秋葉原通り魔事件
ニュース番組を見ていたら、秋葉原の事件について哲学者の東浩紀氏がコメントしていました。「とうとう東氏みたいな人がテレビでコメントするような時代になったんだ。」と一種の驚きをもって観ておりました。コメントは「何故秋葉原だったのか?」という質問に対して「秋葉原はオタクや電気マニアの聖地ということではなく、現代日本社会を劇場化した場所になっているから。この事件をもって、歩行者天国を中止したり刃物の規制を強化しても、その背景にあるものを解決しない限りこの種の事件はなくならない。」というもの。テレビのコメントですから、おそらくもっと確信を突いたコメントをしていたはずですが、当たり障りのないところだけ編集されたのでしょう。東氏は、新進気鋭の哲学者です。この4月に現代日本の思想状況を打破するために、『思想地図』という本を出版しました。執筆者の平均年齢が35歳前後と「若い」哲学者が中心となっています。(当人のコメントでは「自分達より若い世代が出て来ない。」と嘆いています)おそらく哲学の状況と同じように、この世代の下の世代に閉塞感が充満しており、こうした事件が多発することになるのでしょう。東氏の思想的挑戦である『思想地図』に期待したいと思います。ちなみに第1号の特集は『日本』で、NHKブックス別巻刊、東浩紀・北田暁大編、1500円+税です。