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歌集 『花野』





『花野』

精一杯 明るい言葉選んでる もう会えぬ君への暑中見舞い。/ochikuchan

限りなき迷いの果てに花となりぽつりとひらく白い朝顔/みのり

宵山に 父の姿を 探す我 画面越しでも 絆は深く/かをり  

はらはらと落つる涙は桜樹にまた吸いゆかれ花を咲かせり/みのり

強い風 旅立ちの時 今来たと洗濯物の 声聴き走る/hitty

淋しさを折って重ねる千羽鶴都会の隅に月傾きて/kazabana

そうだった!今日は銀行行かなきゃね懐の中 さみしかるがる/みの字

この思い 届けと贈る バラの花 男はただの 花と思いし/かをり

夢を見る 街の唄声 さそわれて今夜もハートに カメラをむける/Taku

お隣さん 長年親切 アリガトさん 別れは辛いが また逢う日まで・・/rei-rei

海の中 息子と顔を 見合わせて 同じ魚に 見とれてた/Taku

吹かれくる 木犀の香に 振り向きて 想い遥かに 夕暮れの秋 / syuusui
底のなき秋天に消ゆる面影は木犀の香に淡く振り向く/返歌・蓬

銀の花、香る姿もひそやかに 隠した想い 金に輝け /春姫

黒髪の うなじによせる 温もりに まだ見ぬ君の 言の葉にのせ・・・☆ /syuusui
言の葉にできぬ想いはゆるゆると束ねし髪のほつれにやどる/返歌・蓬

目に見えぬ 胸に刺さりし 棘ありて薔薇の色にさえ こころ踊らず/syuusui
はなやかに語ることなき日々なれどをりふし揺るる秋咲きの薔薇/返歌・蓬

白百合が少し苦手になりました受胎告知を受けたその夜は/ジャック・ローズ

どことなく儚いまでの美しさクリスマスに酔う街の灯りよ
イベントを欲しがるだけの恋ならば いっそ独りでイブを迎えん
プレゼント欲するだけのクリスマス何を祝うか忘れたまま
もしかして日本人だけかもしれず これで良いのか この乗りの良さ /夢野華

過去だけが輝くひとは別れどき誤ったひと 今日過去にする
降りしきる雪に埋めよ思い出は雪解けを待ち花開くのだ
この雪は君の街にもきっと降る別れたけれど愛は溶けない/J

静けさに眼を醒ませば窓の外は白い真綿にほっとする朝
青春を疾風怒濤と詠む人も今は亡く虫干しの日に涙こぼれん/すたじょん

穢れなき身にはなれぬと知りつつも心のリセットボタンを押す/椿詫助

ぼたん雪 つないだ指に ひとひら溶けて見つめる君は 赤鼻のトナカイ/hitty
 
街角に寒風そよぎ椿咲く 頬打つ風や早右廻り
色あせた黄色てぬぐい肩にさげ つるりや滑る汗ひとしずく
恋心芽生えし育ち行く末の 文字のみ残しこれ神隠し
いくとせの花の遅きや夕闇に 流れ流れよ草船浮かし
湯気香りあたたかさだけ伝えてよ ぬくもり抱くダージリン紅茶
薄氷に映る我が身よ自宅かな 陶器あれども刺し花は無し/ひょうたん

男なら言うに言われぬ愛もある夕餉口実時を味わう/ジャック・ローズ

金使う受験の波にこんとんと なぐさめ出そう子孫のために/ひょうたん

若獅子が風に向って走り去り母は優しくただ見送って/萌野

芽吹き前体温に似たほの赤い生命の息吹は幹迸る/ジャック・ローズ

晴れわたる富士の雪にも孫の歌 いくとせ経ちて祖父偲びいり
三月の桜咲く花見届けず 空ゆく顔のやすらかなこと/ひょうたん

魔法使いの本を薦める君の眼が私に解けない呪文をかけた/ジャック・ローズ

アルバムの最後に挟む花の色褪せてもやはりオンリーワンね!/萌

笑わせて次の余波には引き締まるくちびる そろそろ本音を吐こうか/J

赤飯を 幾度となく炊いたけど 淋しい気持ちで 薄い紅色 /南風

愛は砂糖菓子に混じった真砂さへざりりと噛んで眠れぬ夜も 
重力に抗わないのわたくしは枝垂れ静かに散る藤の花 
覚えてる最初はまだ雪降る4月あの日我らは姉妹になった 
藤棚を潜れば我が身浄化せんとばかりのむらさき聖母は微笑(わら)う 
愛すると云うは易しき嘘と蜜恋盗人の罪も知らずに/J

繋がらぬ言の葉一つ打ち惑いうそうそ時の春ぞ去り逝く/萌

お狐の嫁入り紅は桜花今宵は小糠雨になるでせう 
歳月で磨り減るピースそのひとつを我にしっくり合わせる儀式/J

陽射しある道を歩めと説く母の面影深き笑顔を思ふ/萌 

病得てなおひた隠し母ならば知りたかろうか伏せるのも愛 
母の肩さりげに抱けばやんわりと剥き卵のやう滋養に満ちて
手負い熊は何時暴れるかその指の疼き最初に私を狙え/J  
     
コウノトリ運んでおいで妹を 両手で包んで私はゆりかご/ 南風 

ひとりごと うつる季節に春かげらふ 迷ひ心か左利きの歌人
駄々椅子夢 星月夜さえ酒の肴孤独の毒は花で癒さん/(す)

アスファルト舗装を染めて杏子花散るなり都市を白く埋めよ/明鏡

山里に梅雨やけむりて白きかな 栃谷の水もまた美味しけり/ひょうたん


かけがえのない実になれと願いつつ/syuusui
散りゆく花の音もなき色/蓬   
                        
遠き日に君に尋ねし花の名は/蓬      
想ひ遙かに赤きチトニア/syuusui   
                           
愛された記憶を持たぬ幼少期/みのり
形ばかりの名に意味はなし/syuussui
 
我が歌は三十一文字のひとり言/みのり
形ばかりの名に意味はなし/syuusui
 
平凡を嫌ってつけたハンドルの/蓬
形ばかりの名に意味はなし/syuusui   
                           
船 出 前 逢 瀬 見 透 か し 夜 這 星/月
重 ね 重 ね の 菊 の 盃/蓬

水鏡知るや知らずやほてい草/蓬
コントラストに淡き想い出 /自休  
   
水鏡知るや知らずやほてい草/蓬   
夏の陽炎泳ぐは金魚/萌野 

橙のおぼろき光近くとも 火星の大地踏むわけもなく/ひょうたん

ひとひらの花の舞い来て手のひらに希望のようにそっと息づく/回覧板です、、、
君のそのどこか寂しき紫木蓮咲かせるわけは問はずにおこう/蓬
かねてより二人で歩く公園の入り口に咲く紫木蓮かな/回覧板です、、、

夕暮れに映える横顔大花野/回覧板です、、、
   うつむき加減の影携へて/よもぎ

夕間暮れ凌霄花は咲き乱れ我の気も狂れ後はみちづれ/柊

有明の月も見えない秋が過ぎ ひとつふたつと恋蛍飛ぶ/萌

秋の薔薇一歩先しか見えてない/Jiq
    君のコロンを髪に残して/yomogi

半月の見えぬ片身をもとめむとさまよふ心闇にのまるる /合歓

恋の痕 つい振り向きし 金木犀/SepiaMoon
    花のありかはそのままにして/よもぎ

木犀や 夢の残り香 身に纏い ブルーの服で逢いにゆくひと/織姫

わが肩を借りて眠りし君なれば柚子の香匂ふこの終電車/回覧板です、、、。
ペディキュアを塗る時ちょっと目くばせで友を帰せとせかせる合図
うなじには「好き」と書いてはあるけれどうしろ向いたらすねているまま
みどりごの握るわが人差し指に生きるちからをしらしめにけり
下総の月光したたる湖に牡鹿一頭渡りゆくなり

老犬と言う友ありて息荒く自転車を漕ぐその友のため/回覧版です、、、。

老犬と分け合いており小春空/蓬
日影の風は骨まで沁みて/休

口ずさむ奇跡の唄がまたひとつ/織姫
えのころぐさを揺らしているよ/蓬

鴎とはいかにまなこの鋭きか銚子港に船帰り来る/回覧板です、、、。
神様が最後に摘むと伝説の谷に白百合根を深々と
逆縁の墓の椿は色極め姉妹二人が水を汲みをり
花嫁は花たばを抱き深々とこうべ垂れしを面影に抱く

栄光はかつての夢と天仰ぐライブハウスの空席の数/彩子
背もたれの螺子が1本錆びた椅子はつ恋破れへたりと座る 

水澄みてかわるがわるに水汲めば濃き青空を水映すなり(松雲の茶席にて)
ひとつのみキャッシュカードの残りたる今日逆縁の命日迎ふ
先頭を走ってテープを切る人に百番遅れの愛する人よ/回覧板です、、、。

アラームはミスチル・ヒーローオルゴール 二度と鳴らないキミの着メロ
今日からは待つこともないメール音 君に知らせぬアドレス変更/Sepia

歌詠みの母を追い越す優しい子 
 翌檜(あすなろ)伸びて 只真っ直ぐに/萌

すこしだけ春の予感がほころびて花屋の前で待ち合わすなり/回覧板です、、、。

金色(こんじき)の梯子は神とその供のたましいを連れ君へと下る/ 彩子

悲しみのなかに幸せ見つけ出しそつと小指を撫でては包む/回覧板です、、、。
夕焼けの海の空よりゆっくりとひとまわりしてトンビ消え行く(応援歌♪)
腕撫でて忘れられないぬくもりを思い返せよさくら散る夜
雨の朝むこうのホームに佇みて三年ぶりに手を振る君よ
百万の向日葵のなか初恋のノースリーブを追いかけてゆく

太宰ほど純粋で無い恋心カタカタと鳴る下駄の音追う/萌

ほおづえをついてあいづちうちながらぼくのよわさを探しているね/回覧板です、、、。
もうだれも来ることはない領域にひかりをまとい蒲公英は咲く

帰ろうと言う人もなく夜桜の人に混ざりて来る犬を呼ぶ/回覧板です、、、。

髪切りしことに驚くまなうらに細き指よりその髪貰う/回覧板でし、、、、。

地下街の花屋で冬の薔薇(そうび)買うこのまま五十になってしまうか/ひぐま

キュンとなる恋の余韻の迷路にて君の迎えに胸キュンと鳴る … せぴあ。

或る人にお久しぶりと言ひたくて金木犀の花を携ふ /海辺の犬

聖夜には雪ふり積もるかなたにてポリ―が地上の友を自慢す/ひろかた

闇深く音たて落ちる屋根の雪新年想う胸に響いて/SOU

ひとときの 逢瀬もさびし天の川 雲に隠れて 織姫かなし/いととんぼ





   
  





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