よろず屋の猫

一時は少女マンガの傑作!!とすら思い、新刊の発売を心待ちにしてた『フルーツバスケット』ですが、他の方のサイトで貼っていた“ブックランキング”でチラッと目に入らなかったら、23巻の発売に全然気が付かなかったでしょう。
興味がなくなると言うのは恐いものです・・・。

その23巻、一言で言えば、面白かった!!です。

フルバを面白いと思って読んだのは久しぶりです。

と言うことで感想です。

あ、その前に、

誰でも良いから、一瞬の間だけ“大人”を捨てて

紫呉を一発殴れ!!。




呪いが解けた十二支たちを本家に集めた慊人は、紫呉のプレゼントの着物(女物)を着て皆の前に現れる。
謝罪の言葉は言えなかった、けれど当主として草摩に残り、皆の本当の自由を守ろうと思う。
自分に対する本当の気持ちが分かった紫呉と共に。

由希は遠く離れた大学へ進学。
夾は将来の為に、離れた土地で働き、その土地の道場に通うことを決め、透も夾について行くと言う。

別れの時がせまり、思い出をかみしめる皆。

そして透と夾は一緒に手をつないで、歳を重ねていく。


相変わらずの透マンセーが鼻につくとか、
罪滅ぼしはして当然、その前にきちんと謝罪はしときなさいよ、大人なんだから、慊人とか、
絵の劣化がひどすぎてせっかくの女性の着物姿が綺麗に見えないよ、慊人(あ、でも「当主なんだから。」と言うシーンは背筋をピンと伸ばして座ってて良し!!)とか・・・、

不満がないわけじゃないですが、フルバもこれでおしまいと思うと、まっ良いかって思っちゃいます。
感無量と言うか、何と言おうか・・・。

いろんな問題が一応一段落ついた後の巻なので、コメディー仕立てで初期の頃を思い出させます。
その中に高屋先生お得意の心情表現が入ってきて、
これ位のバランスが好きだなぁ、私は。

十二支たちも皆登場、それぞれの性格にあったギャグで笑わせてくれます。

中でも花ちゃんと綾女は魅力全開!!

特に綾女は、出発する透に贈り物を荷造りするシーンが良いです。
私も親なので、綾女のセリフにはグッと来ました。

この巻でやっと今日子の「許さないから。」の本当の意味が明かされますが、うーん、ちょっと無理があるかも。
こじ付けの感もあり。
どうしても夾を誤解させるセリフが必要だったんでしょうけど、ここで「許さないから。」の言葉は普通は出て来ないと思う。

それでも今日子が死んだ後、勝也との思い出の海のシーンに移って、今日子も中学生に戻っていて、勝也が手を差し伸べる。
“がんばったね”の言葉が書かれた海の絵には、胸があつくなりました。

透と夾が明日旅立つと言う日、由希と夾は「バカ猫。」「バカねずみ。」と言い合い、しかしかつての険悪な雰囲気はありません。
由希は夾に、透と二人っきりで話したいと言う。

由希は透に、自分の思いを話し、何度も「ありがとう。」と言い、そして始めて「透。」とその名を呼ぶ。
母として求めていたものから解き放たれた証。
『フルーツバスケット』は透と夾の、そして由希の物語だったのだなぁと改めて思いました。
不覚にも涙が出そうになっちゃいましたよ。

さて、その後のお話として、子供が出てくるのはよくありますが、何と孫登場です。
透と夾は、おばあさんとおじいさんになっても、手をつないで一緒に歩いているのです。

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高屋先生は感情表現がメチャクチャ上手い方だと思います。
アップで静止した表情や、時には下を向かせたり、背を見せたりしてあえて表情を隠したり、相手を求めて伸ばす指や、風に吹かれて揺れる髪、木の葉や、陽の光、花。

セリフだけに頼らないこの心情表現が、『フルーツバスケット』と言うマンガを魅力的にしていたと思います。
少女マンガと言うのは、結局のところ、この心情表現があってこそだと思います。
最近、セリフ頼みのマンガが多いですが、こう言うところは失って欲しくないなぁ。

もう一つ、マンガが絵でこれだけ出来るんだから、アニメももちっとがんばれ!!、と言いたい。
(↑まるで特定の作品に言ってるかのよう・・・。分かる人にはわかっちゃうでしょう。)


フルーツバスケット　ファンブック『宴』
書き下ろしマンガが入っているそうです。