照していただきたいです。(注:その後、データ入手出来たので参考までに岩波文庫所収のマルクス直筆のファクシミリ版及び高木彰訳日本語版経済表を添付しておきます。'04.9/17記)
なお、身辺雑記の書かれた前段は略してあります。

http://www.marxists.org/archive/marx/works/1863/letters/63_07_06.htm
http://www.marxists.org/archive/marx/works/1863/letters/63_07_06.gif

後年の『資本論』の記述と比較すると、部類1が部類2に、部類2が部類1に、それぞれ入れ替わっているこ
とに注意が必要です(こちらは「再生産過程表式」と呼ばれている)。
かいつまんで書くと、
部類1(消費手段)
c(不変資本)+v(可変資本=労働力)+m(剰余価値)=p(生産)
部類2(生産手段)
c(不変資本)+v(可変資本=労働力)+m(剰余価値)=p(生産)
部類3(総生産)
c(不変資本)+v(可変資本=労働力)+m(剰余価値)=p(総生産)
1c+2c=3p
1v+2v=3v
1m+2m=3m
1p+2p=3p
1pは3v+3mへ、
2pは3cへとそれぞれ環流する。
単純再生産では1c=2v+2m
拡大再生産では1c<2v+2m
他の略称に関して書くと、
利潤は(p1=m-z-r)、利子は(z)、地代は(r)
労働手段は(Pm)、労働力は(A)
ここには書ききれないが、斜線部分はG- - - - -W-G'(あるいはG-W- - - - -G'?)と考えるとわかりやすいかも
知れません。
また上記、P(生産)及びP(総生産)はマルクスの表記に倣ったものですが、c+v+m=Vということで、大文字のV(価値)と表記すべきだったかも知れません。研究者の間ではW(商品)にするのが一般的ですが、、、、

///////以下引用/////////////////////////////////////
「マルクスのエンゲルス宛ヘの手紙」(1863.07.06)より
(中略)
 同封の「経済表」は僕がケネの表の代わりに立てるものだが、もし君がこの暑さのなかでもできるなら、い
くらか念入りに見てくれたまえ。そして、なにか疑念があったら知らせてくれたまえ。これは総生産過程を包
括している。
 君も知るように、アダム・スミスは「自然価格」または「必要価格」を賃金と利潤(利子)と地代とから構
成している- したがって全体を収入に解消させている。この不合理はリカードにも伝えられている。といっ
ても、リカードは地代をたんに偶然的なものとしてカタログから除いてはいるのだが。ほとんどすべての経済
学者がこれをスミスから受け継いでいる。そして、これに反対する経済学者らはまた別の不条理に陥ってい
る。
 スミス自身も、社会にとっての総生産物をたんなる収入(年々消費されうるもの)に解消させることの不合
理は感じていて、他方で各個の生産部門については価格を(原料や機械など)と収入(労働、利潤、地代)と
に分解している。そうすると、社会は毎年新しく資本なしで始めなければならないことになるだろう。
 ところで、僕の表について言えば、これは僕の本の最後のうちの一章のなかに総括として載せるものだが、
そこでは理解のために次のことが必要だ。
 (1)数字はどうでもかまわない。何百万かを意味するものとしてもよい。
 (2)ここで生活手段というのは、消費財源の中に年々はいって行く(または、この表からは除外されてい
る蓄積がなければ消費財源のなかにはいりうるであろう)すべてのもののことだ。
 部類1(生活手段)では全生産物(七〇〇)が生活手段から成っており、したがって当然のこととして不変
資本(原料や機械やなど)のなかにははいっていかない。
 同様に部類2では全生産物が、不変資本を形成する諸商品から、すなわち原料や機械としてふたたび再生産
過程にはいっていく諸商品から、成っている。
(3)上昇線は点線になっており、下降線は直線になっている。
(4)不変資本は、原料や機械から成っている資本部分だ。
可変資本は、労働と交換される資本部分だ。
(5)たとえば農業などでは同じ生産物(たとえば小麦)の一部分は生産手段を形成するが、他の一部分(た
とえば小麦)はふたたびその現物形態のままで(たとえば種子として)原料として再生産にはいっていく。だ
が、これは少しも事柄を変えるものではない。というのは、このような生産部門は、一方の属性から見れは部
類2のなかに現われ、他方の属性から見れは部類1のなかに現われるからだ。
(6)そこで、全体の要点は次のようになる。
 部類1。生活手段。労働材料と機械(すなわち機械のうち損耗分として年間生産物のなかにはいって行く部
分。機械などの未消費部分は真のなかには全然現われていない)は例えば四〇〇ポンドに等しい。
労働と交換された可変資本=一〇〇は三〇〇として再生産される。というのは、労賃を生産物で補填し、二〇
○は剰余価値(不払剰余労働)を表わすからだ。生産物は七〇〇であって、そのうち四〇〇は不変資本の価値
を表わしているが、この不変資本は全部が生産物のなかに移っており、したがって補填されなければならな
い。
 可変資本と剰余価値との割合がこのようになっている場合には、労働者は労働日の三分の一では自分のため
に労働し、三分の二では彼の天成の目上(natural speriors)のために労働する、ということが仮定されている。
 つまり、一〇〇(可変資本)は、点線で示されているよぅに、労賃として貨幣で払い出される。労働者はこ
の一〇○をもって(下降線で示されているように)この部類の生産物すなわち生活手段を一〇〇だけを買う。
こうしてこの貨幣は資本家階級1に還流する。
 剰余価値二〇〇は一般的な形態では利潤だが、これは、産業利潤(商業利潤を含む)と、さらに、産業資本
家が貨幣で支払う利子と、彼がやはり貨幣で支払う地代とに分かれる。この産業利潤や利子や地代として支払
われた貨幣はそれをもって部類1の生産物が買われることによって、還流する(下降線で示されている)。こ
うして、部類1の内部で産業資本家によって投ぜられたすべての貨幣は、生産物七〇〇のうちの三〇〇が労働
者や企業家や金持ちや地主によって消費されるあいだに、彼のもとに還流する。部類1に残っているのは、生
産物の過剰分(生活手段での)四〇〇と不変資本の不足分四〇〇とだ。
 部類2。機械と原料。
この部類の全生産物は、生産物のうち不変資本を補填する部分だけではなく、労賃の等価と剰余価値とを表わ
す部分も、原料と機械とから成っているので、この部類の収入は、それ自身の生産物においてではなく、ただ
部類1の生産物でのみ実現されることができる。しかし、ここでなされているように蓄積を除外すれは、部類
1が部類2から買うことができるのは、ただ部類1がその不変資本の補填のために必要とするだけの量であ
り、他方、部類2はその生産物のうちただ労賃と剰余価値と(収入)を表わす部分だけを部類1の生産物に投
ずることができる。こうして、部類2の労働者たちはその貨幣=一三三1/3を部類1の生産物に投ずる。同じこ
とは部類2の剰余価値でも行なわれる。これは、部類1におけると同様に、産業利潤と利子と地代とに分かれ
る。こうして、貨幣での四〇〇が部類2から部類1の産業資本家のもとに流れて行き、そのかわりに部類1は
その生産物の残り=四〇〇を部類2に引き渡す。
 この貨幣四〇〇をもって、部類1はその不変資本=四〇〇の補填のために必要な物を部類2から買い、この
ようにして部類2には、労賃と消費(産業資本家自身や金持ちや地主の)に支出された貨幣がふたたび流れこ
んでいく。そこで、部類2にはその総生産物のうち五三三1/3が残っており、それをもって部類2はそれ自身の
損耗した不変資本を補填する。
 一部分は部類1の内部で行なわれ一部分は部類1と2とのあいだで行なわれる運動は、同時に、どのように
して両部類のそれぞれの産業資本家たちのもとに、彼らがふたたび新たに労賃や利子や地代を支払うための貨
幣が還流するか、ということを示している。
 部類3は総再生産を表わしている。
 部類2の総生産物はここでは全社会の不変資本として現われ、部類1の総生産物は、生産物のうちの、可
変資本(労賃の財源)および互いに剰余価値を分け合う諸階級の収入を補填する部分として、現われる。
 ケネの表をその下に置いておいた。これはこの次の手紙で簡単に説明しよう。
 失敬
                                   君の    K・M
 ついでに。エトガル・バウアーは職を得た - プロイセンの新聞局で。
マルクス経済表(小)
マルクス経済表(日本語版)



追記:その後、別ブログ↓に補足説明を書かせていただきました。
(経済表の第一草稿が全体の1/10しか価値増殖過程に廻されないことを明記していることを指摘したものです。)
target="_blank">http://blog.livedoor.jp/yojisekimoto/archives/51701157.html


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