『天使の背徳』 アンドリュー・テイラー『天使の背徳』ロンドン郊外の町・ロスで牧師をしているディヴィッドは娘・ローズマリーと二人の生活を送っているが、ブァネッサに恋をする。 だが再婚してから、ディヴィッドの生活はゆっくりと壊れていく。 1970年代の小さな町の教会を中心とした人々の生活が丹念に描かれていく。 最初は小さな歯車の狂いが、やがて修復不可能なまでになっていく。 起こる事件の犯人はディヴィッドではないが、外面は寛容な牧師である彼が、実は心の奥に隠し持っている願望を、“犯人”が行っている、とも読める。 そして『天使の遊戯』で誘拐される少女がどうしてルーシーでなければならなかったのか、が分る。 ところでラストで、ディヴィッドが「起こったことの責任は私にあるのです。」というのに対し、彼の霊的指導者たる存在のピーターは否定する。 でも私が思うには、やっぱりディビッドに問題ありありかと。 これで荷を捨てて、先に進みなさいと言われるなんて、牧師さんてなんて甘い職業なんでしょうと思ってしまいますよ。 三作目の『天使の鬱屈』を読んでいない段階でこんなこと言うのもなんですが、確かに二作とも一つの完結した話ではありますが、やっぱり一作目から順番に読んだ方が数倍面白いと思います。 お薦めです。 『天使の鬱屈』は英国推理作家教会(CWA)のヒストリカル・ダガー受賞作。 早く読みたいです。 ジャンル別一覧
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