『花調べの巻』
しりとり連句『花調べの巻き』
<表六句>
発句 ゆきずりに口ずさむ歌花調べ/彩子 秋
脇句 ベッド抜け出し潤むペガサス/自休 秋
第三 スケジュール溢れ木の葉の散り敷きて/織姫 秋
てるてる坊主は八面六臂/翔子 雑
月の定座 ピリオドを迷うことなく寒の月/蓬 冬
表折端 幾何学模様描く琴の音/萌野 雑
<初折 裏十二句>
折立 ネロのごと振る舞う君に猫の顔/friendly 雑
オーデコロンはカモフラージュ/ととろ 雑
ジュ・トゥ・ヴとささやきみつめる万華鏡/青鷲 雑
狂気にも似た恋紅蓮花(ぐれんばな/彩子 夏・恋
内蔵の防御装置が僕の敵/織姫 雑・恋
きらきら星の連弾演奏/蓬 雑・恋
月の定座 うす衣抜け殻と化し月残る/ととろ
盧遮那仏おはす春日奥山/翔子
マーラーの大地の歌を愛(かな)しべて/萌野 雑
手を見て告ぐるその思いを/青鷲 雑
花の定座 おくびにも 妻だと言わず 花の宵/friendly
折端 色を抑えど 香たつ霞/櫻香 春
<名残の表十二句>
折立 水色の 殺意で包む 別れ霜/ 翔子 春
モンテカルロに客死の佳人/彩子 雑
「んだんだ」と頷き返し洟啜る/蓬 雑
縷々降り積もる白銀の精 /青鷲 冬
韋駄天のお正も両性具有/自休 雑
運と嘘こそ愛のテクニクス/露 恋
忍冬千切る香満ちて恋一夜/彩子
余裕とみせて嫉妬の蛍/friendly
留守電を おもむろに聞き 銭湯へ/ 萌野
平身低頭 早や風の立つ/蓬
月の定座 強がりの 机上に月の 煌々と/翔子
折端 疾く訪れぬ野分の香/青鷲
<初折 名残 六句>
折立 両極の迫間に居ては答えなし/櫻香
尻に帆かけて逃げるひょっとこ/露
ことさらにマニキュアの色紅くして/友
テーブル回し探る好物 /織姫
花の定座 突き通す老妓の意地か祇園花 /萌野
挙句 流し雛みる 君に口づけ/櫻香
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