柔らかな感性
「ホンのちょっとした変化を見逃さない」「わずかな言動のちがいに気づく」「相手の心の奥底にあるものを見る…」etc.私たちに今求められているのはこうしたわずかな変化に気づける柔らかい感性ではないでしょうか。10代の少女らが中心になって、87歳の資産家の男性から1400万円あまりを脅し取っていたというニュースが流れました。「世も末か!今どきの若いもんは金のありがたさを知らねえのか…」とどつきたい気持にもなります。一方、この少女らが大金を持って豪遊するのを間近に見ていたタクシー運転手がいました。「おかしいな!」と思いつつも、そこから先へは踏み込まなかった。たぶんほとんどの大人は「どこか金持ちのところの娘だろう…」ぐらいにしか思わないでしょう。しかし、あえて私はほんの小さな変化に気づける柔らかい感性を持とう!と言いたいですね。ある建築設計会社の社長がこんな話をしてくれました。社員との会食の席で、社員がひんぱんにトイレに行くので「具合でも悪いのか」と聞くと「いえ、大丈夫です」と言う。何度も聞くが同じ答え。きっと疲れているのだろうと思い「家に早く帰って寝たら…」ということでタクシーまで手配してあげたのだそうです。しかし、それでもこの社長はどこか気になったというんです。顔色の悪さ、汗の出方などから単なる疲れではなく、何らかの重大な病気の前兆ではないかと思い救急車を手配したんだそうです。この機転の良さがこの社員の命を救いました。救急車の搬送先で「心筋梗塞」を起こしてると言うことで即刻治療を施してもらい、一命を取り留めました。もし、あのまま家に帰っていたら間違いなくもうこの世にはいないはず。何と言っても心臓病は時間との闘い。6時間の壁を超えてしまったらまず命はないんです。ほんの些細なことに気づいたこの社長のお手柄ですね。少女たちが派手に金を使う場面に遭遇した場合、「変だな」と気づきそして何らかの具体的な手を打つ。そんな大人になりたいものです。それにはかねてから世の中を漠然と見るのではなく、注意深く観察する感性が必要ですね。