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よろず屋の猫

銃とチョコレート 乙一著

ホラーの鬼才、天才・乙一の始めての童話。


・・・らしいんですが、小さいお子さんにはちょっと殺伐としすぎてるシーンが・・・。



化学工場から出る煙と排水で汚染された、リンツの町は貧しい。


リンツはその中でも更に貧しい移民の子供だ。父が死に、母と必死にその日を暮らしている。

けれどリンツは、時に不良少年のドゥバイヨルにいじめられたりもするが、子供としての生活を謳歌している。

 

そんなリンツ、いや国中の子供達が今最も興味あるのは、“怪盗ゴディバ”と“探偵ロイズ”。

次々とお金持ちから高価な品物を盗む悪党・ゴディバを、正義の味方のロイズがきっと捕まえてくれると、ワクワクしながら待っている。

リンツは父親が生前買ってくれた聖書に、地図が挟まれていることに気付く。

そこには風車の絵、それは新聞社で働いているマルコーニから聞いた秘密情報・・・ゴディバが現場にいつも残しておくカードに描かれている絵・・・と同じだった。

これはゴディバ逮捕に繋がる情報だと、リンツはロイズに手紙を送る。

間もなくして、ロイズがリンツに会いに来てくれる。

地図を見てロイズは、これはゴディバが盗んだ宝物を隠した場所を示していると言う。

その矢先、地図が盗まれてしまう。

 

ところがロイズと言うのは、国民が政府に不満を持たないように、お金持ちから財産を奪うゴディバを悪者にし、それに対する正義の者として、政府が作り上げた傀儡なのですね。

このロイズも悪党だったりする。

物語は怪盗と探偵の話ではなくて、ゴディバの宝物を探す冒険譚です。

登場人物の名前はチョコレートに関係したもの、これだけでも楽しいです。

 

ひらがなが多く、漢字にも読み仮名がふってあるんですが、途中まではこれは子供向けの体裁をとった大人のための小説なのかなぁ、とも思いました。

何せ登場人物が本気で人を殺す気満々なのですよ。

それも自分の命を護るために已む無くとかではなくて、生かしておくと自分の不利益になるからって理由なんですよね。

もっとも作中で殺人が出てくるのは一度だけ、それは自己防衛の為なので、この辺りをどうとるかで、子供に読ませて良いものかどうか、判断が分かれるかな。

ドゥバイヨルは児童文学に出てくる悪ガキの枠を越えてます、現実にいたら即逮捕ものです。

その彼が途中からはリンツサイドの人となります。

こうなると、実はドゥバイヨルは良い子だったなーんてなりがちですけど、この物語ではそんなことはありません。

徹底して人間として最低の奴です。

この作者がドゥバイヨルを最低の奴にしておいたことが、最後の方で効いてくるんです。

リンツはドゥバイヨルの性格を考え葛藤するシーンがあります。しかし人として正しい行為を取るのです。

葛藤し、それでも正しい行いをすると言うことに、私はこの物語に良さを感じました。

 

ロイズに疑いを持ち始めた頃から物語が加速度的に面白くなってきました。

宝物を廻る争いは裏切りとどんでん返しの連続です。

リンツはいたって普通の子です、超人的なものがあるわけではないです。

悪党のドゥバイヨルやリンツも、読んでいるうちに魅力的に思えてくるから不思議です。

そしてリンツのお母さん、おじいさんがとても素敵な人です。

 

リンツは最後に、お金持ち達から奪った高価な品よりも、リンツにとっては素晴らしいものを手に入れます。

それはリンツがこの宝物探しの冒険に導かれた理由でもあったのです。。

 

「君に冒険を与えたかったんだ。胸のワクワクするようなやつを。」

 

 



登場人物の名前のチョコたち・・・上からリンツ、ロイズ、ゴディバ。ドゥバイヨルのチョコは楽天では扱ってないようです。

その他にもいろいろな名前が出てくるので、チョコ好きには楽しい。







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