よろず屋の猫

首を長くしてお待ちしてましたわ、の『CLAYMORE』の新刊・15巻の感想です。




聖都ラボナに離反者のガラテアを追ってやって来たクラリスとミアータ。
そこで覚醒者・アガサが姿を顕にする。
そしてクレアたちが登場と言うのが前回まで。

えっと、このマンガのバトルシーンって動きが余り描かれてないので、迫力と言う点では今一なんですよね。
それと同人の香りがする系統のマンガに、一枚絵の決めポーズがメチャクチャカッコ良いと言うのがあるのですが、そう言うのもない。

おまけに何がどうなってるのか良く分らないところもある。

にも係わらず、面白いんだな、これが。

先ず私は覚醒者のデザインが好きなんです。
今回は紐をより合わせたような身体をしている。
↑自分でもあんまりな表現だと思う。大きな木の根がねじりあってるのが人間の形をしていると思ってもらえば、近いかも・・・。

でも本体は人の体と大きさが変わらず、それも場所を察知されないようにと流動的。
と言うので、斬ってはシンシアがどっちに本体がいるかを感知し、また斬っては・・・と核の本体にまで小さくしていく。
ここのシーンは分りやすいし、面白かったです。

それと戦いの中において、各キャラをちゃんと描いているところが、面白いと思う。
アガサの触手を斬ったクレアが、「技の名前だけは教えてやる。北の地に散ったNo.8の戦士フローラの最速の剣・・・風斬り。」と言うシーンがあって、こう言うのは、そのフローラが散って行ったシーンを思い出したりして、ファンにはたまらないのです。

で、アガサは退治。
クラリスはクレアたちを斬れなくなってしまう、組織の命令は絶対なのに。
まぁ、斬りたいと思っても、斬れるとは思えませんが。

それでミリアは「戻らなければ良い。」と言う。

ミリアが語る組織の真実。
まともな事やってるところではないだろうなと思ってましたが、妖魔は組織の中から生まれていると言う驚きの事実が。

この大陸以外はないと思っていたが、実はもっと大きな地上が存在していて、そこでは２つの勢力に分かれて派遣を争っている。
一方が龍の末裔と言われる人外の種族を仲間に入れた。
これに対抗すべく開発されたのが、人自体を変化させ化け物に変える悪魔の兵器。

この大陸は覚醒者の実験場。
最終目的は制御できる覚醒者。

アリシア・べスもリフルやイースレイに対抗する為ではなく、龍族と戦う為につくられた者と言うわけですか。

ところで覚醒者 vs 龍族の絵があるんですが、これがまた良いのですよ。

で、クレア達は組織との戦いの前に、心の清算の期間をおくことに。
クレアはラキを捜す旅に出る、二人のお守りをつけられて。

そのラキ。
私はアニメが先だったので、どうもラキが好きではないんですが。
すっかり大人に、一応美形、好みのタイプじゃないけど。
そしてクレイモアでもないのに、妖魔が倒せる。

キャラの表情が今一なのも、このマンガの残念なところになんですよね。
ラキが、ずっーと同じ微笑が顔に張り付いてるみたいで、何だか気持ち悪い。

ラキは小さな女の子を連れていて、読んでいると想像はつくんですが、プリシラ。
２人のことはどうでも良くなり、真っ先に思ったのは、イースレイはどうしちゃたの?でしたわ。

さて、待望の妖気読みに優れた戦士を捕まえたリフル。
リフルは戦士に七年前の落し物を見せる。

ラファエラじゃないかって気がしてて、可哀想だなぁと思っていたのですよ。
しかし予想をはるかに上回る悲惨さ。

姉のルシエラを殺さなければと思う責務と、姉への愛情。
その思いが、ルシエラを殺すことと、守ることを同時にやってのけた。
２人は融合してしまった。

リフルの戦士への取り引きは、命は取らない代わりに、内から姉妹の妖気捜査をすると言うこと。

私はリフルが好きなんですね。
「もしお前よりも強いものが生まれたらどうする気だ?。」と問われて、微笑を全く変えないまま「バカね、決まってるじゃないの。完全に目覚める前に私が息の根を止めるわ。」と。
深遠の者としての貫禄、充分。

融合した姉妹を「今まで生きてきた中でもっとも美しいもの」としているのですが、そう言うところは人間の感受性が残っているのかなぁとも思いました。
覚醒者もトップクラスになると、人間としての部分も多々あるのかしら。
もっとも姉妹を見て、同時に痛々しいと思わないところは、覚醒者なんですけどね。


主人公・クレアは旅の途中の町でルヴルと再開する。


ファンタジーは、その物語の世界をどれだけ魅力的なものとして読者に提示できるかが鍵だと思っているのですが、そう言う意味でも、とても楽しめて読めた15巻でした。
やっぱり美麗な絵のマンガと言うのは、それだけでも魅力がありますよ。

16巻、早く出ると良いなぁ。