2011/04/16(土)21:23
『オリーヴ・キタリッジの生活』 エリザベス・ストラウト著 感想
感想は翻訳物が多い私ですが、もちろん日本の小説も読んでます。
でも短編に関しては、米国のものが好きなんですよねぇ。
ピュリッツァー賞受賞作です。
あらすじはamazonから。
すべての人生が、いとしく、切ない。ピュリッツァー賞を受賞した珠玉の連作短篇集。
アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。一見静かな町の暮らしだが、そこに生きる人々の心では、まれに嵐も吹き荒れて、生々しい傷跡を残す――。
穏やかな中年男性が、息苦しい家庭からの救いを若い女性店員に見いだす「薬局」。
自殺を考える青年と恩師との思いがけない再会を描いた「上げ潮」。
過去を振り切れない女性がある決断をする「ピアノ弾き」。
13篇すべてに姿を見せる傍若無人な数学教師オリーヴ・キタリッジは、ときには激しく、ときにはささやかに、周囲を揺りうごかしていく。
メイン州の架空の田舎町を舞台に、どの短編にも、タイトルのオリーヴ・キタリッジが登場します。
オリーヴの中年から70代までが順番に並べられている。
ある時はオリーヴが主人公であり、オリーブ視点で描かれている。
またある時はオリーヴは単に登場人物の1人に過ぎなくて、でも何かしらの影響をまわりに与えています。
このオリーヴと言うおばさん・おばあちゃんが凄い人でして。
他者に対して、たとえ自分では色々考えているにしても、絶対に間違いを認めないんですよ。
成長した息子が最初に結婚した女性への仕打ちとか、息子が再婚して住むニューヨークに行った時の息子との言い争いとか、もうメチャクチャ。
でも「何で私が・・・」なんて思っちゃう人です。
ですが教師だ・だったってことも関係しているんでしょうか、オリーヴにとっての子供的な存在・・・既に大人になっていても・・・には愛情ある対応をしている気がします。
日常生活を描いて、その生活の中に、どんな人でも心に抱える思いがあること。
「こんなはずじゃぁなかった」と思ってしまう人生の生き難さや、老いてからの喪失感。
そんなものを描いていながら、尚、生きていることは素敵なことだと感じさせる小説です。
本当に良い短編集でした。
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