日本語教師のヨックン。

　大学のHPに次のような記事が載っていました。

12月9日，由日本??社日中交流研究所主?，日本国??大使?、人民日?社人民网、中日友好?会等?体支持的“第七届中国人日?作文大?”在京?行???式，我校外国?学院日?系08?学生崔黎萍、??、阮浩杰分??得大?一等?、三等?和佳作?。一等??得者崔黎萍同学作???学生代表在北京日本大使?文化中心?行演?，其流利的日?，?含感情的演?内容?得了各?体机?和学校的一致好?。

　昨年行われた「中国人日本語作文コンクール」で我が校の３人の学生が

　１等賞、３等賞、佳作を受賞し、

　北京の日本大使館での授賞式に参加したというニュースです。

　その授賞式で１等賞を受賞した崔黎萍さんがスピーチを行い、

　流暢な日本語と感情豊かな内容で、聞く人を感心させたと書いてあります。



　１等賞を受賞した崔さんと３等賞の劉さん、そして佳作の阮さんの３人は、

　ともにクラスメートで、１年生と２年生の時は私が担当した学生です。

　そして崔さんと劉さんの作文は、私が指導したので、

　彼女らが今回のような栄誉を得たことは我がことのようの嬉しいです。

　ちなみに阮さんは去年のスピーチコンテストの華中大会で優勝し、

　日本に行って首相官邸を訪れ、菅首相（当時）と話をしたという学生です。



　崔さんは決して活発な人ではなく、むしろ人見知りが激しくて、内気な学生でした。

　それでも１年生の時は、本来週に１度出席すればいいはずの私の授業を

　毎週３回、必ず聞きに来てくれました。

　　　　　　　　　　
　崔さんと彼女の友達。



　３年生になって、私のクラスから離れた後で、彼女からメールが届きました。

　そこには彼女の悩みが書いてありました。

　それは会話が一向に上手にならず、言いたいことが満足に言えないという悩みでした。

　それから毎週３回、昼ご飯を食べたあとの昼寝の時間に１時間、

　私と彼女の二人で、校内を散歩しながら、会話の特訓が始まりました。



　簡単な日常会話をした後で、私がテーマを与え、

　そのテーマに従って３分間、彼女が自分の意見を話すという練習でした。

　彼女が話した後で、単語や文法の使い方を教え、

　内容についても、お互いに良い点、悪い点などを検討しました。

　それ以外にも勉強の悩み、高校や子供の頃の思い出、恋愛問題など

　話題は多岐にわたりました。



　１週間に３回の会話練習を３か月間続け、

　彼女は「会話に自信が持てるようになりました」と言えるようになり、

　その後は、それまで緊張して訪ねることができなかった他の日本人の先生の部屋を訪ねて、

　会話を楽しめるようになりました。



　その彼女が、先学期、書きかけの作文を持って「作文を直してください」と言って、

　再び、私の部屋を訪ねてきました。

　その作文が、今回、全中国で１等賞を得ることになる作文でした。
　
　そして作文が受賞して、今回、日本大使館でスピーチをすることになった時も、

　やはり彼女はふらりと私の部屋にやって来て、

　感動的、印象的なスピーチ原稿を二人で作り上げました。

　今回、日本大使館で彼女がスピーチしたのは私たちが共同で作った原稿です。



　彼女は喜びを素直に表現することを恥ずかしがって、

　時に素っ気なく見える態度を取ることもありますが、

　彼女が私を信頼してくれているというのはよくわかります（自惚れかも？）。

　女の学生にいつも傍にいてベタベタされるのは、私も苦手ですし、

　しょっちゅう部屋に来たりされれば、他の学生に示しはつかないので困るのですが、

　つかず離れずという彼女のそんなクールな態度は、

　なるほど崔さんらしいなと、逆に微笑ましくもあります。



　１年生の時に「あいうえお」から教えた学生が、

　進級するたびに、悩みを打ち明けてくれて、何かあるたびにチャレンジして、

　助けを求めてくれるというのは、教師にとって、やはり嬉しいものです。

　大学のHPに載っていた彼女の記事を読んで、とても誇らしい気持ちになりました。



　彼女は今、中国で最難関とされる大学の院生試験のために勉強漬けの毎日を送っています。

　彼女が自習している机には、彼女の手書きで

　「当たって砕けろ！」と書いてあります。

　彼女と会話の練習をしている時、私が教えた言葉です。



　そこに、私はこう書き加えておきました。

　「当たっても砕けるな！」

　頑張れ、崔さん！