2004/12/31(金)01:21
近作紹介
どうにもならぬ
午前九時さあて自分の時間だが散歩にでてもたぶん近道
ゴムの木に歌を聞かせるそのひとは「いいね」とたまに笑つてくれた
詩人にはなれさうもなく汗をかくことも嫌ひだへのへのもへじ
つめを切り前髪も切り風をきる ふゆの朝にひかる自転車
一本の樹木のやうに立つてみる小鳥のやうなひとに会ひたくて
雨音に囲まれてゐる静けさと『いま長靴をはいてゐること』
アルバムのどこを開けても犬と子とわたしが明日を知らず笑まへる
降るならば降ればよからう開かれて傘はひとりの虚空をつくる
『眩』第六十二号 2005.1
*『いま長靴をはいてゐること』 浜 守 第五歌集
読むでなく書くでもなくて元旦の夜ふけかがまり足の爪きる
柿の木の伐り株見つつ意識せりいま長靴をはいてゐること
地に着きて消ゆる楽しさあるやうに次からつぎへ降る牡丹雪