0歳から小学生までの読み聞かせ絵本

2006/11/04(土)00:00

人間は可能性の塊(かたまり)★『キャプテンはつらいぜ』を読み返す

書店員のつぶやき(60)

このブログでかくべきかどうか迷ったんですが、 やっぱり、いい本だったんで紹介させてください! 『キャプテンはつらいぜ』って読んだことありますか? 昭和40年代生まれ以降の人は、ご存知かもしれません。 現在30歳代の人には少年少女時代がリアルに描かれているんで なつかしいな、と感じるはず。 最近、また復刊されたので、改めて読み返したのですが、やっぱりいい話ですね。 今の子どもたちには通じるテーマなのかな、 と心配だったのですが、 僕の店でも順調に売れているし、 図書館の検索サイトを見てみても、 結構、貸し出しに出ていますね。 小学校4年生くらいから十分楽しめる内容なんで、 このブログではオススメ本ではなく、 「ほのぼの日記」というカテゴリで紹介させてください。 時代は昭和50年代。 インベーダーゲームなどが登場するんで、そのくらいの頃でしょう。 不良とかツッパリも登場します。 一言でいうと野球を通しての少年少女たちの成長物語です。 オンボロ少年野球チーム「ブラックキャット」が困難に立ち向かいながら勝ち上がっていくというお話。 知らない方のために登場人物を簡単に紹介します。 長谷川勇(はせがわゆう):主人公。小学校5年生。運動神経抜群。ブラックキャットのキャプテンに選出される。自宅は中華料理屋「たこ松」。学習塾「麦塾」に通う。 秀治(ひでじ):不良と交流し、ぐれているが、勇の熱心な誘いでブラックキャットに入団。剛速球投手として活躍。 ゴロさん:おんぼろ学習塾「麦塾」の塾長。のっぽでやせ。25歳。教師を目指し、浪人中。ブラックキャットのコーチ兼精神的支柱でもある。不良仲間から秀治を奪還。 ケン:秀治の不良仲間。応援団長として活躍。 ゴロさんっておんぼろ学習塾の塾長がいい味だしてるんですよね。 夏休みの宿題をやらない秀治に、ゴロさんがいった言葉が、 どうして人間が学び続けるのかということを わかりやすく諭しているシーンがあるんですけど、考えさせられますよ。 以下引用。 「夏休みの宿題の話題が出た。 『宿題なんてどうでもいい』 という秀治にゴロさんはおっかない顔をしていった。 『勉強ってのは、大切なんだ。勉強ってのは人間の智恵だからね。 勉強するってのは、人間の智恵を自分のものにして、人間らしい生活を求めていくことなんだぜ』 『野球だって、人間の智恵が生み出したものなんだぞ。 ばかはばかなりに生き延びていく、なんて、そんな、人間を馬鹿にした考え方から、 どうしてスポーツが生まれてくるんだ。 いいか、秀治、俺たち、みんな、人間としての可能性の塊なんだぞ。 おまえがエースになったのも、ケンがコーチになったのも、 そのでっかい可能性のほんの一部なんだ。それがすべてじゃない。 勉強を馬鹿にしたり、あきらめたりするのは、 自分の可能性を、自分でつぶしてしまうことなんだぞ。 自分で自分をつぶすなんて、そんなひどい話はないだろう? 俺たちの将来、ほんとの人間の生活は、 もっともっとひろびろとして、でっけえものなんだ』 引用おわり いかがですか? 勉強するってことを 根源から考えさせる文章だと思いませんか。 児童書って、 ディープな世界なんですよ。

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