近年、家禽(かきん)類にしか感染しなかった
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)のヒトへの感染例が報告されている。
従来のインフルエンザと同様に、突然の高熱、悪寒、筋肉痛や関節痛がみられる。
このほかに、咳や息切れといった呼吸器症状や、下痢などの消化器症状がみられる。
これは、従来のインフルエンザウイルスが鼻やのどなどの
いわゆる上気道に感染しやすいのに比べ、鳥インフルエンザウイルスは、
上気道のみならず気管支や肺などのいわゆる下気道に至る呼吸器全般にのみならず、小腸などの消化器に至る広い範囲に感染するためとされている。
ヒトの体の至るところに感染が起こった結果、過剰に起こった炎症反応が、ウイルスのみならず肺などの自分の臓器までも障害することにより、呼吸不全をきたし、時に死に至ると考えられている。
鳥インフルエンザは1997年香港にて集団発生があり、
その後2004年頃から再び世界中で散発的な発生が確認されているが、
その臨床症状は年次を追うことに激烈となり、
とくに呼吸障害の発生率は高まっている。
このことから、鳥インフルエンザウイルスの変異に伴う病原性は次第に高まり、
感染時の症状も激烈なものになっていることが考えられる。